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その他2022.07.04

北海道出身の作家を読む Vol.2―妖怪小説作家・北海道小樽市出身 京極夏彦

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弊社はUターン転職のお手伝いをしています。Uターンを考えたとき、切っても切り離せないのはやはり「地元」のことでしょう。「地元」から着想し、「地元出身の作家」を切り口とした本選びをお勧めするのが本日のコラムです。

前回は三浦綾子をご紹介しましたが、今回は小樽市が生んだ奇才、「京極夏彦」をご紹介いたします。

京極夏彦について

京極夏彦(きょうごく・なつひこ 1963年生まれ)は北海道小樽市出身の推理小説作家です。現在は日本推理作家協会の第十五代代表理事も勤めています。

元々作家を志していたわけではなく、グラフィックデザイナーとして広告代理店に勤務していましたが、体調不良を理由に退職し、知人とデザイン会社を設立します。バブル崩壊後であったことが響きなかなか仕事が上向かない中、空白の時間を埋めるように初めて執筆したのがデビュー作となる小説『姑獲鳥の夏』でした。その原稿を講談社ノベルスの編集部へ持ち込みをしたところ、当初は返事に数か月かかると言われていたはずが、あまりの面白さに2日で読み終え、あっという間にデビューが決まったという逸話があります。

ちなみにこの時、編集者は「著名な作家がわざと無名のペンネームで持ち込みをしかけたのでは」と疑い、一方の京極も、まさか2日で返事があるとは思わず「ドッキリに違いない」と疑ったといいます。まさに『姑獲鳥の夏』は新進気鋭の怪作であったと言えるでしょう。

なお、京極は妖怪作家とも言われるほど、妖怪や怪異への関心が広く、また作風にもそれがふんだんに表れています。京極自身も世界妖怪協会の会員でもありますし、京極をはじめ、文芸評論家の東雅夫、怪異蒐集家の中山市朗・木原浩勝ら4名により発足された「怪談之怪」は怪談文化の復興を目指すものであり、このことからも生粋の怪談好きであることがうかがえます。

作品について

鮮烈なデビュー作となった『姑獲鳥の夏』(1994年)が第一作目となる「百鬼夜行シリーズ」は京極の代表作といえます。戦後の日本を舞台とした推理小説ですが、妖怪や民俗的な世界観とミステリを融合させた、奥行きのある作風で有名です。主人公の中禅寺秋彦(通称・京極堂)は古本屋を営む傍ら、副業として「憑物落とし」を行う陰陽師であり、ミステリとオカルトを上手く両立させ、当時としては新しい探偵スタイルを確立させました。民俗的な伝承やオカルトに関わる解説が多分に含まれながらも、オカルトをあくまでも論理的に解明し、骨子の推理自体は緻密に組み立てをしているなど、推理小説としても秀逸なシリーズです。

また、作品タイトルには「姑獲鳥」「魍魎」など必ず妖怪の名前が含まれており、実際に妖怪が登場こそしないものの、作品の根幹に深く関連をしていきます。 なお「百鬼夜行シリーズ」は文庫本の分厚さも一躍注目を浴びています。第一作目である『姑獲鳥の夏』から徐々にページ数が増え、『塗仏の宴 宴の支度』『塗仏の宴 宴の始末』では上下巻を合わせて1248ページ(講談社ノベルズ)にも及ぶ作品となっています。ファンからは「サイコロ」や「レンガ」と呼ばれ親しまれているのも特徴でしょうか。

京極の書籍で特徴的なのは、ページ末文で必ず改行するように仕立てを行っている点です。文庫のレーベルによって一ページ内の文量が変化すると、それに合わせて改行位置を修正する徹底ぶりを見せています。これは京極がもともとデザイナーであったことも関係していますが、本人いわく読者の見やすさを追求したものだということです。文庫本をお持ちの方はぜひこの点にも注目をしながら開いてみてください。

「百鬼夜行シリーズ」の第二作目となる『魍魎の匣』では第49回日本推理作家協会賞(長編部門)受賞。ほかに『嗤う伊右衛門』(1997年)で第25回泉鏡花文学賞受賞、第118回直木三十五賞候補。『覘き小平次』(2002年)で第16回山本周五郎賞受賞、『後巷説百物語』(2003年)で第130回直木三十五賞受賞をするなど数々の賞を受賞しています。

なお、京極は挑戦的な作品も多数生み出しており、たとえば「くだらないギャグ小説」というコンセプトに基づき執筆された短編集「どすこい」は、収録タイトルで他の小説のパロディを行っているほか、作者名もそれぞれ「新京極夏彦」「南極夏彦」などおかしな名前に変更しており、遊び心のある作品と言えるでしょう。 そのほかにも唯一のSF作品である「ルー=ガルー 忌避すべき狼」や、土方歳三のキャラクターを大胆に設定した歴史小説「ヒトごろし」など、妖怪小説に限らず幅広い作品を生み出し続けています。

筆者のお勧めの一冊は「虚実妖怪百物語 序/破/急」。妖怪を取り上げながらも実際に作中に登場することは少ない京極作品ですが、こちらの小説はこれでもかと言う程に本物の妖怪が表れるコメディ作品となっています。1000頁を超える大作ですが、章分けが細かく、軽快に進むこともあり長さを感じさせない魅力があります。京極夏彦本人が実名で登場するところもユニークな作品です。

メディアミックス 舞台『魍魎の匣』

日本中で大人気の京極作品は、テレビドラマ、映画、テレビアニメ、漫画など様々なメディアミックスがなされています。舞台化された作品も数多く、最近では2019年にネルケプランニング主催による「魍魎の匣」の公演が行われました。

ちなみに筆者も当時東京へ飛び、舞台化された京極作品を初めて観劇して参りました。1000ページ越えの超大作を上手く2時間に収めた脚本の力にまず驚き、演者の演技力の高さもさることながら、最低限の舞台セットを駆使して構築された場面の奥行きの深さに圧巻されたことを覚えています。なんといっても「匣」がキーワードとなるこの作品、もともとは小説という匣の枠組みに収められていたものが、舞台という匣に移され、観劇している私たち自身も匣の中に入り込んでしまったような感覚に陥るのがなんともいえない没入感を感じられ、最終局面は鳥肌ものです。なお主演の橘ケンチはダンサーとしても活躍されており、作中の名シーンである、京極堂のマジカルステップを軽やかに演じられていたのが印象的でした。「魍魎の匣」を一度は読んだことのある方ならばご想像いただけるかと思いますが、「ほう。」という感嘆の声はしばらく耳に残り続ける印象的な演出をされていました。

公式ホームページ『大極宮』(たいきょくぐう)

大沢在昌・京極夏彦・宮部みゆきの3人が所属する株式会社ラクーンエージェンシーの公式サイトです。 「週刊大極宮」という、三名それぞれの日記や、新刊情報、イベント案内など豊富なコンテンツを楽しむことができます。中には作品の冒頭を、PDFファイルで立ち読みすることができるものもあり、膨大な作品のなかから興味のある一冊を探すのに役に立つことでしょう。 読者参加型の「あなたが選ぶ名ゼリフ大全」もあり、読者と距離が近く楽しめるコンテンツが豊富です。ぜひ一度お立ち寄りください

ここまで、北海道小樽市が生んだ奇才・京極夏彦の紹介をいたしました。この機会にぜひ不思議な京極ワールドの魅力にどっぷりと浸かってみませんか。

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