2023.09.01
札幌を舞台にした文学作品たち
こんにちは。リージョナルキャリア北海道スタッフです。
弊社はU・Iターン転職のご支援をしています。Uターンを考えるとき、やはり誰もが「地元」のことについて想いを馳せるでしょう。
そこで今回は、北海道札幌市を舞台にした文学作品たちをご紹介します。触れたことの無い作品があればぜひ一度お手に取ってみてください。
『探偵はバーにいる』東直己(早川書房)
札幌市出身の筆者のデビュー作であり、「俺」を主人公にしたハードボイルドな探偵シリーズの第1作品です。北海道の大スターである大泉洋さんが主演の同名映画でご存じの方も多いはず。
ススキノで便利屋を営む主人公「俺」は、ある日大学の後輩から彼女の失踪を告げられます。気軽に引き受けたものの、気付けば物語は殺人事件にまで発展していきます。
会話文には方言も使われており、北海道ならではの味わいを楽しめます。
『北緯43度のコールドケース』伏尾美紀(講談社)
2021年に第67回江戸川乱歩賞を受賞したミステリ作品。北海道警察の女性警察官の主人公は、ある日、札幌市南区で女児の遺体が発見されたことをきっかけに、未解決の女児誘拐事件の調査へ関わっていくことになります。
表題の通り、北緯43度線が通過する札幌市を舞台にしているだけあって作中には札幌市の地名が多く登場しており、札幌に住んだことがある方は情景を想像しながら楽しむことができるでしょう。
魅力的な登場人物や、中盤からの怒涛の展開にのめり込むこと間違いなし。
『弁当屋さんのおもてなし ほかほかごはんと北海鮭かま』喜多 みどり(KADOKAWA)
札幌市の豊水すすきの駅近く、路地裏にあるお弁当屋さんを舞台にした人情小説です。
「お弁当」をテーマに4話からなる連作短編で構成されており、読みやすく読後感もあたたかな気持ちになるので、ほっと一息尽きたいときにお勧めの一冊です。
なお、2023年2月にはHTBの開局55周年記念ドラマも作られています。
『あのポプラの上が空』三浦綾子(講談社)
医学部を目指している主人公・佐川は、札幌のとある病院長の元に下宿をしています。一見幸せそうに見える家族は、その実バラバラであり、不和の亀裂は徐々に大きくなっていきます。
お金があれば幸せなのか、そもそも幸せとは、家族とは何か、という問いを投げかけてくれる作品です。
ちなみに、筆者の三浦綾子は旭川市出身であり、地元旭川には三浦綾子記念文学館が建てられています。
『ドーナツの歩道橋 (teens' best selections)』升井純子(ポプラ社)
ヤングケアラーの女子高生を主人公に置いた作品。
札幌近郊に暮らし、3世帯同居で祖母の介護を行っている主人公・麦菜は介護と学校生活のバランスに悩み苦しみます。
大好きだったはずの祖母が認知症により少しずつ変化していき、その介護を通じて嫌いという感情が湧いてしまう自分自身への葛藤がリアルに描かれており、現代社会の問題を考えさせられる作品です。
『死にがいを求めて生きているの』朝井リョウ(中央公論新社)
共通の設定を元に、複数の作家が執筆を行う「螺旋プロジェクト」のうちの一冊です。
「みんな違ってみんな良い」という耳馴染みの良い言葉が広まった平成の若者たちが、自分にとってのオンリーワンとは何か、ということに息苦しさを覚え、生きづらさを訴えかける作品。
朝井リョウといえば『何者』も有名ですが、若者が胸の内に抱えた葛藤や虚無感、苦しさを鋭い筆致で描写される作家であり、読後感に必ず何かが残る一作となっています。
『ウチらは悪くないのです。』阿川せんり(新潮社)
幼馴染二人の日常を緩やかに描いたほのぼの作品。
あさくらとうえぴは気ままに大学生活を謳歌していましたが、とあるきっかけから初めての彼氏ができ、周囲の当たり前に翻弄されていきます。
口語のような独特の文章は最初こそ驚くかもしれませんが、読み進める内にクセになる味わい。
『田村はまだか』朝倉かすみ(光文社)
独特なタイトルに惹かれてしまう本作。小学校のクラス会、大雪で列車が遅れたために3次会になっても未だに顔を出さない同級生「田村」を待つ5人の男女たちが一夜語り合う物語です。
いつまでも登場しない「田村」の話題を中心に、少しずつ5人の男女の人物像が浮き彫りになっていくのが愉快で、結末まで一気に読み進めてしまうでしょう。
いかがでしょうか。今回ご紹介した作品はほんの一部です。
文学を楽しむ方法はたくさんありますが、土地に着目して作品選びをすることで、その作品の背景にある物語を推測することもできます。ぜひ、自分にゆかりのある土地に注目し、それが題材や舞台になっている作品を探してみてください。
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