税務会計を軸に各種コンサルまで提供。地元企業を支え、地域に寄与。
税理士法人 池脇会計事務所
所長 池脇 竜太
1978年生まれ。一橋大学商学部の学生時代、簿記一級を取得するとともに、会計士の資格試験に合格。卒業後、新日本有限責任監査法人等を経て、2005年、池脇会計事務所に入所。会計士の資格を活かし、上場企業案件を担当するなど、経験を積む。2017年、所長に就任。公認会計士、税理士、行政書士。
※所属や役職、記事内の内容は取材時点のものです。
父の仕事ぶりに感化され、早くから会計士の道を志向。
私が小さい頃、父はよく、会計事務所の仕事の楽しさについて話してくれました。「地元のお客さまにサービスを提供することで、地域社会の経済発展の一端を担っている」という話を聞いて育ったおかげか、私は早くから会計士になりたいと意思を固めていました。
大学に進むとともに簿記学校にも通い始め、簿記検定一級を取得。その後、大学2年の頃に税理士試験に挑戦。並行する形で、3年生で会計士を受験。結果的には、先に会計士の資格を取得しました。
会計士を取ると、税理士としても登録できます。ですから、たいていの人は会計士を取ったら税理士は取りません。しかし、私は税務知識をしっかりつけておいた方がいいと考え、会計士試験合格後も税理士の勉強を続けました。現在、税に関して詳しい話ができるのは、この時の勉強の賜物です。
大卒後、監査法人へ就職。監査法人は、顧客企業の財務諸表が適正かどうか、公正にチェックするのが主な役割です。そのためお客さまとは、指導的立場で向き合うことが多くなります。
私はお客さまのパートナーとしてサービスを提供したいと考え、26歳で地元に戻り、父の経営する池脇会計事務所に入所。若手の一人として、下積みから始めました。その後、キャリアに応じて仕事の幅を広げ、2017年、所長に就任しました。
事業承継、M&A、医療、保険・不動産など多様な課題をサポート。
現在、所員は95名。顧客数は1,200件程度です。実は、従業員数も顧客数も、昭和の終わり頃から30年以上にわたり、あまり変えないようにしています。無理に顧客数を拡大させるのではなく、一人ひとりのお客さまに提供するサービスの質を上げたいのです。
もちろん、諸事情で顧問契約が終了となるお客さまもおられますが、それと同数くらいの、経営意欲が高いお客さまと新たな取引を始め、顧客数を維持してきました。付き合いが深くなるごとに効率性も上がり、増収増益につながりました。
当所は、会計チームは税務・会計を、社労士チームは労務をコアにしながら、お客さまの抱えるさまざまな課題に応える体制をとっています。ですから、事業承継・相続の相談にも乗りますし、M&Aや事業再編のお手伝いもします。保険や不動産の課題にも応えますし、医療・福祉業界に向けたサービスも提供しています。
ある年は事業承継案件が多かった、次の年は保険・不動産の相談が多かったなど、事業のトレンドは常に変わるものです。しかし、当所は時代の流れに左右されず、お客さまの悩みに対応できます。こうした多角的なサービスも、お客さまとの信頼関係を形成するのに役立っています。
全所員がさまざまな相談に一通り対応できるから、話が早い。
多角的サービスを実現するため、配慮している点が二つあります。一つは、「専任担当者を作らない」こと。通常の会計事務所では、事業承継、M&Aなど領域に分けた専任の担当者を置く場合が多いようです。しかし、当所ではあえてそうせず、全所員が税務会計をベースに、プラスして二つの業務をできるくらいの配分を行っています。
中小企業の経営者からすると、担当者がいちいち変わるより、一通りのことを何でも応えられる総合ドクターのような人材が、話が早くて助かります。また、所員にとっても、一つのことだけに精通していても、その領域の相談が毎年豊富にあるとは限りません。複数分野の知識を持つ方が、長く会計事務所で活躍できるはずです。
もう一つは、コンサルティングに力を入れている、という点です。当所では、「事業承継」「医業経営」「行政事務」「人事・労務」「資産保全」「事業再編」などの領域でコンサルを提供しています。しかし、これも手当たり次第というわけではなく、自分たちが所内で実際に体験したことをベースに、コンサルを行うのです。
当所では、所内のさまざまな課題を解決するにあたり、組織横断型の委員会を組んで対処します。例えば、人材採用に関しては、所内に人材育成委員会があり、ここで方針を話し合って実践します。
その経験を基に得た知見を、「こういう取り組みはうまくいきました」とお客さまに提供するのです。同様に、営業管理、不動産管理、車両管理など、いろいろな委員会が動いていますので、それぞれの知見をお客さまに提供できます。
理論だけでなく実体験から得た知識なので、説得力が違います。そしてお客さまのさまざまな事案を体験することで、私たちのコンサルとしての引き出しが増えていくのです。
先読行動、超速対応が、経営者からの信頼を育む。
当所のオフィスでは、2週間に1回、座るデスクを移動するフリーアドレスを実施しています。当所には、会計系、社労士系で合計10ぐらいのグループがあるのですが、「今週Aグループは赤の座席で」という具合にローテーションするのです。
いろんな所員と顔を合わせるので、コミュニケーションが生まれやすくなります。こうした環境が、仕事のやりやすさにつながっているのかもしれません。
所員によく言うのは、「自立した大人になってほしい」ということです。自立した大人は、相手の考えを先読みして行動できます。これはお客さまだけでなく、所員に対しても同様です。先読みできれば、お互いが気持ちよく働けるし、いい影響を与え合えるでしょう。
私が父から経営を引き継いだ時、池脇会計事務所の良さを改めて見つめようと「真・池脇品質を考えるプロジェクト」を立ち上げました。そこで出てきた項目の中に、「先読行動」「超速対応」があります。「先読行動」は今述べた通り。「超速対応」とは、例えばメールをもらったらその日のうちに返事を返す、といったことです。
経営者はどの方もスピードを大事にされるので、手つかずで放っておくのが一番よくありません。お客さまを大事に思うなら、超速対応や先読行動は当たり前のようにできるはずです。
先読行動ができると、お客さまは所員と会うのを楽しみにしてくれるようになります。「今日の面談で、池脇会計の○○さんはどんな情報を持ってきてくれるのだろう」という具合に。私は、所員にそういう人材になってほしいと考えています。
システム化にいっそう注力。得た知見は中小企業に還元。
今後は、システム化にさらに注力したいと思います。すでに所内のシステム化が進んでおり、クラウド型サービスを活用して、業務データや人事データを処理しています。
また、RPAを導入しており、ロボットによる作業の効率化も進んでいます。このノウハウを、お客さまにも展開する予定です。中小企業のIT化・DX化推進は、会計事務所の役割の一つだと考えています。
経営改善、資産税業務、株式公開、M&A、事業承継といった案件は、この先増えていくでしょう。また、当所の得意分野でもある医療・介護・福祉業界についても、いっそう力を入れなければなりません。また、北海道という地域を考えると、農業も重要な分野です。就労人口の減少による大規模化・農業統合の波が本格化する中、地域の主要産業でもある農業に貢献していきたいですね。
会うと学びがあり、元気が出る。そんな人材に期待したい。
私は転職志望者に会う際、「当所のお客さまはどんな人材を望むだろう」という観点を大事にしています。お願いしたことにきちんと反応してくれる、約束の時間を守るといったことは当たり前。加えて勉強熱心で、その人と話していると自分にも学びがある。お客さまが望むのは、そういう人です。
そして、元気をくれる人でしょうね。「○○さんと会うと、やる気が出てくる」と感じられる人。どの要因が元気を引き出すのか明確ではありませんが、一つには視野の広さであり、もう一つは何でも吸収しようという意欲ではないでしょうか。
当所の委員会やプロジェクトでは、リーダーは必ずしも管理職とは限りません。プロジェクトでの経験からリーダーシップが生まれ、管理職候補として頭角を表す者もいます。私もそういった人材を積極的に登用するようにしています。
また、報酬も頑張った人には適正に還元するのが当所の方針。中途だからといって、待遇や昇進に差をつけることはありません。今よりステップアップしたい、いろんな業務・領域を経験してみたい。そんな意欲のある方をお待ちします。