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2024年、東証上場。地域ニーズに合った住宅を末永く提供する体制が整った。

株式会社ロゴスホールディングス
代表取締役社長 池田 雄一

更新日:2025年9月10日

1967年生まれ。個人設計事務所、大手ハウスメーカー勤務を経て、2003年にロゴスホームを創業。20年より、豊栄建設の社長も兼務。21年、ロゴスホールディングスを設立し、事業会社にロゴスホーム、豊栄建設を抱える形でスタート。22年に栃木のGALLERY HOUSE、24年に新潟の坂井建設が加わる。25年には東海エリアにも新規出店。「地域固有のブランド・ノウハウを生かす、日本一のアライアンス企業」を目指す。
※所属や役職、記事内の内容は取材時点のものです。

上場で広がった、挑戦する人材との出会い。

ロゴスホールディングスは地域に根差した複数の住宅会社を統括するグループの中核企業として、2021年に設立されました。

帯広発のロゴスホーム、札幌を拠点とする豊栄建設を中心に、北海道から東北、北関東・東海まで事業エリアを広げ、地域に根ざした企業同士が手を取り合いながら成長を遂げてきました。

一般的に、地方を拠点とするハウスビルダーにとって人材採用は非常に高いハードルです。営業職や設計・施工などの中核職種はもちろんのこと、ITやDXといった先端領域では、そもそも応募が集まらないという声も少なくありません。

そうしたなかで、私たちは2024年6月に東証グロース市場に上場し、新たなフェーズへと踏み出しました。特に人材採用の面では大きな変化があり、大手住宅会社からの中途入社も増えています。

上場によって開示された財務情報をもとに他社との比較が可能になり、ロゴスホールディングスの将来性を客観的に判断できるようになったことが大きいと感じています。

全国展開している大手ハウスメーカーとは異なり、私たちはまだ成長途中の段階です。この「成長の余白」こそが、チャレンジ志向の人材にとって魅力になっているのではないでしょうか。

現場の最前線で挑戦し、仕組みをつくり、組織を動かしていけるフェーズ。まさに、働く人自身が企業成長の主役になれるタイミングなのです。

地域に最適な家を、持続可能なかたちで届ける。

今、住宅業界はさまざまな構造的課題に直面しています。少子高齢化による市場の縮小、資材価格の高騰、職人の高齢化と人手不足、さらには法改正や気候変動への対応など、取り巻く環境は年々厳しさを増しています。

こうした変化に対し、従来の延長線だけでは持続的な住宅提供が難しくなってきているのが実情です。こうした時代だからこそ、私たちは「長く住める家」をつくることはもちろん、「長く提供し続けられる体制」を築くことにも重きを置いてきました。

私たちは、エリアごとに異なる気候風土や暮らしに合わせた設計・施工を行いながら、グループ全体でノウハウを共有し、品質と生産性を両立できる仕組みを整えています。たとえば寒冷地では断熱性能や耐雪構造を強化し、多湿地域では通気性に配慮した設計を取り入れるなど、「その土地に合った家」を提供することを第一に考えています。

また、工場で事前に構造体を組み立てるユニット工法を一部導入し、冬場の屋外作業を減らすなど、つくり手の安全性や作業効率にも配慮した取り組みを進めています。さらに資材調達や管理機能の集約によってコスト効率も向上し、適正価格で高品質な住宅を安定的に提供できる体制が整いつつあります。

住宅はお客さまの暮らしの基盤であると同時に、企業としての持続性が問われる領域でもあります。だからこそ私たちは、構造変化を前提に据えた家づくりを真摯に追求しているのです。

ローカルの知見を未来につなぐM&A戦略。

私たちの成長を語るうえで欠かせないのが、地域に根差してきた住宅会社とのM&Aによる連携です。これは単なる事業拡大のための手段ではなく、それぞれの土地で暮らしを支えてきた企業の知見を次世代へと継承していく取り組みだと考えています。

たとえば、2022年に栃木のGALLERY HOUSE、2023年には新潟の坂井建設がグループに加わりました。坂井建設は新潟全域で年間200棟超を施工し、売上高67億円・無借金経営という健全な財務体質を持つ、地域を代表する企業のひとつです。

私たちはこうした企業の歴史やブランド、そして現場を支えてきた従業員の力を何より大切にしています。私たちのM&Aは、決してマネーゲームではありません。住まいづくりを共に実現するパートナーだと考えています。

実際、社名や経営陣は原則そのままの体制で、現場の自主性を尊重したうえでグループとしてのDX支援、デジタルマーケティング、人材採用のノウハウ、資材の共同調達などを通じて、単体では実現が難しかった課題の解決を支援しています。

背景には、業界全体で深刻化する事業承継の問題があります。優良な地場企業であっても、後継者不在によって将来に不安を抱えているケースは少なくありません。

だからこそ私たちは、経営者が築き上げた価値を守りながら、その企業に新たな可能性を加える「共存のM&A」を貫いています。

地域で愛されてきた企業のDNAを次代につなぎ、その土地に根差した家づくりを持続可能なかたちで広げていく。私たちはこれからも、現場で培われてきた知恵と人の力をグループ全体の成長の原動力として生かしていきます。

2030年、引渡棟数5,000棟の実現を目指して。

私たちロゴスホールディングスが掲げている中期目標の一つが、「2030年までに年間引渡棟数5,000棟」を達成することです。現在は約1,000棟の実績ですので、5年で5倍という非常にチャレンジングな目標です。

ただ、これは単なる数字の話ではありません。この目標には、企業観と住宅業界への意思が込められています。

まず、出店戦略としては、現在の東日本を中心としたエリアから、さらに全国へと拠点展開を進めています。2025年には名古屋市に自社単独型の常設住宅展示場を新設し、西日本エリアへの展開も本格化しつつあります。

M&Aによって地域密着の有力ビルダーと連携を広げながら、1社単独では成し得ない広域展開と多拠点体制の構築を進めています。

同時に、グループのデジタル戦略も加速させています。集客から設計、資材調達、業務管理までの各工程でデジタル化を推進しており、グループ会社である「ROOT LINK」が主導するDX戦略が生産性の向上に大きく貢献しています。

私たちは、企業規模の拡大と現場力の維持、この両立にこだわっています。急成長によってブランドや現場の質が犠牲になるのではなく、あくまでも地域ごとの特性を尊重し、自主性を守りながらスケールしていく。「企業文化の多様性を活かした集合体」として、新たな形の住宅企業モデルを模索しています。

「地方での暮らし」と「キャリアアップ」は両立できる。

私たちは、「地方に暮らすこと」と「成長できるキャリアを築くこと」は、決して相反するものではないと考えています。むしろ、その両立を実現できる環境こそ、これからの企業に求められる価値だと考えています。

上場以降、ロゴスホールディングスには大手住宅会社や異業種出身者、さらには研究職や教育分野からのUターン人材まで、多様なバックグラウンドを持つ仲間が加わっています。

現在、グループ全体で約700名の社員が在籍し、毎年50名以上の新卒と100名超の中途人材を採用しています。

新規出店やM&Aにより、企業フェーズの拠点が複数存在するため、若手にもベテランにもそれぞれの強みを発揮できる場があります。役割の幅広さや裁量の大きさも、成長意欲のある方にとって大きな魅力といえるでしょう。

私たちが大切にしているのは、「自ら考え、動けるリーダーシップ」と「周囲と力を合わせるチームワーク」の両立です。環境が未整備なフェーズだからこそ、決まった答えを待つのではなく、主体的に仕組みをつくっていく力が求められます。

その一方で、住宅という商品は一人ではつくれません。設計・インテリアコーディネーター・施工・営業が連携してこそ、満足いただける住まいが提供できます。

一人ひとりの力を最大限に引き出しつつ、それらを共通の目的に向けて結集させる「チームで結果を出す力」こそ、私たちが最も大切にしている仕事の姿勢です。

働き方の面でも柔軟性を推進しています。「社員とその家族の時間を大切にする」という方針のもと、20時以降や休日のPCシャットダウンを徹底し、振替休日の取得定着、来期からは年間休日120日への拡大など、制度整備を進めてきました。

バースデー休暇や育児支援制度を導入し、2024年には男性を含む育休取得率100%を実現しています。職種によってはフルリモート勤務も可能で、ライフステージに応じた多様な働き方を選べます。

人生のフェーズが変わっても、成長する機会を諦めない。その選択肢を、地方で実現する。それが私たちロゴスホールディングスの目指す、これからの働き方のかたちです。

家づくりと同じように、働く人の人生にも長く向き合える企業でありたいと、私たちは本気で思っています。

編集後記

チーフコンサルタント
笹本 香菜

地方発の住宅グループとして異例のスピードで成長を遂げているロゴスホールディングス社。インタビューを通して印象的だったのは、単なるM&A戦略にとどまらず、「地域文化と暮らしに根ざした家づくり」を真剣に追求している姿勢でした。

人口減少や事業承継といった地方特有の課題をテクノロジーと人的多様性で乗り越えようとする姿には、住宅業界の未来を切り拓くヒントが詰まっています。

池田社長は柔らかな物腰と明快なビジョンを併せ持つ方で、地方の価値を信じて次代の暮らしを築こうとする情熱が言葉の端々から伝わってきました。

「地方で働くことがキャリアアップになる」――そんな逆転の発想が、今後どれだけ多くの人に新しい選択肢を与えるのか。その実現に向けて、私たちも引き続き伴走し、全力で応援していきます。

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