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全国のホームビルダーと提携し、地域に寄り添う住まいを提供。

株式会社ロゴスホールディングス
代表取締役社長 池田 雄一

更新日:2022年12月28日

1967年生まれ。個人設計事務所、大手ハウスメーカー勤務を経て、2003年にロゴスホームを創業。20年より、豊栄建設の社長も兼務。21年、ロゴスホールディングスを設立し、事業会社にロゴスホーム、豊栄建設を抱える形でスタート。22年には栃木のGALLERY HOUSEが加わる。「地域固有のブランド・ノウハウを生かす、日本一のアライアンス企業」を目指す。
※所属や役職、記事内の内容は取材時点のものです。

プラットフォーム化により、経営管理やノウハウを共有。

1989年に設立し、札幌および周辺地域に展開する豊栄建設。2003年に帯広で設立後、北海道主要都市を網羅し、さらに青森・岩手・宮城にも進出するロゴスホーム。そして、共に地域に基盤を置くホームビルダーがアライアンスを交わし、2021年からスタートしたのがロゴスホールディングスです。

両社が仲間となったことで、北海道における住宅着工数はNO.1(※)となりました。2022年には、栃木のビルダーであるGALLERY HOUSEもこれに加わっています。業績が右肩上がりであった3社が、協力してホールディングスを目指すことになった目的は、「プラットフォーム化」と「持株会社化」にあります。

少子高齢化による市場縮小で、住宅業界を取り巻く事情も厳しいものがあります。資材の値上がり、職人の手配、住宅関連の法改正といった課題に個社だけで対応することは難しくなってきました。加えて、昨今は事業承継の問題もあります。

これらを乗り越える一つの手段が、プラットフォーム化です。総務・経理・財務・法務といった管理部門の統合、資材調達やノウハウの共有、設計の均質化、さらに人材採用などを一緒に実行できるようにすると、事業の効率性は大幅に向上します。

※2020年、北海道住宅通信社「北海道住宅データバンク」調べ(ロゴスホームと豊栄建設の実績合算)

持株会社化で、経営者の人生のEXITを支援。

一方、「経営者の人生のEXIT」という問題も無視できません。「地元の力になりたい」という想いで創業して住宅会社を営む経営者が、47都道府県には大勢います。

そういった創業者たちもいずれは会社から離れるわけですが、その際、我が子のように育て上げた会社を信頼のおける人に引き渡し、苦労に見合う資産を手にして第二の人生に踏み出したいと考えるのは、当然でしょう。

そのお手伝いをするため、持株会社という仕組みを利用します。現在、ロゴスホールディングスはIPOを目指し、準備を進めているところです。上場となれば、株式売却による事業の資産化が容易になり、創業者のEXITをより豊かなものにできるわけです。

現在は3社によるホールディングス体制ですが、私はここに留めるつもりはありません。各地域のホームビルダーに声をかけ、アライアンスによってつながっていきたいと考えています。

「家づくりを通して幸せな家族を増やしていきたい」という志を同じくする会社と力を合わせ、事業を発展させていきます。

家に過分な資金をかけてしまうと、日々が窮屈になる。

こうした体制の構築は、理想の住まいを求めるお客さまの安心にもつながります。どのハウスメーカーも、これまでに住宅をご購入いただいたお客さまを数多く抱えています。しかし昨今の情勢では、どれほど実績の確かな会社でも10年先に存続できているかどうか、誰にもわかりません。

住宅というのは20年、30年と残る商品であり、お客さまと住宅会社の関係も長くなるのが通常です。その関係が、10年先も保っていられるかどうか明言できないというのでは、お客さまは心もとないでしょう。ホールディングスの仲間になれば、その安心はより確かなものになるはずです。

お客さまの人生には、家以外に大事なものも数多くあります。例えば、旅行や趣味、子どもの教育などです。なのに、家に過分なコストがかかってしまうと、それらに十分なお金を回せなくなってしまいます。

これは「幸せな家族を増やす」という志とは程遠い状態と言わざるを得ません。家に回せる予算の限度は超えず、日々の生活は充実させる。私たちは、そういった地域で暮らす人々に寄り添う家づくりをしたいと考えています。

ここにもプラットフォーム化が効いてくるわけです。資材調達や設計の共通化が進むと、無駄なコストが削減されます。品質の良いものを適正な価格で提供し、お客さまが何十年も高いローンで苦しめられることなく、快適な暮らしが送れるようになります。

先の読みにくい時代に自分の限度いっぱいまでローンを組むのは、人生にとって高いリスクです。私たちは、一部の富裕者のためではなく、地域の人々が健やかに暮らせる住まいを追求していきたいのです。

総務、経理、DX・・・多くの人材が必要。

全国のビルダーとメリットを共有し合う体制をつくるため、当社には多くの人材が必要です。特に不足しているのが、総務、経理、あるいはDX分野の人材です。IPOを目指す中、管理部門の充実は優先度の高い課題です。

経理に任せたいのは、事業におけるお金の流れを、グループ各社間で徐々に統一することです。今までは個別でバラバラだった伝票処理を、一つの会計システムで入力することにしました。

しかし、やり方が変わると、各所で混乱が発生するものです。経理も、現場の動きを見ていかないとうまく処理できません。こうした混乱をいち早く収め、スムーズな運用に持っていく努力が欠かせないと思います。

IPOを目指す当社にとって、「上場会社にいた」「IPOを経験した」という経理の方は即戦力です。未上場の会社が上場する瞬間に立ち会えるという、滅多にない経験ができるかもしれません。それは当人のキャリアにとっても、大きな出来事になるのではないでしょうか。

また、総務に求めるのは、やはりコミュニケーションスキルでしょうか。企業文化の異なる会社がホールディングスに加わった時、その会社の良さは消さないようにしながら、ある程度やり方を統一していかなければなりません。就業規則や賃金規定などのルールを揃えるには、各社の事情を汲み取る力が必要です。

働き方改革や残業削減の仕組みづくり、コンプライアンスの風土形成など、幅広いフィールドで活躍してほしいと考えています。

DXによって実現したメリットを、お客さまにも還元。

DX人材も積極的に採用したいと思います。DXを活用すると、現場はかなり変えられるはずなんです。

例えば、商談の方法です。当社の場合、テレワークはかなり進んでいるのですが、お客さまとの商談は相変わらず対面が基本となっています。モデルハウスに営業スタッフがいて、お客さまが来場されるのをお待ちして、住宅や設備を案内し、ローンや設計について打ち合わせをします。この昔ながらの営業は、効率化できる部分がかなりあります。

設計について打ち合わせるなら、お客さまと営業スタッフ、そこにフィリピンの設計センターにいる設計スタッフをオンラインでつないで話をすることもできるでしょう。また、お客さまが最初にモデルハウスに来る時は、あえて営業を付けず、自由に見てもらう方がいいという場合もあります。

実は来春、営業スタッフの常駐しないモデルハウスを初めてオープンさせるんです。お客さまの求めに応じて説明するコンシェルジュのようなスタッフはいるものの、営業活動は一切しません。必要な情報は、お客さまがスマホでアクセスすると取得できます。うまくいくかどうかはわかりませんが、やってみなければ、新しいスタイルは創り出せませんから。

対面で行うプロセスの半分でも、DXで効率化できるようになれば、時間と手間が大幅に削減できます。それは住宅の価格を押し下げる原動力となります。お客さまにとってもメリットが大きいのです。

カオスを乗り越え、新たな文化を生み出す、というやりがい。

総務、経理、DX、もちろん営業現場のスタッフも。多くの仲間に集まってもらいたいと思います。

採用の際、特に重視したいのは、視野の広さでしょうか。当社は北海道から出発し、今後全国にアライアンスの仲間を求めていきます。そういう点では、物事を広く捉える姿勢は必要だと感じます。将来は海外への進出も見据えています。海外での設計、ものづくり、そして住まいの販売。そういったことも現実的になってくるかもしれません。

もう一つは、生産性へのこだわりです。全国の仲間との協業が始まる中、テレワークに代表されるような柔軟な働き方の導入や、各社間での仕組みやノウハウの共有は重要になります。

私は、地元のお客さまから愛されるビルダーが集まることで、大きな相乗効果が生まれると考えます。文化が異なる会社が集まるわけですから、当然、その過程ではカオスな状況も表れるでしょう。しかし、カオスを乗り越え、新たな一つの文化を生み出すことは大きなやりがいにつながるのではないでしょうか。当社で働く社員には、そんなやりがいを感じてもらいながら、共に成長を目指していきたいですね。

編集後記

チーフコンサルタント
笹本 香菜

「家づくりを通して幸せな家族を増やしていきたい」。個人設計事務所や大手ハウスメーカーの経験を経て、帯広の地で独立。地域密着型の家づくりを軸としながら、いまや全国に地域ビルダーの輪を広げようと尽力されている池田社長のお言葉は、大変力強く、期待が膨らむものでした。

また、池田社長のお話しからは、お客さまはもちろんのこと、同じ志を持つ全国の地域ビルダーや社員に対する深い情も感じられました。

実現したい世界に向けて、多くの人々を巻き込みながら着実に変革へと繋げていくのが池田社長の凄さ。ホールディングスとしてさらなる成長を目指す同社の活躍を、これからも応援したいと思います。

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