2023.08.17
ラピダス進出 半導体人材育成の鍵、北海道内の理工学系大学に注目!
こんにちは。リージョナルキャリア北海道のコンサルタント、笹本です。
さて千歳市では、次世代半導体の製造を目指すラピダスの工場建設が着々と進んでいますが、一方で工場だけでなく、中で働く人材の確保もラピダス成功の鍵となる重要な要素です。
実は今年6月、北海道経済産業局が主体となって「北海道半導体人材育成等推進協議会」という半導体産業に関わる人材育成を目的とした組織が発足し、初会合が開かれました。
注目は協議会の構成機関です。
ラピダスをはじめ道内に拠点をおくメーカーや業界団体の他、道内の理工学系学部・学科を有する大学6校ならびに4校の高等専門学校(高専)が参画しています。
特に各大学では、2025年の試作ライン立上げ、2027年の量産開始も見据えながら、半導体関連分野の専門家の増員やカリキュラムの充実に向けて準備を加速させる方針のようです。
今回は改めて、「道内の理工学系大学はどのようなところがあるのか」「それぞれどんな特徴があるのか」「半導体関連分野の研究や最新トピック」などを簡単に紹介したいと思います。
国立大学法人北海道大学
※画像引用:北海道大学HP(最終閲覧日:2023年8月17日)
北海道大学は、全12学部を有する道内最大の総合大学です。
同学の工学部は、応用理工系学科、情報エレクトロニクス学科、機械知能工学科、環境社会工学科の4つの学部からなりますが、その中でも特に半導体関連の研究がおこなわれているのは「情報エレクトロニクス学科」です。
実は同学科では、ラピダス進出を受け、高度情報専門人材の育成のために来年度の定員を50名増員することが決まったとのこと。
さらに先月21日には「半導体拠点形成本部(仮称)」という半導体関連の研究や人材育成を統括する組織を新たに設置することが明らかになりました。
今後、道内の半導体研究・教育をリードしていくことが期待されます。
※参考:北海道新聞(2023年7月21日付)「北大が半導体窓口組織 他校と連携し人材育成 ラピダス支援へ10月設置」
国立大学法人室蘭工業大学
※画像引用:室蘭工業大学HP(最終閲覧日:2023年8月17日)
室蘭工業大学は、北海道の工業都市である室蘭市にある大学です。室蘭はもともと鉄鋼業で栄えた町で、同学もその産業発展に寄与してきた歴史のある大学です。
学部は、理工学部のみの単科大学で、創造工学科とシステム理化学科の2学科編成ですが、学科内には複数のコースを有しており、創造工学科には建築土木工学コースや航空宇宙工学コース、システム理科学科には化学生物システムコースなどがあります。
とくに半導体関連と親和性が高いのは、創造工学科の「電気電子コース」でしょう。
半導体工学などの分野が学べる他、新しい半導体材料の開発を専門とする研究者も在籍しているようです。
国立大学法人北海道国立大学機構北見工業大学
※画像引用:北見工業大学HP(最終閲覧日:2023年8月17日)
北見工業大学は、日本の国立大学としては最北に位置する大学として有名です。
大学周辺には、世界遺産登録されている知床をはじめ複数の国立公園があり、また、オホーツク海に面する寒冷地であることから「自然と調和するテクノロジーの発展」をキーワードとした研究が盛んに行われています。
室蘭工業大学と同様、学部は工学部のみの単科大学。地球環境工学科と地域未来デザイン工学科の2学科で、特に半導体関連分野を扱う「先端材料物質工学コース」は地球環境工学科に属しています。
公立千歳科学技術大学
※画像引用:公立千歳科学技術大学HP(最終閲覧日:2023年8月17日)
公立千歳科学技術大学は、なんと言ってもラピダスの工場建設地と同様の千歳市美々に立地する大学として注目を集めています。
同大学は元々、ホトニクスや光サイエンスといった光技術関連の研究に強く、大学周辺にはラピダスの他にも光技術に関連する企業が複数立地しています。
それらの企業は卒業生の就職先にもなっている他、研究室が外部開放されているため、新技術の開発や製品化に関わる共同研究も盛んに行われており、今後ラピダスとも同様の連携が生まれることが期待できます。
先月には、同学が半導体関連の教員の公募をはじめ、来年度には研究室も設けるというニュースが出たことも話題となりました。
※参考:日本経済新聞電子版(2023年7月14日付)「北海道大学 道外出身者が7割 下降する地元大学進学率データで読む地域再生」
北海学園大学
※画像引用:北海学園大学HP(最終閲覧日:2023年8月17日)
北海学園大学は札幌市内の私立大学です。俳優・大泉洋さんの母校として名前をご存じの方も多いのではないでしょうか。
メインは経済学部、経営学部、法学部、人文学部といった文系学部ですが、唯一理工系学部として工学部を有しており、キャンパスも工学部のみ別キャンパスを構えています(山鼻キャンパス)。
同学の工学部は社会環境工学科、建築学科、電子情報工学科、生命工学科からなり、とくに半導体分野の領域は「電子情報工学学科」で学ぶことができるようです。
学校法人北海道科学大学
※画像引用:https://www.hus.ac.jp/(最終閲覧日:2023年8月17日)
北海道科学大学も札幌市内にキャンパスを持つ私立大学で、2024年に創立100周年を迎える歴史ある大学でもあります。
学部は、工学部、薬学部、保健医療学部、未来デザイン学部の4学部からなり、工学部はさらに機械工学科、情報工学科、電気電子工学科、建築学科、都市環境学科の5学科から編成されています。
そのうち「電気電子工学科」で半導体関連の分野を扱っており、半導体デバイスに関する授業など、半導体の専門科目も用意されているようです。
まとめ
以上、今回は道内の理工学系の大学を紹介しました。
なお前述の通り、半導体人材の育成の観点では、大学に限らず道内の高専(函館工業高等専門学校、苫小牧工業高等専門学校、釧路工業高等専門学校、旭川工業高等専門学校)も積極的に連携していくようです。
それにより、今後は道内でより多くの専門技術者が生まれることが期待できそうですね。
ちなみに直近では、ラピダス進出のニュースを受けて、各大学出身者から北海道へのU・Iターン転職の相談を受ける機会も多くなりました。
これまで培ってきた経験や技術を北海道の地に還元できるよう、ご支援させていただきますので、お気軽にご相談ください。
<参考URL>(各HPの最終閲覧日:2023年8月17日)
・北海道大学HP https://www.hokudai.ac.jp/
・室蘭工業大学HP https://muroran-it.ac.jp/
・北見工業大学HP https://www.kitami-it.ac.jp/
・公立千歳科学技術大学HP https://www.chitose.ac.jp/
・北海学園大学HP https://www.hgu.jp/
・北海道科学大学HP https://www.hus.ac.jp/
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