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バルブメンテナンスのプロとして工場・プラントの根幹を支える。

ワコオ工業株式会社
代表取締役社長 和田 一仁

更新日:2023年2月08日

北海道出身。小樽商科大学卒業後、大手バルブメーカーに就職し、1982年にワコオ工業株式会社に入社。1998年に創業者・和田倖明氏より事業承継し、代表取締役就任。現在国内外のグループ会社4社の代表を兼務。
※所属や役職、記事内の内容は取材時点のものです。

バルブ・ポンプのメンテナンスを提供する、縁の下の力持ち。

プラントや工場に必ず利用される、バルブやポンプ。流体を押したり、止めたり、制御するこれらの機構は、産業設備の基盤と言える存在です。こういった安全弁・調節弁・バルブ・ポンプのメンテナンスを行うのが、私たちワコオ工業です。

創業は1970年。計5名に満たない零細企業としてのスタートでした。当時、北海道にはまだプラントの数が少なく、バルブにトラブルがあっても、本州に本社を置くバルブメーカーは即対応できませんでした。このお客様の困りごとを解決し、お役に立とうと、北海道で最初のバルブメンテナンス専門会社をスタートさせたのです。

そこから50年以上にわたり、ワコオ工業はお客様のご要望に応え続けてきました。機械が相手なので、一度トラブルを起こすと、簡単に解決できないケースもあります。しかしバルブが不調な間、お客様の工場・プラントはストップしたままになってしまいます。一刻も早い復旧に向け、全力を尽くさなければなりません。

今日ではメンテナンス技術者を中心に50名を抱える企業へと成長。加えて、当社を中心として、ワコオグループを形成。機械加工を行うワコオクエスト、船舶関連全般・鋼構造物をトータルでサポートするケーアイテクノ、岡山を中心に全国のコンビナートでバルブメンテナンス・管工事を行う東邦産業、あるいはフィリピンで事業を展開するフィリピンワコオで、様々な依頼にワンストップで対応できる体制が整ってきました。

日々の積み重ねが、バルブメンテナンスの技術を向上させる。

適切なバルブメンテナンスを提供できる会社は、全国を見渡してもそれほど多くありません。なぜか。バルブメンテナンスには、日々の努力が欠かせないからです。

バルブというのは、材料力学や構造力学、制御工学、あるいは流体力学といった大学の機械系学科・電気系学科で学ぶような知識が集積された部品です。これらの学問を吸収しようという意欲を持たず、言われた作業を繰り返すだけでは、技術は向上しません。

そして、お客様のプラント・工場は常に進化しています。それに応じて、バルブやポンプの挙動も変わっていきます。これらを理解し、新たな技術を取り入れようとする姿勢が欠かせません。

努力の継続があって初めて「手に職」と呼べる技術が習得できるのです。この技術と先の姿勢を結びつけたら、もっとうまくいくんじゃないか。そういった創意工夫が、自身のメンテナンス技術をレベルアップさせます。

そして、高い意識を持ってメンテナンスに取り組む技術者は、お客様からの信頼を集めます。その技術者の年齢が若ければ、「あと30年はこの人にメンテナンスを任せても大丈夫だ」とお客様は安心されます。

プラント・工場がある限り、メンテニーズはなくならない。

当社には、そんな技術者が大勢います。お客様から「次も頼む」「3年後の定期点検も、予約する」と直接声をかけていただける技術者が、イキイキと活躍しています。

彼らは一様に「このプラントは、自分たちが守っている」というプライドを持って仕事に臨んでいます。メンテナンスが終了し、配管を流体が予定通り流れた時の充実感は、何物にも代えがたいと感じながら、自らの役割を果たしているのです。

これが当社の成長の原動力と言えるでしょう。私は仕事する以上、バルブメンテナンス分野で日本一の会社になろうという気概で、技術者を信じてやってきました。彼らのプライドと待遇を守るため、あまりにも対価の見合わない依頼をお断りしたこともあります。おかげで、売上は短期的にダメージを受けたものの、その分、技術者が努力してくれ、今ではその部門の売上が数倍になった、ということもあります。

技術者に対し、努力にふさわしい待遇で応えるのは、経営者の義務です。「社会の役に立ちたい」という志を持って自らの務めを果たす技術者を大切にするのは当然です。だから彼らが稼いできた分は、適正に還元してきました。

しかも、本人が前向きな姿勢を失わない限り、お客様からの依頼は途絶えません。「君にやってほしいんだ」という信頼で、30年、40年と続けられる。それは技術者にとっても誇らしい事ではないでしょうか。

プラント・工場がある限り、バルブ・ポンプメンテナンスの需要は永遠と言ってもいいでしょう。その中で、志を持った技術を提供していきたいと思います。

エネルギーを始め、様々な分野でサービスを提供。

今、注目しているのはエネルギーの分野です。脱炭素化に向け、この分野はどんどん進化しています。環境負荷の少ないLNGを使用したり、非常に効率の良い超々臨界圧ボイラーの導入を図る、といった動きが活発化しています。

水素ステーションも進むでしょう。アンモニアを燃料とする、CO2を発生しない発電方式も検討されています。それから、バイオマスもあります。バイオマスでは海外製バルブがたくさん入っているのですが、言葉の壁もあってか、メンテナンスする仕組みが整っているとは言い難い。そこで、当社にオーダーが寄せられることも現実的に起こっています。

どのエネルギーにしろ、必ずバルブなどのメンテナンスは実施しなければなりません。そこに私たちの活躍のフィールドが生まれます。

エネルギー以外の分野もあります。最近では、IoTやAIの活用も検討し始めています。現状、バルブというのは、定期点検や実際に不調がでてから初めてメンテナンスが必要だとわかるのですが、例えば音の異常検知システムを導入することで、プラントの通常稼働のプロセスの中でも不調の兆候をキャッチすることが可能になると考えています。

その他にも、プラントの3Dスキャンを行い、バルブの正確な位置や製造日時、最終点検日などをデータ管理できるようにしたり、バルブの洗浄工程にロボットを導入することにより作業工程を効率化するという構想もあります。

これらの構想を実現させるためには、自社内にもIoTやAIに詳しい専門家がいなければなりません。それゆえ、今後は、システム系のエンジニアも積極的に採用していく必要があります。

感謝の気持を持っている方は、技術も能力も。

ワコオ工業は、志の高い技術者の存在を原動力に発展してきた会社です。人材が何よりも重要という考え方は、今後も変わらないでしょう。前述の通り、メンテナンス技術は日々の努力の積み重ねでしか上達しません。一人前に成長させるための教育体制も整備しています。

マネジメントを手がける人材がもっと増えると、当社はまた一段レベルアップできるのではないかと考えています。マネジメント人材は、生産性向上のために欠かせません。基礎知識として、機械や電気といった分野のことをある程度分かっている方が、仕事はしやすいでしょう。

しかし前向きな方であれば、仕事をやりながら覚えられます。それよりも重視したいのは「感謝する気持ち」です。親への感謝、家族への感謝、友人への感謝。身近な人に感謝できる人は、お客様や同僚も大切にできます。そんな仲間と仕事をしたいですね。

バルブメンテナンスはニッチなので、この分野で活躍する技術者は全国に1000人もいません。その中で、本当にバルブのことをわかっている技術者となると、500人いるかいないかです。そのうちの約80人が、当社で働いています。ということは、実質的には既に当社が日本一と言っても過言ではないでしょう。

今後は、自動化など新たな環境整備にも取り組んでいきたいと考えています。ロボット化したり、AIを使ったバルブ診断なども、少しずつではありますが実現していきたいですね。 当社がさらに進化するために、新たな力が必要です。

編集後記

チーフコンサルタント
笹本 香菜

ワコオ工業株式会社は、創業50年を超えるバルブ専門のメンテナンス会社で、社会になくてはならない唯一無二の存在です。今回のインタビューでは、「お客様の役に立とう」という志のもとに、全社一丸となって、日々努力を重ね、社会を支えてきた企業であると改めて実感できました。

とくに印象的だったのは、お客様に喜んで頂けるサービスを提供し続けていきたいという思いの強さと、技術力向上に対する真摯な姿勢。和田社長はもちろんのこと、訪問時にお会いした社員の方々からも、ホスピタリティやプロフェッショナルな姿勢が随所に感じられ、これがお客様からの信頼を集め、全国各地からの依頼が絶えない状況を生み出している理由なのだと圧倒されました。

名実ともに日本一のバルブメンテナンス企業を目指す同社の成長をこれからも応援していきたいです。

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