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「発注者視点」のコンサルティングで公共・民間のDX・ITシステム導入を支援。

ピースミール・テクノロジー株式会社
代表取締役社長 林 直樹

更新日:2023年2月15日

千葉大学を卒業後、東京の金融系システム会社に就職。その後、システム開発会社に転職。2000年初頭から、仕事を通じてウルシステムズのコンサルタントと関わりを持つようになる。2010年頃から、ピースミール・テクノロジーの進める札幌市のプロジェクトに参加。2016年、同社に入社。2019年、社長に就任する。
※所属や役職、記事内の内容は取材時点のものです。

産総研から技術移転を受け、技術移転ベンチャーに認定されたことを発端に事業スタート。

ピースミール・テクノロジーの設立は2009年。国立研究開発法人・産業技術総合研究所(産総研)から「AIST包括フレームワーク」の技術移転を受け、産総研技術移転ベンチャーに認定されたことに端を発します。

「AIST包括フレームワーク」とは、情報システム開発を進めるための包括的な枠組みです。業務システムを構築する上で必須となる共通機能を提供するソフトウェアのフレームワークに加え、プロジェクトの進め方や役割分担の定義、作成するドキュメントのテンプレートまでを網羅しています。

「AIST包括フレームワーク」の特徴は、システムの透明性を高める点にあります。システムの品質や進捗がブラックボックス化しがちであり、成果物は開発企業以外が理解しにくい状態でした。これではユーザーが本当に実現したいシステムにならないケースも出てきます。また追加の開発を行うにも、別の企業が対応するのは困難です。

そこで「AIST包括フレームワーク」では、発注者視点で要件から仕様や実装までのトレーサビリティを確保し、またオープンソースを始めとする標準技術を用いることに主眼を置いています。

「AIST包括フレームワーク」は、産能研の情報システムの再構築時に、当社の兄弟会社でもあるITコンサルティング会社のウルシステムズと共に作られたフレームワークであり、その後、横浜市や新潟県などの公共システム開発で実証事業を行っていました。

そして持ち上がったのが、札幌市の基幹系システムである住民情報系システムの全面改修です。当時の札幌市長は、この大型プロジェクトを、大手ベンダー1社に委ねるのではなく、地場ベンダーも巻き込んでオープンに進めたいという意向を持っていました。システムの専門家ではない市の職員にも業務要件をきちんと伝え、職員とベンダーが理解できる、オープンな形でやっていきたい、と。

そうした札幌市の意向に最適だったのが、「AIST包括フレームワーク」でした。そこで、札幌市の案件を本格的な事業として進めるため、ピースミール・テクノロジーが発足したわけです。

事業規模150億円以上という巨大なプロジェクトにおいて、私たちは発注者視点のコンサルティングを提供する立場で「AIST包括フレームワーク」をもとにプロジェクト全体をコントロール。多くの地場ベンダーが参加したシステムは、6年がかりで完成しました。

今日では、「AIST包括フレームワーク」だけではなく、多くの大規模公共プロジェクトの発注者支援コンサルティングの知見を活かし、国が推進する公共DXの分野で事業を展開しています。

システムのプロではない発注者に、専門的見地からコンサルティングを提供。

当社の事業は、売上の7~8割が公共系システムを占めます。札幌市、横浜市、東京消防庁など、大規模なお客様との取引が多いのも特徴の一つです。

当社の事業は、公共系システムを再構築したい、あるいは新たなシステムを企画したいという行政の要望を聞くところから始まります。そして、どういうシステムにすることで課題を解決するか、全体構想を練らなければなりません。

次が予算化です。当社が見積もりする場合もありますが、システム構築にあたるベンダー候補に見積もりを依頼するための支援をすることが多く、ベンダーの提出した見積もりを仕様書と照合してチェックする、などの支援も行います。

そして、参加するベンダーの調達の支援を行います。大きなプロジェクトの場合、複数の調達を実施することが多く、プロジェクト全体計画を基に、各業者と実施範囲、連携方法の支援も行います。複数のシステムを同時並行で開発する場合、全体を見ながら個別プロジェクトへのマネジメント支援を提供する必要があります。

プロジェクトが動き出すと、ベンダー間の連携調整も行います。これはPMO(プロジェクトマネジメントオフィス)と言われる業務で、大規模システム開発において仕様の調整、進捗の把握、全体テスト計画、全体移行計画などを担う重要な役割になります。

完成に近づいたら、本番環境への移行スケジュールを立てます。各業者の進捗状況を照らし合わせ、課題やトラブル発生時には影響範囲なども想定して問題を解消していきます。移行リハーサルを実施した後は、いよいよリリースです。システム運用が始まって以降の保守に関する業者とのやりとりをサポートする場合もあります。まさに、プロジェクトの最初から最後までサポートする役割です。

実際にプログラムを組むのは開発ベンダーですし、保守を行うのはメンテナンス業者です。私たちはあくまで、システムのプロではない発注者側の立場に立ち、専門的な見地からシステム開発のコンサルティングを提供する役割を果たしています。

当社は、特定のベンダーや特定メーカーと資本関係がないため、業者やソリューションを選定する際、発注者側のメリットを最優先し、フラットな立場でご支援します。そういったお客様に寄り添ったコンサルティングが、他社との優位性にもなっている、と考えています。

行政のDXを推進。そして民間市場の開拓にも。

現在、行政でもDXへの関心が高まっています。例えば、消防業務などでは火災現場で発生する様々な課題に対し、AIや仮想空間などを用いて訓練できないか、という発想があります。他の行政組織でも同様の思いを抱えている所があるはずです。しかし、何ができるのか、何から始めればいいのかわからず、お困りのお客様がいます。

そこで当社は、自治体に向けたDX推進をテーマとする企画展の開催も提案しています。事前に当社がお客様の現場の課題を収集分析し、その内容を基にDXソリューションベンダにデモを実施するという企画展です。自治体内で実施する企画展なので、イベントとは違い、どの部署の職員も足を運びやすくなっています。

これにより、どのような課題に何ができそうか、世の中にはどのような先端技術があるのか、などを体験してもらい、自治体のお客様にDXの意識が醸成されるとDXの実現が近づくかもしれません。企画展に参加するベンダー側も、行政の課題を把握することで、「この技術がマッチングしそうだ」と実現性の高い提案に結びつけられるでしょう。

DXを内製化できるよう、人材を育てたいと要望する行政もあります。こうした人材育成の支援もお手伝いできるんじゃないかと考えています。それ以外にも、教育や水道事業、あるいはマイナンバー関連など、これまで参入していない公共分野にも取り組んでいこうと思います。

さらに、公共分野で培った知見の民間への展開も重要です。現在、2~3割程度のシェアしかありませんが、もっと伸ばせるはずです。DX活用に手をこまねいているのは行政だけではありませんから。業態が多岐にわたる分、伸びしろは、行政より民間の方が大きいでしょう。

行政事業やプロジェクトリーダーの経験者は即戦力。

公共系システムにおいて、発注者側に立ったコンサルティングを広げていきたい。さらに民間にも市場を拡大したい。そう考えた時、何よりも大事なのが人材です。

現在は、引き合いをいただいても十分なマンパワーが割けず、お断りするケースも少なくありません。当社はウルシステムズをコアとするULSグループの一員でもあるので、カバーできない業務はグループ内で連携して進めるのですが、やはり当社自身に人材を集めるのが肝要です。

例えば、公共システムの開発に携わったことのあるベンダーにお勤めの方。あるいは発注する側の経験がある方。これらの方は即戦力です。行政の事業は、予算組みも開発リソースの調達方法も独特の慣習があります。その慣習を知っていることで、スムーズなコンサルティングが行えるでしょう。

また、業界を問わずプロジェクトのマネージャー・リーダーを経験した方は、活躍していただけると思います。さらに、新たな市場の開拓に意欲を燃やせる方、当社の知見を民間に横展開していこうと積極的になれる方は、大歓迎です。民間市場に切り込むには、これまでにない新たなアイデアも不可欠。ぜひ新たな視点・発想を活かしてほしいですね。

エンジニアの方は、一つのシステムを完成させることに喜びを感じる人も多いと思います。しかし当社では「プロジェクトによって、こういうことが実現できた」、「社会がこんな風に発展するのに貢献できた」という、よりお客様の目線に近く、広い視野での達成感が得られます。当社で力を発揮し、より大きな満足感・充実感を得てください。

編集後記

コンサルタント
荻野 智史

ピースミール・テクノロジー社が最も大切にしていることは、お客様に綺麗な提案書を書くことではなく、お客様と同じ目線に立ち、どれだけ本質的にお客様の役に立つことができるか徹底的に考え抜き、提案し、実行し、成果に繋げていくことです。

そうした仕事はリピートオーダーや新たなお客様からの引き合いを生んでいますが、それら全てに応えるにはまだまだ人材が足りません。志を同じくして徹底的な顧客志向の仕事に取り組みたい方が新たに入社してくれることを同社は心待ちにしています。顧客の課題をITの力で解決し、新たな未来を切り拓いていく同社の今後のさらなる成長がとても楽しみです。

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