転職成功者インタビュー

株式会社きのとや
山岡康彦さん(仮名・製造マネージャー) 35歳

転職動機は「このままでいいのか」。経営陣の人柄に魅かれた決断で得た成長の場。

高校卒業から15年、札幌の食品メーカーに勤務していた山岡さんは、工場長という役職にも就き、大きな不満もなく日々を過ごしていた。ただ、このままずっと同じ会社で働き続ける未来に思いを馳せた時、何かすっきりしないものがあったのも事実だった。そんな時に信頼していた上司が会社を去ったこともあり、「もしも転職先を探してみたら、見つかるのだろうか」というほどの気持ちで転職コンサルタントに電話をかけた。そして、新天地に入社して2年。山岡さんは転職前の自分を「井の中の蛙だった」と評する。今、食品生産管理のプロとして、成長とやりがいを実感する山岡さんに、転職活動を振り返っていただいた。(※本記事の内容は、2017年10月取材時点の情報に基づき構成しています)

過去の
転職回数
1回
活動期間
エントリーから内定まで62日間

転職前

業種
食品メーカー
職種
工場長
業務内容
工場全体のマネジメント

転職後

業種
洋菓子メーカー
職種
製造マネージャー
業務内容
製造ラインの管理

新卒から15年勤め、ふと立ち止まって考えた「これから」。

現在のお仕事はどんな内容ですか?

株式会社きのとやは、札幌に本社・工場を持つ洋菓子メーカーです。私は工場の製造部マネジャーとして製造ラインの管理を担当しています。今年4月から「プレスバターサンド」という新しい商品の製造を開始するにあたり、一からライン作りに携わりました。スタッフの立ち位置や動線、材料・資材の置き場所の検討から、衛生面を含む品質管理まで、社長や工場長、他の製造マネジャーのみなさんに指導をいただきながら立ち上げました。現在も試行錯誤しながら、機械を操作するスタッフのシフトのやりくりや生産の効率化などに取り組んでいます。

入社前のご経歴を教えてください。

札幌市生まれで地元の工業高校に進学。化学工学科だったからか食品会社の求人が来ており、豆腐や納豆、こんにゃくなど、いわゆる「和日配」と言われる食品を製造する札幌のメーカーに就職しました。何かをつくり出す仕事に携わりたいという気持ちがあったからですが、小さい頃は「将来の夢はパン屋さん」と言っていたので、心の底でずっと食品分野に興味があったのかもしれません。最初に配属された納豆工場に5年いて班長になり、豆腐工場に異動して8年の間に主任から係長になりました。その後に異動したこんにゃく工場には工場長として2年間勤務しましたので、前の会社には高校を卒業してから15年ほどお世話になりました。

転職のきっかけは?

何か「これ」と言える理由があったわけではありません。おそらく誰でも30歳くらいになると、「このままずっとこの会社にいていいのか」と立ち止まって考えることがあると思うのです。ちょうどそんな時に、信頼していた部長が会社を辞めてしまいました。仕事のことはもちろん、社会人としてどうあるべきかを教えてくれた人で、情に厚い優しい方。部長の退職が一つのきっかけになり、転職という選択肢もあるのかなと考えるようになりました。

転職活動はどのように進めましたか?

前職の同僚の中に、私よりも先に退職して転職活動をした人がいて、その人から札幌にリージョナルキャリア北海道という転職支援サービスがあるという話を聞いていました。それでこちらから電話をして、伺って話をしたら、その場で「きのとやの求人があります」と紹介されたのです。私の経歴等を先方に送ってもらったところ、「一度会ってみたい」という話になり、工場見学をしたり専務とお話をしたりするうち、私としても「この会社でやってみよう」という気持ちになりました。私はあまりスイーツを食べる方ではなく、きのとやという名前も知らなかったのですが、入ってみて、自分が知らなかっただけで、よく知られた会社なのだとわかりました。

今の会社に決めた理由は?

実は、妻は最初、転職にあまり賛成ではありませんでした。前職はある程度満足のいく給与でしたし、転職することで収入面ではやや下がります。でも、自分はそれでも移った方がいいのではないかと思いました。前の会社の製品は北海道内に流通するだけでしたが、今の会社はもっと広い世界が相手。大きな仕事ができるのではないかなという思いがあったからです。でも、決め手になったのは専務の人柄です。いろいろな話をする中で、専務が本気で私のことを考えてくれたのです。「うちの会社に来るのもいいし、今の会社にいるのもいいし。でも、あなたの人生にとって本当にいいのは何なんだろうなあ」と。それで、この人がいる会社なら、自分自身が今よりもっとよくなれるのではないかと思えました。入社してからも、やはり専務はとてもいい方ですし、社長も仕事に関してはものすごく厳しいけれどそれ以外は優しい。昨年、妻が病気をした時も、社長が凄く気遣って声をかけてくれました。とても嬉しかったですし、あらためて、ここで頑張っていこうと思いましたね。

前職の経験が活きることは少ない。むしろ新たに学び、成長する喜びがある。

転職していかがですか?

私は転職しても“ものづくり”がしたかったし、15年も食品メーカーの製造ラインを管理してきたので、その経験も活かしたいと考えていました。でも実際は、前職の経験を活かすというのは難しいものだと思います。豆腐の作り方を知っていても、お菓子屋さんでは何の役にも立たないので(笑)。お菓子の製造には人の手がものすごくかかりますし、材料も多様で細かい。チョコレートは何種類もあるし、フルーツもフレッシュなものもあれば缶詰、冷凍もある。そんな中で生産計画を立てラインをスムーズに稼働させていくのは大変ですが、さまざまなプロフェッショナルな人たちに助けられて、まとまって仕事ができる環境があるのはありがたいと感じます。転職して2年が経ちますが、まだまだわからないことだらけで、日々、勉強です。

転職して良かったと思うことは?

前の会社と比べて、よりたくさんのお客様に食べていただける食品づくりができていることが一番嬉しいです。東京駅のショップにも商品を出しているので、東京駅で買って、全国あちこちに帰られるお客さまもいらっしゃるでしょう。自分の手掛けた商品の出荷が始まった頃はよく、ネットで商品名を検索していました。ブログなどに「美味しかった」と書かれているのを読むと、やはり嬉しいですね。また、生産管理という仕事に関して成長できているのも良かった点です。前の会社にいたら知らないこともたくさんありましたし、井の中の蛙だったのだなと感じます。

困っていることや課題はありますか?

日々頭を悩ませているのは、今のお菓子の美味しさを保ちながら、さらに効率的に、生産性を上げるためどうするかということです。今の会社はトヨタ式の生産方式を導入しており、使う時に使う分だけ仕入れてスペースも効率化を図る、いわゆる“ジャストインタイム”で材料や資材を管理します。でも前の会社ではそんな言葉は聞いたこともなかった(笑)。一つ一つが勉強です。

生活面の変化はありましたか?

きのとやの夏休みは、必ずまとめて14日間休まなければいけないと決められています。4月~10月までの間に交代で休むのですが、今までそんなに長い休みをもらったことがなかったので、子どもの夏休みに合わせてキャンプに行ったり、何もせずにぼーっとしたり、ゆったりした時間を過ごせるようになりました。2週間休むためには、自分の仕事をサポートしてくれる人を育成したり、段取りをしなければいけなりませんが、それも新たな学びです。

転職を考えている人にアドバイスをお願いします。

できることなら、同じ会社にずっといられるのが一番いいとは思います。ただ、世の中には自分の知らないことがたくさんある。会社を移ることによって自分の幅が広がるのは間違いありませんから、そういう意味では転職をプラスにすることは可能だと思います。転職がマイナスになってしまった人もたくさん見ていますが、そういう人を見て思うのは、一時の感情に流されて転職するのはやめた方がいい。私は前の会社で15年間、いろいろなことを学んで、役職も務めました。それでも新しい会社で直接的に活かせることはそれほど多くありませんが、やはり一つの職場で何かを学び、次に活かせると思えるものを身につけて、その上でよく考えて転職するのがいいのではないかと思います。

担当コンサルタントから

コンサルタント 
高岡 幸生

初めてお会いしたときに、現職で順調な出世を重ね、充実した日々を送りながらも「もっと成長意欲が旺盛な会社で自分の力をどこまで伸ばせるかチャレンジしたい」と語っておられた姿がとても印象に残っています。山岡さんは中学時代には卓球で全道3位となり全国大会にも出場を果たしており、スポーツマンとして一流の人でもあります。初めての面談でお聞きした、「前任者から申し渡しを十分にされないまま引き継いだ業務と格闘し、モノにするためにひたすら仕事をこなし、なんとか形にしてきた」というエピソードから、置かれた環境に右往左往せず、文句を言わない潔さと、がむしゃらに立ち向かうガッツがある方なのだと、好感を覚えました。

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