2025.08.28
北海道の成長産業4選 ~地域密着のキャリアコンサルタントが描く北海道の業界地図~
こんにちは。リージョナルキャリア北海道のキャリアコンサルタント 笹本 香菜です。
北海道で働きたいけれど、どんな業界に将来性があるのか、どんな企業が成長しているのか気になる方も多いのではないでしょうか。
この記事では地域密着のキャリアコンサルタントが転職支援の現場から得た知見とデータをもとに、北海道で注目すべき産業や実際の転職事例について解説します。北海道における転職市場や業界動向について知りたい方はぜひ読んでみてください。
<この記事で分かること>
- ■北海道の転職市場の現状
- 有効求人倍率や転職者に人気の業種から見える市場環境。
- ■北海道の未来を支える業界4選
- 半導体・宇宙産業・再生エネルギー・産学連携といった成長分野の最新動向。
- ■北海道の注目業界への転職成功事例
- 道内外から北海道へ転職し、新しいキャリアを築いた人たちのリアルな体験談。
- ■転職活動のステップとポイント
- 自己分析・求人の探し方・面接対策など、キャリアを前進させるための実践的なノウハウ。
北海道における転職市場の現状
北海道の有効求人倍率
北海道労働局の統計によると、2025年5月時点での札幌市の有効求人倍率は0.92倍。全国平均の1.05倍より下回っている傾向にあり、やや売り手市場とは言いづらい状況です。2020年4月からの推移を見ても、全国平均との差が開いてきていることが分かります。

※有効求人倍率の引用元:北海道労働局『各種統計・安定所別月間有効求人倍率(常用)の推移』
北海道の企業で人材需要が高まっている業種
売り手市場とは言えない状況の中で、人材需要が高まっている業種もあります。北海道の企業で経験者採用が特に増えているのは「ビジネスサービス」と「メーカー」と「広告・出版・印刷・マスコミ」で、半導体メーカーのRapidus株式会社が千歳工場での量産開始(2027年予定)に向けて積極的に採用を進めているのは象徴的な例といえるでしょう。

※リージョナルキャリア北海道の2022年~2024年の入社決定実績より集計
北海道で転職者に人気の業種
また、リージョナルキャリア北海道の選考実績データを基にした「志望度×関心度チャート」を見ると、転職希望者の人気がどこに集まっているかがよく分かります。チャートでは、横軸が「志望度(実際に内定を承諾して入社した割合)」、縦軸が「関心度(応募提案から実際にエントリーに至った割合)」を示しています。右上に位置するほど人気・志望がともに高い業種であり、さらに円の大きさが応募人数の多さを意味します。

※リージョナルキャリア北海道の2022年~2024年の入社決定実績より集計
この分析結果から、「メーカー」業界は関心度・志望度ともに非常に高く、応募者数も多い人気業種であることが分かります。
メーカーの中でも関心度と志望度の観点で特に人気がある企業は、北海道産の小麦を主軸に製粉/加工/販売を行う「横山製粉株式会社」、自然素材を活かしたコスメブランドSHIROの企画/開発/製造/販売/店舗運営を行う「株式会社シロ」、半導体メーカー「Rapidus株式会社」、注文住宅事業を展開する「株式会社ロゴスホールディングス」の4社です。
つまり、全体的な求人倍率は厳しい状況にありながらも、業種を絞れば高い需要と転職希望者の人気が一致している分野があるというのが北海道の転職市場の特徴といえるでしょう。
「株式会社ロゴスホールディングス」のビジョンや事業戦略について知りたい方は代表取締役社長 池田 雄一氏のインタビュー記事も併せて読んでみてください。
経営TOPインタビュー【北海道】株式会社ロゴスホールディングス - U・Iターン転職ならリージョナルキャリア北海道
北海道の未来を支える業界4選
前章ではリージョナルキャリア北海道の過去のデータから人材需要や人気度が高い業界を紹介しましたが、本章ではまだ定量的なデータには出てきていない、これから成長する可能性が高い注目の業界・産業について解説します。
半導体業界 ~Rapidusを核に広がる北海道バレー構想~
北海道の転職市場で今もっとも注目されている業界の一つが、半導体です。とりわけ千歳市に拠点を置くRapidus株式会社は、次世代2nm半導体の量産を目指す国家的プロジェクトの中核企業であり、北海道全体の産業地図を塗り替える存在になりつつあります。
千歳から世界へ 最先端工場の誕生
「Rapidus(ラピダス)株式会社による『日の丸半導体』復権への期待~半導体業界の歴史について~」の記事でも紹介したように、Rapidusは、IBMやimecといった世界の研究機関と連携し、国内初となる2nm世代の最先端ロジック半導体を製造する工場を千歳に建設中です。2025年4月には国の承認を受けてパイロットラインが正式に稼働を開始し、わずか3カ月後には2nm世代GAAトランジスタの試作動作に成功しました。量産開始は2027年を目標としており、その準備として設計支援や後工程技術の整備を急ピッチで進めています。
北海道に広がる「産業集積」構想
Rapidusの進出は単なる一企業の動きにとどまりません。千歳工場の起工式には、IBMをはじめ、アプライド・マテリアルズ社やラムリサーチ社といった世界トップの半導体関連企業が出席し、北海道での拠点設立や人材支援を次々と表明しました。この動きについて「【Rapidus(ラピダス)株式会社 小池社長登壇】2023北海道ニューフロンティア経営セミナー」の記事では、北海道に国内外の企業が集結し、新たな産業集積が生まれる可能性を示す出来事だったと紹介しています。
さらに2025年5月には、「北海道バレービジョン協議会」が設立されました。苫小牧・千歳・札幌・石狩をつなぐ「北海道バレー」構想のもと、2030〜2050年にかけて半導体関連340社誘致・就業人口2万人・年間生産3兆円を目標に掲げています(PR TIMES、日本経済新聞)。
人材育成と産学連携の動き
こうした大規模な産業集積には当然ながら人材育成が不可欠です。2024年6月には北海道大学とRapidusが包括協定を締結し、教育・研究・施設利用など幅広い分野で連携を開始しました。北大構内には2nm半導体の評価・分析拠点が設置され、企業エンジニアによる講義参加や最新研究成果の共有など、双方向の学び合いが進んでいます。
「ラピダス進出 半導体人材育成の鍵、北海道内の理工学系大学に注目!」の記事でも紹介したように、北大は新たに「半導体フロンティア教育研究機構(IFERS)」を立ち上げ、学部から大学院まで統合した教育体制や「半導体プロトタイピングラボ」を整備。これを道内の大学や高専、企業にも開放することで、北海道全体で半導体エコシステムを育てる拠点として機能させる計画です。
転職市場における魅力
Rapidusの採用は急速に拡大しており、2025年5月末時点で700〜800名の採用に成功しています。募集はエンジニア職(プロセス技術、デバイス技術、品質保証など)はもちろん、IT(ERP導入やセキュリティ対策)、経理、人事、アシスタント職など事務系にも広がっています。給与水準はメンバー層で年収900万円程度、マネジャー層では1000〜1400万円と高水準。国家的プロジェクトに携わりながら、ゼロから仕組みづくりに関われる点は、北海道でのキャリアを考える人にとって大きな魅力です。
転職を考える際のポイント(求められるスキルや人物像)
半導体業界、とりわけRapidusのような成長段階にある企業では、以下のような人材が求められています。
- エンジニア職:半導体経験者はもちろん、液晶や自動車関連など近接分野の生産技術・品質保証経験も高く評価されます。大学・大学院で半導体関連研究をしていた方も対象になり得ます。
- IT職:ERP(特にSAP S/4HANA)の導入経験や、インフラ・セキュリティ分野での設計構築スキルが強みになります。効率的な技術開発や量産の実現を目指しているので、AI設計やデータ解析の知見がある方も歓迎されます。
- 管理系職種:工場経理や人事採用経験者、業務改善や制度設計に携わったことがある方が歓迎されます。
- 人物像:立ち上げ期特有のスピード感と変化に柔軟に対応できる人材。未整備な仕組みを「自ら考え、ゼロから形にする」主体性が重視されます。
半導体業界は、Rapidusを中心に北海道における次世代産業の核となりつつあります。工場稼働や国際連携に加え、大学・自治体を巻き込んだ人材育成の仕組みが整い始めたことで、今後数十年にわたり地域経済を牽引するポテンシャルを秘めています。北海道でキャリアを築きたい方にとって、技術職から管理系職まで幅広い活躍のチャンスが広がる分野といえるでしょう。
実際の募集は、で随時確認可能です。技術職から管理系職まで、バックグラウンドに応じたポジションが見つかります。
宇宙産業 ~大樹町から広がる"宇宙版シリコンバレー"構想~
北海道の宇宙産業は、実は40年以上の歴史があります。十勝の大樹町は1985年から航空宇宙産業の誘致に取り組んでおり、2013年にはインターステラテクノロジズ(IST)が本社を構え、2016年には小型ロケット「MOMO」の打ち上げを同町から実施しました。その後も研究開発拠点として存在感を高め、2021年には射場を広く民間企業に開放するためSPACE COTAN株式会社が設立されました。
「北海道から宇宙に挑む 宇宙ベンチャーセミナーを開催しました」の記事でも紹介したように、SPACE COTANが運営する北海道スペースポートは、国内唯一となる垂直式・水平式・気球打ち上げに対応する射場として注目を集めています。これまでにインターステラテクノロジズや東海大学、植松電機のほか、2025年7月には海外企業(jt SPACE)も利用するなど、実績の幅は着実に広がっています。さらにJAXAや将来宇宙輸送システムとの連携、北海道大学や室蘭工業大学など研究機関との協力も進んでおり、まさに「民間に開かれたアジアのハブ宇宙港」として成長を続けています。
商業宇宙港「北海道スペースポート」
SPACE COTANが推進する「北海道スペースポート(HOSPO)」は、アジアの民間開放型宇宙港を目指し、設備を段階的に整備しています。LC-1は2026年度夏に運用開始予定、LC-2は2027年度以降、1,300m滑走路は2025年度に供用開始と計画されており、宇宙港を核とした「北海道スペースポートシティ」構想が進行中です。地方創生・ゼロカーボン・未来技術実証をキーワードに、経済効果267億円/年・雇用創出2,300人/年・来訪17万人/年と試算(北海道経済連合会・日本政策投資銀行算出)されており、地域経済を押し上げるエンジンとして期待されています。
実際に、SPACE COTANの代表取締役社長 兼 CEO 小田切義憲氏は、「北海道の強みである広大な土地や自然条件を活かし、アジアを代表する宇宙港として成長させていきたい」と述べています(経営TOPインタビュー)。その言葉どおり、HOSPOは国の「宇宙戦略基金」とも連動し、標準化・省人化を進めて"複数種のロケットを高頻度で打上げ可能な射場"を目指しています。
さらに、リージョナルキャリア北海道主催のSPACE COTAN採用セミナーでも、CTOとCSOが最新の取り組みを紹介しました。セミナーでは、
- 多様な事業者が利用できる共用射場の整備
- 打ち上げの高頻度化を実現する地上系基盤技術の開発
- スマート射場による低コスト・省人化オペレーション
といった具体的な開発計画が示され、まさに「夢・ロマンをリアルビジネス・現実に変える」ステージに進んでいることが強調されました。
北海道大学発スタートアップの台頭
また、北海道大学を中心に宇宙スタートアップも次々と誕生しています。永田教授の研究成果を社会実装した企業として、株式会社岩谷技研、Letara株式会社、株式会社MJOLNIR SPACEWORKSなどが代表的です。
- Letara:プラスチック燃料を使った安全・低コストのハイブリッド推進技術を開発。廃校舎を研究拠点に再活用するなど、地域振興にも貢献しています。
- 岩谷技研:江別市を拠点に気球型キャビンを開発し、2025年にはJALやJTBと連携して宇宙遊覧の有人飛行を予定。観光だけでなく、宇宙環境利用やエネルギー事業への応用も視野に入れています。
- MJOLNIR SPACEWORKS:札幌を拠点にハイブリッドロケットエンジンを開発。2024年には40kN級地上燃焼試験に成功し、再使用可能ロケット構想も発表しています。
宇宙産業への転職を狙う際のポイント(求められる人材像)
宇宙産業と聞くと研究者やエンジニアだけの世界と思われがちですが、実際には幅広い人材が必要とされています。
- 技術系人材:ロケットや推進システムの研究開発、構造設計、実験評価などに従事できるエンジニア。航空宇宙や機械系はもちろん、自動車やエネルギー分野の経験も活かせます。
- プロジェクト推進人材:HOSPOのような新規事業では、地域・自治体・企業をつなぎ、プロジェクトを推進する調整力が不可欠。宇宙専門知識がなくても、異業界でのマネジメント経験や折衝力が評価されます。
- 事業開発・企画人材:観光や教育、一次産業と結びつけた「宇宙×地域創生」の取り組みも拡大中。マーケティングや企画の経験を持つ人も活躍の余地があります。
北海道で「最先端産業」と「地域創生」の両方に関わりたい方にとって、宇宙産業はまさに理想的なフィールドです。本章で紹介したSPACE COTAN、岩谷技研、MJOLNIR SPACEWORKSの募集は以下のページから確認できます。
- SPACE COTANの求人一覧
- 岩谷技研の求人一覧
- MJOLNIR SPACEWORKSの求人一覧
- Vestas(デンマーク):石狩湾新港洋上風力プロジェクトに供給するなど、洋上・陸上両面で存在感を発揮。
- Siemens Gamesa(独・西):日本市場への大型洋上風力タービン提案を進め、道内案件への参入も視野に入れています。
- GE Renewable Energy(米):北海道や東北で中〜大型風車の導入事例があり、日本市場全体でプレゼンスを拡大中。
- ENERCON(独):石狩市の「風の杜いしかり」など、市民出資型風力プロジェクトに数多く採用されています。
- ユーラスエナジーホールディングス:トヨタ系最大手の風力ディベロッパーで、道北・道東に「宗谷岬」「天北」「樺岡」など多数の大型プロジェクトを展開。
- 電源開発(J-Power):道南・道央を中心に「新苫前ウィンビラ」など複数の陸上風力を稼働。
- グリーンパワーインベストメント(GPI):JERAと合弁で石狩湾新港洋上風力(112MW)を主導し、国内最大級の案件を実現。
- 日本風力開発:檜山沖・島牧沖など洋上案件に複数応募し、道内での事業拡大を進めています。
- コスモエコパワー:宗谷・檜山沖などでの風力案件を推進し、地域ごとにプロジェクトを展開。
- 技術系:風力・太陽光設備の設計や施工、電気工事、保守・点検。北拓のようなメンテナンス企業では、電気工事士や機械保全経験者が強く求められます。
- プロジェクトマネジメント:洋上風力は自治体・漁業者・海外メーカーを巻き込むため、調整力やリーダーシップが必須。
- 事務・企画系:資金調達、契約、サステナビリティ推進、市民参加型スキーム設計など、文系バックグラウンドの活かせる領域も広がっています。
- 研究成果の社会実装と価値創出:大学の基礎研究を製品・サービスへと結びつけ、社会・経済的価値を生む。
- 国際競争力の強化:基礎研究と応用研究のギャップを埋め、新産業や新技術の創出を加速。
- 財源の多様化:運営費交付金への依存から脱却し、共同研究費・寄附金などを拡充。
- 人材育成:学生が社会課題ベースの研究に参加し、実践的スキルを磨く機会を提供。
- 地域産業や社会課題への貢献:地域に立地する大学として、地元企業や自治体と連携して地域経済を支える。
- 研究成果の社会実装と価値創出:大学の基礎研究を製品・サービスへと結びつけ、社会・経済的価値を生む。
- 研究開発経験:研究者の視点を理解し、成果の社会実装を支援できる。
- プロジェクトマネジメント力:複数部門や組織を横断して調整し、スケジュールを管理する。
- 知財・契約の理解:特許やライセンス契約に関する基本知識があると強みになる。
- 仕事関係:夫(本人)の転職活動からスタートし、内定・退職・入社と進行。妻も遅れて仕事探しを開始し、最終的に移住先で仕事を開始。
- 住居関係:持ち家の扱いを検討しながら、夫の単身赴任を挟んで住居を段階的に決定。最終的に家族全員が引っ越し。
- 子供関係:転校タイミングの検討や小学校の情報収集、住環境の現地確認など、慎重な準備がなされています。
再生エネルギー業界 ~洋上風力を軸に進むGXと地域創生~
日本全体で再生可能エネルギーの導入は国家的課題です。2025年2月に閣議決定された「第7次エネルギー基本計画」では、電力需要増加や経済安全保障上の要請を背景に、再エネの最大限導入が掲げられました。特に風力発電は、現在の電源構成比1%から2040年度には4〜8%へ引き上げる方針が示されています。
北海道はその地理的特性から、風力(特に洋上風力)・太陽光における国内随一のポテンシャルを持ち、道庁も「ゼロカーボン北海道推進計画」などを通じて推進。2023年にはGX・金融コンソーシアム「Team Sapporo-Hokkaido」も発足し、地域創生とエネルギー供給基地としての役割を強化しています。
北海道における再エネプロジェクトの広がり
2000年代以降、市民参加型や自治体主導の風車設置が各地で始まり、2010年代後半以降は大規模陸上プロジェクトや洋上風力事業が急拡大。2024年1月には石狩湾新港で国内最大級の商用洋上風力発電所(14基・112MW)が稼働を開始し、道内の風力発電は拡大フェーズを迎えています。
北海道の再生エネルギー業界を支える企業たち
世界的なタービンメーカーも北海道市場を重視しています。
発電事業者(国内大手)
北海道発のキープレイヤー「株式会社北拓」
海外メーカーや大手事業者が注目されがちな再エネ業界において、地元・北海道から国内有数の存在感を放つのが株式会社北拓(旭川市本社)です。
北拓は1982年創業、1999年から風力発電のメンテナンス事業に参入し、今では国内最大級の独立系メンテナンス企業へと成長。日本に建設されている風車約2,600基のうち約80%をカバーしており、全国的に見ても圧倒的なシェアを誇ります。
同社の強みは「メーカーに依存しない独立系」である点。多くの風力設備は納入メーカーが一定期間メンテナンスを担いますが、北拓はメーカー製造に関わらず幅広い機種に対応できる体制を構築。結果として、全国の発電事業者から信頼を得ており、北海道にいながら全国規模の事業を手掛ける希少な存在です。
さらに、自社でトレーニング施設や実証用設備を整備し、道内で再エネ人材を育成する拠点としても機能。商船三井との資本提携も進み、グローバル展開を視野に入れつつ、北海道発の企業として業界をリードしています。北拓は「北海道の再生エネルギー業界の顔」といえる存在であり、地元企業が国内外の大手に伍して成長できる好例です。
再生エネルギー業界で求められる人材像
再生エネルギー業界は今後も成長が見込まれ、幅広いバックグラウンドを持つ人材に門戸が開かれています。
北海道は「再エネ供給基地」として日本のGXを支えるポジションにあり、大手×地域企業×行政の三位一体の成長フィールドでキャリアを築くチャンスがあります。
産学連携 ~研究を社会実装へつなぐ"北海道のハブ"~
研究資金の拡大と企業連携の深化
全国の大学における研究資金受入額は年々拡大しており、令和5年度には4,700億円を突破しました。北海道大学もその一翼を担っており、共同研究や受託研究の拡大によって安定的に資金を伸ばしています。背景には、国立大学法人化以降、運営費交付金が減少傾向にあるなかで、産学連携を通じた企業からの資金獲得が重要になってきたという事情があります。
国立大学法人における産学官連携の位置づけ
平成16年4月の法人化以降、国立大学は「産学官連携」を重要な役割として担うようになりました。法人化によって出資制度や人事・会計規制の緩和が進み、大学は企業と柔軟に共同研究や人材交流を行える環境が整備されています。これは単なる研究資金確保にとどまらず、以下のような目的を持っています。
こうした流れの中で、北海道大学は地域の中核大学として「北海道発の産業集積」を支える重要な役割を担っています。
北海道大学の研究・教育体制
北海道大学は12学部・21大学院を擁する総合大学で、理工系から人文・社会科学まで幅広い分野をカバーしています。この多様性こそが、産学連携の強みです。単一の専門領域にとどまらず、異分野を横断した共同研究や、企業との課題解決型プロジェクトを推進できる基盤が整っています。

引用元:「北海道大学で働く選択肢を考える」オンラインセミナーの当日資料より北海道大学の許可を得て掲載
知財活用と特許収入で全国トップクラス
知的財産活用においても北海道大学は全国上位に位置します。2024年時点で特許ライセンス収入は約28.5億円に達し全国第5位、特許実施件数は全国第4位を記録。研究成果を社会に還元し、実用化へと結びつける力は国内有数の実績です。

引用元:「北海道大学で働く選択肢を考える」オンラインセミナーの当日資料より北海道大学の許可を得て掲載
北海道大学とキャリアの接点
産学連携は企業だけでなく、キャリアの選択肢としても広がっています。たとえば、「北海道大学で働く選択肢を考える」オンラインセミナーでも紹介したように、大学は産学連携を推進する専門職や知財マネジメント人材を積極的に採用しています。これは「研究成果を社会に活かす」ための橋渡し役であり、企業での研究開発経験やマネジメントスキルを活かせるフィールドです。
実務で評価されるスキル・人物像(転職を狙う際のポイント)
大学における産学連携の現場では、専門分野の知識だけでなく、企業とのコミュニケーション力・調整力が強く求められます。企業と大学は研究の目的やスピード感が異なるため、両者の期待値をすり合わせ、プロジェクトを推進する能力が不可欠です。
こうしたスキルはメーカーや商社など企業で培った経験とも親和性が高く、転職者にとっては「自分のキャリアを新しい形で活かす」場となり得ます。特に北海道大学のように全国有数の産学連携実績を持つ研究機関では、多様なバックグラウンドを持つ人材の活躍が期待されています。
実際の募集は、北海道大学の求人一覧で随時確認可能です。研究・産学連携・知財・研究事務など、バックグラウンドに応じたポジションが見つかります。
北海道の注目業界への転職成功事例
自動車部品メーカーからRapidusへ 海外経験と研究バックグラウンドを武器にUターン
北海道出身の30代男性は、大学で半導体関連の研究をしていました。卒業後は外資系メーカーで家電製品の開発に携わり、その後は自動車部品メーカーへ転職。海外駐在を経験し、設計課題の解決から新規工場の立ち上げまで幅広く担当してきました。直近では開発チームのリーダーとして、設計初期から量産化に至るまでのプロジェクトマネジメントを推進していました。
転職先として選んだのがRapidus株式会社。大学時代に培った半導体の研究知識と、製造業で積み上げたプロジェクト推進力の双方を活かせるポジションとして、研究開発職に内定しました。評価されたポイントは、半導体分野の基礎知識に加え、海外との折衝力や量産化に向けた各部門間調整・マネジメント経験。Rapidusが求める「立ち上げ期を支える即戦力」としての資質が合致していたといえます。
半導体業界を選んだ理由は、学生時代からの専門性に加え、「仲間と協力してものを作り上げる過程が好き」という本人の志向性。そして、北海道に腰を据えながらグローバル水準のプロジェクトに挑戦できるチャンスであったことです。待遇や働き方も希望に合致し、Uターン転職として最適な環境にたどり着くことができました。
この事例は、自動車メーカー等の他領域での経験が、半導体領域でも十分に活かせることを示しています。特に、海外経験や部門間調整力を持つ人材はRapidusのような半導体メーカーにおいて強く求められており、北海道でキャリアを築きたい方にとって大きな可能性が広がっているといえるでしょう。
エネルギー業界からRapidusへ DX推進力を武器に新天地へ挑戦
北海道の大学を卒業後、エネルギー関連企業で供給設備の維持管理や安全管理に携わってきた20代後半の男性。日々の安定稼働を支えるだけでなく、直近はプロジェクトリーダーとしてIoTやWEBシステムを活用したDX推進に取り組み、設備投資の最適化や業務プロセス改革を主導してきました。効率化とコスト削減を実現したその実績は、現場改善と経営課題の双方に貢献するものでした。
次のキャリアの舞台として選んだのがRapidus株式会社です。評価されたのは、エネルギーという異なるフィールドで磨いた計画実行力・課題解決力・DX推進力。立ち上げ期にあるRapidusにおいて、新しい仕組みをゼロから構築する能力が大きな強みになると判断されました。
半導体業界を志望した背景には、その将来性と挑戦環境があります。安定した基盤の中で守りを固めるのではなく、ゼロから大きな事業をつくりあげていく過程に携わりたいという思いが決め手となりました。Rapidusの実力主義の社風も、個人の成果を正当に評価してもらえる環境として魅力的に映ったといえます。
現在は研究開発部門に所属し、前職での経験をそのまま活かす形で設備の保全におけるDX推進を担っています。具体的には、設備投資の最適化やWEBシステム導入による業務プロセス改革を進めており、現場の効率化と安全性向上を両立させる取り組みをリードしています。インフラ分野で培った知見を半導体分野に応用することで、Rapidusの量産体制の確立に貢献しているのです。
この事例は、インフラ分野でのDX推進経験が半導体産業の立ち上げ局面で活きることを示す好例です。異業界であっても、自身の強みをどのように新しい産業に結び付けられるかを明確にすることが、転職成功の鍵となります。
製薬会社から化粧品メーカーへ 生産管理経験を武器に新天地で活躍
北海道・釧路市出身の川内和亮さん(37歳)は、高校卒業後から約20年間、地元の製薬会社で生産管理に従事してきました。長年の経験で培ったのは、生産計画の立案や改善活動、品質を守るための現場管理スキル。30代半ばを迎えたとき、「自分のスキルが外の業界でも通用するのか」を確かめたいという思いから転職を決意しました。
新天地として選んだのは、北海道砂川市に本拠を置く化粧品ブランド「SHIRO」を展開する株式会社シロ。同社を選んだ理由は、これまでの生産管理スキルを活かせる環境でありながら、化粧品という新しい分野で挑戦できること、そして地域発のメーカーとして成長を続けている点に強く惹かれたからです。
現在は生産管理チーフとして、新工場の立ち上げや改善活動、さらには採用・教育まで幅広い業務を担当。製薬会社時代に培った「品質管理の厳格さ」や「効率的な生産体制づくりのノウハウ」が大いに役立っているといいます。製造業という共通基盤を持ちながらも、異なる業界に飛び込むことで、自身のスキルの汎用性を再認識できた好例といえるでしょう。
このように、北海道のメーカー業界では「他分野での製造・生産経験」が大きな武器になります。特に、品質や工程管理に関わった経験は、食品・化粧品・日用品など多様な製造現場で求められています。
転職成功事例【北海道】株式会社シロ | 川内和亮さん(37歳男性・生産管理)
地元・札幌で挑む産学連携の現場
北海道出身の太田紀子さん(44歳)は、大学卒業後に東京の大手光学機器メーカーへ入社し、医療用内視鏡の研究開発に約20年間携わってきました。開発・設計から評価、競合調査まで幅広く担当し、研究開発者として豊富な経験を積んできましたが、40代を迎えた頃から「自分の力を別のフィールドでも活かしたい」という思いが芽生え、地元へのUターン転職を決意しました。
新天地として選んだのは、北海道大学の「産学連携推進本部」。同大学が持つ研究成果を社会に還元するため、企業との共同研究や知財管理、教授へのヒアリングなどを担う産学協働マネージャーという職種です。前職で培った研究開発スキルに加え、部門横断的な調整力やプロジェクト推進力が、そのまま産学連携の現場で大きな強みとなっています。
メーカー時代は「製品化」という明確なゴールに向け、スピード感を持って研究開発を進めるのが日常でした。一方、大学の研究は知見を深めたり社会的価値を探ったりすることが主目的であり、判断軸やプロジェクトの進み方も大きく異なります。最初はその違いに戸惑いもありましたが、だからこそ企業で培った"事業化の視点"が役立ち、研究者と企業の間に立って期待値やスケジュール感を調整できる存在として重宝されているのです。
現在は「研究」と「実用化」の橋渡し役として、大学と企業の双方に貢献。未知の分野に飛び込んだことで学び直しの日々ではありますが、研究バックグラウンドを活かした調整力と現場感覚が評価され、やりがいを実感しているといいます。企業から学術界へとキャリアの舞台を移すことで、自身のスキルが新たな形で活かせることを証明した好例といえるでしょう。
北海道における産学連携の現場では、研究や技術開発の経験が高く評価されます。特に、民間企業で培った実務感覚やマネジメント力は、大学や研究機関が社会とつながるうえで欠かせない力となっています。
Uターン転職成功事例【北海道】国立大学法人 北海道大学 | 太田紀子さん(44歳女性・産学協働マネージャー)
転職活動のステップとポイント
この章では具体的な転職活動の進め方を解説します。現在は道外に住んでいる方も多いと思いますので、まずはUターン・Iターン転職の流れについてライフスタイルの観点も含めて解説します。次に、転職活動において必要な「自己分析」「求人の探し方」「面接の対策」の3つのポイントについて解説します。キャリアコンサルタントの転職ノウハウとこれまでUターン・Iターン転職をサポートしてきた経験をもとに、準備のコツと注意点を紹介していきます。
Uターン・Iターン転職のタイムスケジュール
以下の画像は実際に北海道へIターンした方(妻が北海道出身)の時系列をまとめたものです。Uターン・Iターン転職には長期的なスケジュール管理と家族全体のライフプランの見直しが不可欠です。特に、家族全員で移住を検討する場合、夫婦それぞれの転職タイミング、住宅の売却や購入、子供の転校準備など、多くの要素が複雑に絡み合います。

Uターン・Iターン転職を成功させるためのポイント
Uターン・Iターン転職を成功させるためには、いくつかの重要なポイントがあります。まず大切なのは、早めに情報を収集し、各方面に相談することです。地方自治体によっては移住者向けの支援制度が整っていたり、企業側でもUターン・Iターン希望者向けの採用枠やサポート制度を設けていたりすることがあります。こうした制度を積極的に活用することで、転職や移住のハードルを下げることができます。
また、計画は必ずしも思い通りに進むとは限りません。住宅の売却に時間がかかったり、転職活動が長引いたりすることもあるため、柔軟に対応できるスケジュールを組むことが大切です。余裕を持ったスケジューリングが、想定外の出来事にも冷静に対処するための鍵になります。
さらに、転職や移住に関わる専門的な部分については、専門家の力を借りることも検討しましょう。転職エージェントを利用すれば、自分に合った求人の紹介や面接対策などのサポートが受けられますし、不動産コンサルタントに相談することで、物件の売買や賃貸の手続きがスムーズに進みます。自分たちだけで抱え込まず、信頼できるパートナーを見つけることが、成功への近道になります。
自己分析と職務経歴書の作成
札幌で転職を考える際、まず最初に取り組むべきは「自己分析」と「職務経歴書の作成」です。これらは単なる書類作成ではなく、転職活動全体の方向性を定めるための土台づくりです。特に大切なのは、「相手の立場で書く」という視点。「履歴書と職務経歴書を作成してみる【前編】|転職のちょっといい話②」の記事では、企業側が応募者に対して抱く2つの大きな不安に言及しています。
それは、「この人はうちの課題を解決できるか?」ということと、「すぐ辞めてしまわないか?」という懸念です。これらの不安を払拭するには、自分の経験やスキルを単に羅列するのではなく、「なぜ自分がこの企業に合っているのか」をストーリーとして伝えることが必要です。たとえば、プロジェクトでどんな課題に直面し、どのように解決したのか、具体的な成果は何だったのかなど、「事実」を盛り込んだ説得力のある職務経歴書が求められます。
また、自分が転職で何を実現したいのかを明確にすることも重要です。これは「転職で何を改善・実現したいのかを考えてみる|転職のちょっといい話①」で詳しく説明しています。勤務地、仕事内容、待遇、業界など、自分が重視するポイントの優先順位をつけることで、無理のない転職の軸を作ることができます。
求人情報の探し方
自己分析ができたら、次は求人探しに入ります。ここでも大事なのは「読み方」です。単に条件に合った求人を探すのではなく、企業のニーズを読み解く力が問われます。
「履歴書と職務経歴書を作成してみる【後編】|転職のちょっといい話③」では、求人情報から「企業がどのような課題を抱え、どのような人物を求めているのか」を読み取るスキルが紹介されています。たとえば、「新規事業の立ち上げ」や「業務効率化の推進」といったキーワードがあれば、それに対して自分が何を提供できるかを考え、経歴書に反映させることが有効です。
北海道の求人市場は東京や大阪に比べて数は限られる傾向にありますが、その分、1社ごとの分析を丁寧に行うことでマッチ度の高い企業と出会えるチャンスも広がります。ハローワーク、転職エージェント、企業の採用ページなど、情報源を複数持っておくこともおすすめです。
面接に合格するためのコツ
書類選考を突破したら、いよいよ面接です。ここで重要なのは、「書類と面接の一貫性」です。つまり、職務経歴書に書いた「自分が提供できる価値」を、口頭でも説得力を持って伝えることがカギとなります。
先述した「履歴書と職務経歴書を作成してみる【前編】|転職のちょっといい話②」でも触れられているように、企業は「長く働いてくれそうかどうか」という点にも注目しています。そのため、志望動機では「北海道で腰を据えて働きたい理由」や、「なぜこの会社を選んだのか」をしっかり説明できるよう準備しましょう。
また、「履歴書と職務経歴書を作成してみる【後編】|転職のちょっといい話③」でも、未経験職種へのチャレンジにおいては、学習意欲や過去の経験をどう活かすかを事実ベースで説明することの重要性が述べられています。たとえば、「現在○○の資格取得に向けて学習中」といったアピールも好印象につながります。
面接対策は「準備が9割」。自己紹介や志望動機、逆質問などを事前に想定し、札幌の企業文化や業界動向を踏まえた回答を用意しておくことで、合格の可能性は大きく高まります。
まとめ
北海道で未来を描くキャリアを
北海道の転職市場は、全体の有効求人倍率だけを見ると厳しさもあります。しかし、記事で紹介したように半導体・宇宙産業・再生エネルギー・産学連携といった成長産業では人材需要が広がっており、これまでの経験やスキルを新しいフィールドで活かせるチャンスが数多く存在します。
実際に、異業界からRapidusや北海道大学、地場メーカーへと転身し、新しい舞台で活躍している方々の事例は、「北海道だからこそ実現できるキャリア」があることを示しています。変化のただ中に飛び込み、自分の強みを活かすことで、地域とともに成長する未来を切り拓けるのです。
U・Iターン転職は、仕事だけでなくライフスタイル全体を見直す機会でもあります。家族との暮らし、自然に囲まれた環境、そして地域産業を支える誇り、そのすべてが北海道でのキャリアをより豊かなものにしてくれるでしょう。
お役立ち情報
リージョナルキャリア北海道には、札幌市を始めとした北海道内の転職事情やキャリア形成に長けたコンサルタントが在籍しており、定期的にキャリア相談会も開催しております。北海道での転職に少しでも迷っている40代の方はお気軽にご相談ください。