北海道からITの未来を創る。人と仕組みで挑む現場改革。
株式会社北海道キューブシステム
代表取締役社長 西村 秀明
1994年4月に株式会社キューブシステムに入社し、経営企画や事業企画を経てエンジニアとして10年超の現場経験を積む。大阪拠点の立て直しや東京本社での経営企画部門などを歴任し、2023年4月に北海道キューブシステム代表取締役社長に就任。人材育成と組織改革を推進しつつ、地方拠点での競争力強化に尽力。現場主義と「総員営業」、「顧客第一主義」の姿勢を重視し、提案力あるSE集団の形成を目指す。
※所属や役職、記事内の内容は取材時点のものです。
入社当初から現場を支え、経営を担う立場へ。
私がキューブシステムに入社したのは1994年。最初に配属されたのは管理企画部門でした。新卒ながら、身近に経営陣がいる環境で、事業計画立案などに触れられる立場に置かれたことで、「会社はどうあるべきか?社会にどう貢献していくのか?」という視点が自然と身につきました。
その後、SEとして10年、現場の仕事にも深く関わりました。2002年に大阪に転勤し、製造業を中心としたSE業務に数年間従事。その後、現地拠点の責任者を任され、立て直しに奔走する毎日でした。
当時の大阪拠点は、経営的にも人材的にも厳しい状況でしたが、現場の仲間と試行錯誤を重ねながら数年を要したものの、組織の改革と成長基盤の確立を実現しました。
2016年には東京本社に再度転勤となり、再び経営の中枢に携わるようになります。こうして、現場と経営を何度も往復する中で得たのは、「どちらの視点も欠かせない」という感覚です。それが今、北海道キューブシステムの経営に大きく活きています。
品質、労務、組織に真っ向から取り組んだ3年。
2023年に北海道キューブシステムの社長に就任してから、いくつもの課題と向き合ってきました。
急激な受注拡大による品質の課題などに加えて、自らの大病による手術、入院など体調不良が重なり、簡単な船出ではありませんでした。
品質の課題における背景は、急速な業務量の増加に対して育成やマネジメントが追いついていなかったことです。
相応の時間をかけてプロセスの見直しと品質管理体制の整備、社員の継続的な育成を行い、安定した開発・保守を実現できる仕組みを築きました。
今も引き続き改善活動は続いています。このような改革は、未来へと続く組織をつくるために避けて通れないものであり、自らの役割として全力で向き合っています。
地方拠点から生まれる開発体制の新しい形。
就任当初から、北海道・札幌という地方での開発拠点には、単なる「下請け」ではなく、日本国内の開発体制を支えていくことが求められていました。経済安保の観点で海外オフショア開発の見直しが進む中、国産開発への期待(国内回帰)が高まっていることが背景にあります。
北海道・札幌を中心に東京・大阪・名古屋・福岡と連携しながら、当社は開発、保守、ソリューション事業で高い成果を上げています。
特に野村総合研究所(NRI)さまや親会社のキューブシステム(CUBE)との取引では、地方にいながら首都圏と同水準の案件・課題に携わる環境があり、この優位性をさらに強化して発信していきます。もちろん、地場企業さまとの長年の取引でも引き続き貢献していきます。
生成AIとの共創を目指して。
近年、生成AIの進化は業界全体に変革をもたらしています。当社でもドキュメント生成やテスト支援、レビュー補助といった実務に近い領域から導入を始め、着実に成果を上げつつあります。
ただし、AIの効果を最大限に発揮するには、それを使いこなせるスキルが必要です。セキュリティや知的財産権の配慮も求められる中で、現場のセキュリティを含めたリテラシーや判断力がより問われる時代に突入しています。
だからこそ、AIに振り回されず、目的に応じて適切に活用できる技術者を育てることが重要です。
これからは、ゼロからすべてを作るのではなく、既存の技術やツールを組み合わせて構成・最適化できる力が求められます。北海道から、そうした現場力の高い開発文化を広げていきたいと考えています。
マネジメントを「属人化させない仕組み」へ。
事業の改革によって見えてきたのが、現場を束ねる中堅層社員の不足でした。技術力の高いエンジニアは多く在籍していますが、10〜20人のチームを牽引できる人材は決して多くありません。
現在は、マネジメント/テクニカル/ビジネススキルの3軸で育成体系を整え、中堅人材の底上げを進めています。重要なのは、失敗を責めるのではなく、誰もがチャレンジとリーダーシップを発揮できる文化を根づかせることです。
私もさまざまなチャレンジと失敗を経験してきましたが、当社は社員に大きな裁量を与え、失敗を恐れずチャレンジできる環境だと思っています。
一方、リーダーシップを発揮することが苦手な社員もいます。そのような場合は、縁の下の力持ちとして活躍してもらっている社員も多数います。チーム全体としてバランスの取れた姿を目指しています。
営業部門がない会社でキャリアを描く。
当社には営業部門が存在しません。すべての提案活動は、現場のエンジニアが行い、実行してきた結果です。この「総員営業主義」は、組織文化として根付いています。
顧客に言われたことをやるだけではなく、自ら課題を見つけ、提案改善し、顧客に価値を提供する。そんなスタイルが信頼を築き、継続受注や新規案件獲得につながっています。ただ、これがなかなか難しいです(笑)。
今後求められるのは、AWSをはじめとしたクラウド技術、SaaS(我々が得意とするAnaplanなど)といった幅広い技術に触れながら、俯瞰的に物事を捉えて提案できるフルスタックエンジニアであり、ジェネラリスト型の人材です。
現在次期人事制度の改革も進めており、マネジメント経験がある方、クラウドやSaaS分野に強みを持つ方には、部長クラスでの報酬も想定しています。
北海道・札幌でご自身の力を試したい方。技術と仕組みで組織を動かすことに挑戦したい方。ぜひ一度、お話しできる機会をいただければと思います。