2022.09.09
北海道のIT転職市場2022~スタートアップ編~
こんにちは。リージョナルキャリア北海道のコンサルタント、荻野です。
私はコンサルタントとしてこれまで1,000名以上の方と面談させていただきました。直近3年間はIT業界専任担当であったこともあり、うち3割以上はIT系職種の方です。
北海道へのU・Iターンを検討されているIT系職種の方から最も多い質問が「北海道のIT転職市場について教えてもらえませんか?」ということです。
IT業界の特徴といえば、スタートアップの出現割合が他業界よりも多いということです。そこで、今回はスタートアップをテーマとさせて頂きたいと思います。
「ベンチャー」と「スタートアップ」の違い
混合されやすいのがベンチャーとスタートアップの違いです。
明確な定義があるわけではないようなのですが、一般的にベンチャーは「既存のビジネスモデルをベースとしながらスケールさせたり収益性を高めたりすることで成長をはかる企業」、スタートアップは「新規性や革新性によって社会にイノベーションをもたらし、さらに短期で急激な成長を目指す企業」とされています。
IT産業にスタートアップが多い理由
20世紀は「商品経済の時代」であり、企業は物理的な商品を設計、製造、販売、出荷することが当たり前でした。エンドユーザーが商品を手にする価格は、在庫・棚入れ・人件費・物流にかかる総コストをベースに決定されていました。
こうしたビジネスモデルが私たちの生活の基盤を作り、そして潤いをもたらしてくれました。
そして、21世紀ではそのモデルに加えてIT産業が盛んになり、今ではSaaSモデルで提供される無形サービスも生活に浸透し、ビジネスモデルとしても在庫・棚入れ・物流にかかるコストがほぼかからないことも珍しくありません。
そのため、単純に価格のみに目を向けた乱暴な言い方をすれば、IT産業は立ち上げコストが低く、それゆえに起業しやすいのだと私は理解しています。
これが、IT産業にスタートアップが多くなりやすい理由の一つかと思います。
日本スタートアップ大賞
では、日本でどのようなスタートアップが活躍しているのかについて目を向けてみたいと思います。
経済産業省は2022年6月に「日本スタートアップ大賞2022」を発表、表彰を行いました。
日本スタートアップ大賞 受賞企業一覧
■日本スタートアップ大賞
株式会社アストロスケールホールディングス
■グローバル賞
スマートニュース株式会社
■ダイバーシティ賞
五常・アンド・カンパニー株式会社
■農業スタートアップ賞
ユーザーライク株式会社
■大学発スタートアップ賞
株式会社Synspective
■審査委員会特別賞
株式会社ビザスク
■審査委員会特別賞
株式会社ヘラルボニー
(参照:経済産業省HP『「日本スタートアップ大賞2022」の表彰式を行いました!』
すべてがIT企業ではありませんが、いずれの企業もITやテクノロジーと新規性をかけ合わせ、新たな付加価値を生み出していることは共通しています。
日常に溶け込んでいるサービスもありますので、目にされたことのある企業もあるのではないかと思います。
札幌のスタートアップの増加
札幌にも札幌発祥のスタートアップの躍進に加え、本州発祥のスタートアップの札幌進出も目立つようになってきました。この背景には、企業独自の戦略が元になっているのはもちろんですが、国をあげてのスタートアップへの後押しもあると見ています。
岸田文雄首相が掲げる「新しい資本主義」は長期的な経済政策です。社会的課題を解決しながら経済成長を目指す上で、計画的な重点投資先として、以下の5つの分野を挙げています。
- ①人
- ②科学技術・イノベーション
- ③スタートアップ
- ④グリーン
- ⑤デジタル
つまり、国が重点的にお金を含めたリソースを投資していくことの宣言と言えるでしょう。
札幌のスタートアップの躍進
資金調達による急激な成長も、スタートアップの特徴のひとつです。
2022年8月14日付の北海道新聞では、北海道企業の2021年の資金調達額が前年比2倍の69億円まで拡大している(「札幌・北海道スタートアップ・エコシステム推進協議会」業績評価指標による)ことが報じられました。
また同記事では、経済産業省 岩永正嗣氏局長の「北海道内で上場企業が3社程度出てくるのでは」とのコメントのほか、2022年4月~7月の北海道内スタートアップ資金調達額はすでに40億円程度の見通し(「スタートアップ・シティー・札幌プロジェクト」事務局)であることも報じています。
参照:2022年8月14日北海道新聞電子版「スタートアップ資金調達、2倍の69億円 札幌・北海道エコシステム推進協21年度」 ※最終閲覧日2022年9月9日
さらに経済産業省北海道経済産業局と(一財)さっぽろ産業振興財団と共同で立ち上げた「J-Startup HOKKAIDO」は、グローバルに活躍することが期待される地域に根差した有望なスタートアップ企業を選定し、公的機関と民間企業が連携して集中支援を実施することで、スタートアップ企業の飛躍的な成長を図っています。
この「J-Startup HOKKAIDO」に認定されている新興企業が上場する動きも出てきています。
参照:札幌市HP「J-Startup HOKKAIDO 」、STARTUP CITY SAPPORO 公式サイト ※最終閲覧日2022年9月9日
最後に
私の思うスタートアップとは、「成長」「革新」「新しい世界」です。転職先としてスタートアップを好んで選ぶ方もいます。そして逆に、それを避けようとする方もいます。
大企業からスタートアップへの転職も選択肢のひとつです。スタートアップから別のスタートアップへの転職もまた選択肢のひとつです。どの選択も間違いではありません。リスク許容度は人それぞれです。
スタートアップという表現は最近になってからではありますが、これまでに世の中を大きく変えてきたのは、間違いなく道なき道を切り拓いてきたスタートアップの魂を持った人たちです。
道なき道を切り拓こうとするスタートアップ企業と、そこで働きたいと考える転職希望者の方との良縁をお繋ぎできることを楽しみにしています。
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