2022.05.09
北海道の上場企業へ転職を目指す前に知っておきたいこと
こんにちは。リージョナルキャリア北海道スタッフです
私たちは転職コンサルティング会社として、日々転職希望者の方々と面談の機会を頂いておりますが、転職先としての希望条件に「上場企業」を挙げる方が一定数いらっしゃいます。そこで今回は、上場市場の区分見直しの話題から、北海道の「上場企業事情」と「上場企業転職事情」について、簡単にお話しします。
1.上場市場区分の変更
ご存じの方も多いと思いますが、2022年4月4日より、日本取引所グループにおいて上場市場区分の見直しが行われ、東京証券取引所おける「一部」「二部」「マザーズ」「JASDAQ」の各市場が、『プライム』『スタンダード』『グロース』の3区分に再編成されました。その目的は、以下2点の課題を解消するためとのことです。
1.各市場区分のコンセプトが曖昧であり、投資者にとっての利便性が低い
- ・市場第一部のコンセプトが不明確
- ・市場第二部、マザーズ、JASDAQの位置づけが重複している
2.上場会社の持続的な企業価値向上の動機付けが十分にできていない
- ・新規上場基準よりも上場廃止基準が大幅に低く、上場後も新規上場時の水準を維持する動機付けにならない
- ・市場第一部に他の市場から移行する市場変更基準が、市場第一部への新規上場基準よりも緩い
- ・よって、上場後に積極的な企業価値向上を目指すインセンティブが無い
つまり、複数市場の違い・コンセプトが不明確で、投資家の目的に合った投資がしづらいという投資家視点と、さらには、ひとたび上場した企業が更に自身の企業価値を高める努力を促しにくく、上場が目的になってしまう可能性がある、という見方もできると思います。
画像引用:日本取引所グループ 「市場区分見直しの概要」より(最終閲覧日2022年4月28日)
2.北海道の上場企業
日本の上場市場には、上場企業が3,926社存在します。その内訳は、日本取引所グループ3,823社(2022/4/13現在)、札幌証券取引所16社(2021/12/31現在・単独上場のみカウント)、名古屋証券取引所61社(2022/4/18現在・単独上場のみカウント)、福岡証券取引所26社(2022/4/18現在・単独上場のみカウント)となっています。
※2022/4/18現在・リージョナルキャリア北海道調べ
ではその中で、北海道本社の上場企業が何社あるかご存じでしょうか。答えは53社です。
東京本社の上場企業が2,033社であることを考えると、東京と比べて社数ベースで2.6%しかありません。とても少なく見えますが、実はこれが少ないとは一概に言えないのです。というのも、北海道の上場企業数「53」という数字は、全国の都道府県別上場企業数では9位です。上位8都府県は、東京、大阪、愛知、神奈川、埼玉、京都、兵庫、福岡です。それに続くことを考えると、上場企業は少なくとも「少なくはない」と言って良いと思います。
社名 | 所在地 | 旧・上場市場 | 新・上場市場 | 主な事業 |
ニトリHD | 札幌市 | 東証一部 | 東証プライム | 家具製造・小売 |
アークス | 札幌市 | 東証一部 | 東証プライム | 流通小売 |
雪印メグミルク | 札幌市 | 東証一部 | 東証プライム | 食品製造 |
北海道電力 | 札幌市 | 東証一部 | 東証プライム | エネルギー |
北海道瓦斯 | 札幌市 | 東証一部 | 東証プライム | エネルギー |
北の達人コーポレーション | 札幌市 | 東証一部 | 東証プライム | 食品製造 |
ツルハHD | 札幌市 | 東証一部 | 東証プライム | 流通小売 |
サツドラHD | 札幌市 | 東証一部 | 東証プライム | 流通小売 |
CEホールディングス | 札幌市 | 東証一部 | 東証プライム | IT・情報通陳 |
北洋銀行 | 札幌市 | 東証一部 | 東証プライム | 銀行 |
ジャックス | 函館市 | 東証一部 | 東証プライム | 貸金業 |
ファイバーゲート | 札幌市 | 東証一部 | 東証プライム | IT・情報通陳 |
アインHD | 札幌市 | 東証一部 | 東証プライム | 流通小売 |
カナモト | 札幌市 | 東証一部 | 東証プライム | リース |
メディカルシステムネットワーク | 札幌市 | 東証一部 | 東証プライム | 流通小売 |
ウェルネット | 札幌市 | 東証一部 | 東証プライム | IT・情報通陳 |
ホクリヨウ | 札幌市 | 東証一部 | 東証スタンダード | 食品製造 |
フルテック | 札幌市 | 東証一部 | 東証スタンダード | 建設 |
イオン北海道 | 札幌市 | 東証一部 | 東証スタンダード | 流通小売 |
クワザワHD | 札幌市 | 東証一部 | 東証スタンダード | 建材卸売 |
進学会HD | 札幌市 | 東証一部 | 東証スタンダード | 学習塾 |
土谷HD | 札幌市 | 東証二部 | 東証スタンダード | ハウスメーカー |
北海道コカ・コーラボトリング | 札幌市 | 東証二部 | 東証スタンダード | 食品製造 |
ナラサキ産業 | 札幌市 | 東証二部 | 東証スタンダード | 機械卸売 |
ホーブ | 上川町 | JASDAQ | 東証スタンダード | 農業 |
北雄ラッキー | 札幌市 | JASDAQ | 東証スタンダード | 流通小売 |
和弘食品 | 札幌市 | JASDAQ | 東証スタンダード | 食品製造 |
フジタコーポレーション | 苫小牧市 | JASDAQ | 東証スタンダード | サービス |
丸千代山岡家 | 札幌市 | JASDAQ | 東証スタンダード | 飲食 |
エコミック | 札幌市 | JASDAQ | 東証スタンダード | アウトソーシング |
SDエンターテイメント | 札幌市 | JASDAQ | 東証スタンダード | サービス |
キムラ | 札幌市 | JASDAQ | 東証スタンダード | 建材卸売 |
ダイイチ | 帯広市 | JASDAQ | 東証スタンダード | 流通小売 |
総合商研 | 札幌市 | JASDAQ | 東証スタンダード | 広告代理店 |
札幌臨床検査センター | 札幌市 | JASDAQ | 東証スタンダード | 医療関連サービス |
テーオーHD | 札幌市 | JASDAQ | 東証スタンダード | 卸売・流通小売 |
JIG-SAW | 札幌市 | マザーズ | 東証グロース | IT・情報通陳 |
エコモット | 札幌市 | マザーズ | 東証グロース | IT・情報通陳 |
リビングプラットフォーム | 札幌市 | マザーズ | 東証グロース | サービス |
北弘電社 | 札幌市 | 札証本則 | 札証本則 | 建設 |
北海電気工事 | 札幌市 | 札証本則 | 札証本則 | 建設 |
日糧製パン | 札幌市 | 札証本則 | 札証本則 | 食品製造 |
ほくやく・竹山HD | 札幌市 | 札証本則 | 札証本則 | 医薬品卸売 |
キャリアバンク | 札幌市 | 札証本則 | 札証本則 | 人材サービス |
中道リース | 札幌市 | 札証本則 | 札証本則 | リース |
ロジネットジャパン | 札幌市 | 札証本則 | 札証本則 | 運輸 |
北海道中央バス | 小樽市 | 札証本則 | 札証本則 | 運輸 |
FUJIジャパン | 札幌市 | 札証本則 | 札証本則 | 建設 |
光ハイツ・ヴェラス | 札幌市 | アンビシャス | アンビシャス | 福祉 |
インサイト | 札幌市 | アンビシャス | アンビシャス | 広告代理店 |
日本グランデ | 札幌市 | アンビシャス | アンビシャス | 不動産 |
エコノス | 札幌市 | アンビシャス | アンビシャス | 流通小売 |
フュージョン | 札幌市 | アンビシャス | アンビシャス | マーケティング |
一寸房 | 札幌市 | TOKYO PRO Market | TOKYO PRO Market | 建設・建築設計 |
北海道歯科産業 | 札幌市 | TOKYO PRO Market | TOKYO PRO Market | 医療資材卸売 |
軽自動車館 | 札幌市 | TOKYO PRO Market | TOKYO PRO Market | 自動車小売 |
首都圏からUターンしてくる方は、現在は上場企業に勤務していたり、IPOを目指すベンチャーに在籍していたりなど、上場が身近にある企業で仕事をしています。しかしいざ、北海道へ(北海道のみならず、ローカルへ)の転職を考えた時には、その社数の少なさから上場企業への転職は容易ではありません。そのため、非上場企業へ転職する可能性が高くなります。
3.ローカルの非上場企業で仕事をするということ
上場企業は、一般的には以下のような点が働く側にとっての魅力やメリットと考える方が多いのではないかと思います。
- ・安定した業績の継続
- ・クリーンな取引
- ・コンプライアンス遵守
- ・働き方改革の進行
- ・潤沢な財務力
- ・確立された業務フロー
- ・これらによって担保される給与水準の高さや年間休日の多さ など
では、ローカルの非上場企業で仕事をすることはその逆で、デメリットばかりなのかというと、私は、全くそうは思っていません。道内の非上場企業の多くはオーナー企業であり、"オーナー=経営者"というケースも多くあります。そのような企業ならではのメリット・デメリットに目を向けてみたいと思います。
3-1.非上場企業(主にオーナー企業)で働く【メリット】
- ・オーナー社長の影響力が大きく意思決定が早い、大きな方向転換もすぐにできる
- ・業務フローやルールがほぼ無い場合も多く、仕組みづくりや業務フローの変更を自らでき、それによって会社の生産性を上げることができる
- ・売上、時価総額、四半期ごとの利益、といった株主目線からのプレッシャーに縛られず、通期や2~3年を見据えた経営や、利益追求ではない例えば「地域に目を向けた経営」ができる
- ・ルールが整っていないゆえに、給与テーブルに縛られず、優秀な方に高い年収を出せる
オーナー経営者と意気投合し、自分の「価値観」「目線」がしっかり合っていると、上場企業よりも、個人が多くの成果を出せる可能性が高まってくるのではないでしょうか。これは、「上場・非上場」という観点だけではなく、「大企業・中小企業」といった枠にもあてはまってくることと思います。
3-2.非上場企業(主にオーナー企業)で働く【デメリット】
- ・オーナー社長の急な方針変更や独断による重要な意思決定に共感・同意できない場合や、それに振り回されてしまう可能性がある
- ・業務フローやルールが整っておらず、総務、経理、法務面などでコンプライアンス上の課題を抱えている場合がある
- ・労務環境や働き方において、労働時間管理や、残業残業代に関する意識が低い場合がある
- ・経営者の一存で、給与を大幅に変更されることがある
オーナー経営者と価値観が大きくずれてしまい、相互理解が難しくなってしまった場合や、それらを原因に人間関係が悪化するなどの状況が発生し、それを自身が許容できなくなってしまったときは、長く働くことが難しくなってしまいます。
つまり、自身の価値観と合う経営者に巡り合えるかが非常に重要です。そして、入社後には日々経営者とコミュニケーションを取り、目線を合わせ続ける必要もあるでしょう。そこがズレていると日々の仕事はつまらないものになり、活躍の機会も減ってしまいます。先に述べた「面白さ」の要因が、逆に全てデメリットになります。そうならないためにも、事前のリサーチが重要になってくるのではないでしょうか。
4.北海道の上場企業経営者へのインタビュー記事紹介
北海道の企業経営者へインタビューする弊社コンテンツ「採用が経営を変えた瞬間」の中で、上場企業の経営者へインタビューさせていただいた記事をまとめます。宜しければご一読くださいませ。
ウェルネット株式会社(東証プライム市場)
https://www.regional.co.jp/change/202006_vol86.html
株式会社北の達人コーポレーション(東証プライム市場)
https://www.regional.co.jp/change/201712_vol44.html
株式会社CEホールディングス(東証プライム市場)
https://www.regional.co.jp/change/201706_vol32.html
サツドラホールディングス株式会社(東証プライム市場)
https://www.regional.co.jp/change/201611_vol16.html
北海道コカ・コーラボトリング株式会社(東証スタンダード市場)
https://www.regional.co.jp/change/201907_vol76.html
エコモット株式会社(東証スタンダード市場)
https://www.regional.co.jp/change/202106_vol112.html
フルテック株式会社(東証スタンダード市場)
https://www.regional.co.jp/change/201808_vol65.html
フュージョン株式会社(アンビシャス市場)
https://www.regional.co.jp/change/201803_vol51.html
(参考)株式会社北海道銀行 ※ほくほくフィナンシャルグループとして上場(東証プライム市場)
https://www.regional.co.jp/change/201612_vol18.html
お役立ち情報
▼コンサルタントに直接相談をご希望の方はこちら
▼北海道の求人情報をお探しの方はこちら
▼転職支援サービスへのエントリーはこちら