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企業2023.12.22

Rapidus(ラピダス)株式会社の半導体製造に使われる技術・装置について

こんにちは。リージョナルキャリア北海道のコンサルタント、福澤です。

千歳市の新工場が着工するなど、話題を目にすることが増えているRapidus(ラピダス)株式会社

同社は世界最先端の2nmの次世代ロジック半導体の生産をしようとしていますが、そんな最先端の半導体をつくるためには、最高性能の装置と生産技術が欠かせません。

2023年9月末には、北海道にオランダの半導体製造装置メーカーASML社が進出するというビッグニュースが発表され(参考)、他にも今後、多くの半導体関連企業が北海道に進出する予定です。

半導体をつくる工程ではさまざまな装置が使われていることから「装置産業」とも言われています。

今回は、半導体がどのようなプロセス、装置、技術でつくられているのかをまとめ、また、将来どのような企業がRapidus株式会社の新工場近辺に進出してくるかを考察してみたいと思います。

半導体の製造工程

│前工程


半導体の製造工程は大きく「前工程」と「後工程」に分かれており、「前工程」とは、ウェーハにチップをつくる工程をいいます。

process01 - 1.png

(画像引用:一般社団法人 日本半導体製造装置協会 公式サイト「半導体とは」 ※最終閲覧日2023年12月22日)

ウェーハとは、半導体デバイスの材料になるシリコンから切り出された円形の薄い板のことです。円柱状になっているシリコンの塊(インゴット)を、特殊なカッターを用いて厚さ1mm程度にスライスしてつくります。

さまざまな半導体製造装置を使って、このシリコンウェーハ上に半導体のチップを作成していきます。1枚のウェーハ上には数百個~1000個程度チップが形成されます。

(シリコンウェーハ)

画像1.png

(画像引用:株式会社SUMCO 公式サイト|半導体デバイスの材料になるシリコンウェーハ ※最終閲覧日2023年12月22日)

(ウェーハ上にチップが形成されたイメージ図)

画像2.jpg

(イラストACより)

│後工程


ウェーハからチップを切り出して、一つ一つ配線、パッケージした後に試験・検査する工程を「後工程」といいます。

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(画像引用:一般社団法人 日本半導体製造装置協会 公式サイト「半導体とは」 ※最終閲覧日2023年12月22日)

半導体製造装置の国別シェア

半導体製造装置のシェアを国別でみると、アメリカと日本のシェアが高いことがわかります。

半導体製造装置の各国シェア.jpg

(画像引用:経済産業省 公式サイト ※最終閲覧日2023年12月22日)

主要な装置別のシェア

装置別の市場シェアを見ると、市場規模が1兆円以上となる装置の分野では、アメリカとオランダの企業が高いシェアを獲得していることがわかります。

装置
※数字は2021年の市場規模(億円)
順位 企業名(国) シェア
露光装置/18,084 1位 ASML(オランダ) 92.8%
2位 キヤノン(日本) 4.6%
3位 ニコン(日本) 2.6%
コータ・デベロッパー/3,790 1位 東京エレクトロン(日本) 84.1%
2位 Screen(日本) 3.4%
成膜装置(CVD)/17,198 1位 アプライドマテリアルズ(アメリカ) 35.8%
2位 ラムリサーチ(アメリカ) 17.2%
3位 東京エレクトロン(日本) 14%
エッチング装置/21,038 1位 ラムリサーチ(アメリカ) 37.7%
2位 東京エレクトロン(日本) 25.3%
3位 アプライドマテリアルズ(アメリカ) 23.5%
枚葉式洗浄装置/6,105 1位 Screen(日本) 34.7%
2位 SEMES(韓国) 24.4%
3位 東京エレクトロン(日本) 22.0%

(経済産業省 公式サイト「半導体・デジタル産業戦略」より抜粋 ※最終閲覧日2023年12月22日)

そして現在、露光装置の市場(市場規模18,084億円)において9割強という圧倒的なシェアを獲得しているのが、このたび北海道に進出することが明らかになったオランダのASML社です。

(ちなみに、2000年以前は日本のニコンがシェアトップでした)

この露光装置、実は最先端半導体を製造するうえで非常に重要なカギを握っています。

露光装置の進化

現在、半導体製造技術で注目されているものの一つに「EUV(極端紫外線)露光」が挙げられるのですが、このEUV露光を世界で初めて成功させた企業がオランダのASML社です。

露光装置とは、半導体製造の前工程において、ウエーハ表面に回路のパターンを焼き付けるための装置です。この焼き付けを行う光源の波長が短いほど、繊細なパターニングが可能になります。

この光源は紫外線ランプであり、その種類も技術の進歩に伴って「g線」、「i線」、そして「DUV」と変遷してきました。

2000年初頭には波長248nmのKrFエキシマレーザー、その後は波長193nmのArFエキシマレーザーが利用されてきましたが、ASML社が開発したEUVはなんと13.5nm。これによって5nm、10nmプロセスの半導体をつくることが可能となったのです。

ASML社は現在、このEUVレーザーを使用した露光装置をつくっている唯一のメーカーです。

最先端の半導体を製造するメーカーは、同社の装置を使用することになります。もちろんRapidus株式会社も例外ではなく、ASML社の北海道進出はこのような背景があるのです。

(参考:Zenken株式会社「露光装置PERFECT GUIDE」)

今後北海道に進出してくる会社は?

このASML社以外にも、Rapidus株式会社が本格稼働するまでに、さまざまな企業の進出が予想されます。

未だ全貌は明らかになっていないものの、台湾半導体ファウンドリ・TSMCの熊本工場(JASM)新設にともなって進出してきた企業を見れば、ある程度予測できるのではないでしょうか。

JASM進出発表後に公表された半導体関連企業の設備投資計画と立地協定は、以下のとおりです。

企業 主要製品 設備投資
SUMCO シリコンウェーハ 佐賀県に新棟建設
伸和コントロールズ 真空チャンバー 長崎県に拠点新設
ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング CMOSイメージセンサ 長崎県に量産棟増設
荏原製作所 製造装置 熊本県に新棟建設
東京応化工業 高純度化学薬品 熊本県に新工場建設
三菱電機 パワー半導体 福岡県に新棟建設
ローム・アポロ パワー半導体 福岡県に新棟建設
ジャパンセミコンダクタ パワー半導体 大分県の工場の設備増強
第一電材エレクトロニクス 電線・ケーブル 熊本県に新工場建設
東京エレクトロン九州 製造装置 熊本県に新棟建設
ジャパンマテリアル ガス供給 熊本県内の工場取得
カンケンテクノ 製造装置 熊本県に新工場建設

(法人格は省略、引用:経済産業省 公式サイト ※最終閲覧日2023年12月22日)

このように製造装置はもちろん、真空チャンバー、薬品、電線ケーブル、ガスなど、装置に使われる部材などに関する企業も九州に進出または設備増強を行っています。

そのため今後、北海道でも同じような動きが出てくることが想定されます。

最後に

TSMCの熊本進出による経済波及効果は非常に大きく、九州フィナンシャル・グループの試算によると、工場稼働の2024年からの2年間で1兆8,000億円、さらに2022年から2031年まででは4兆2,900億円にのぼるとみられています。

(参照:くまもと経済オンライン「TSMC進出の経済効果、10年で4兆2900億円・・・・九州フィナンシャルグループ」)

Rapidus株式会社の北海道進出による経済波及効果も同様に大きく、また、雇用の創出も期待されています。私たちも同社の動きをチェックして、求人情報などを発信していきたいと思います。

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