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常識にとらわれない採用と人事。人間力が銀行組織を変えていく。

株式会社北海道銀行
代表取締役頭取 兼間 祐二

更新日:2023年2月22日

札幌出身。慶應義塾大学を卒業後、北海道銀行に入行。支店、本部経営企画部を経て、2002年に37歳で支店長に就任。以降、本部経営企画部長、地区担当役員、企画管理部門担当役員を歴任。北陸銀行との経営統合によるほくほくFGの設立、複数銀行による共同基幹システムMEJARの立上げに携わる。2021年より現職。
※所属や役職、記事内の内容は取材時点のものです。

金融機関を取り巻く環境変化に対応するために、様々な改革を実行。

人口減少・少子高齢化に伴う地域経済の縮小、低金利環境の持続やデジタル化の進展による競合環境の変化など、地域金融機関を取り巻く環境は厳しさを増しています。私たちは新しいビジネスモデルの構築が求められており、スピード感を持って新しいことにチャレンジする必要があると考えています。そのため、従来の枠にとらわれない、様々な改革に取り組んでいます。

例えば、大胆な営業店運営体制の見直しを実施しています。人口の集積が進む札幌周辺地区では、支店の機能を業務別の運営体制に再編しました。一方で、人口減少・少子高齢化などにより、単独での店舗維持が困難な局面が想定される地区では、各地の信用金庫と連携した共同窓口の設置、ゆうちょ銀行ATMの無料化など、業態の垣根を越えて協業を進めています。

札幌市内では、お客様に提供できる価値の最大化で競争力を強化しながら、地方では他の金融機関と連携し、地域の金融インフラ維持のために柔軟に協働する。そのような取り組みを推進しています。

また、2022年度からは、ほくほくフィナンシャルグループとして新しい中期経営計画を策定しました。その中では、地域社会への貢献を図るために、「総合的なコンサル対応力の向上」「環境分野への取組み」「DXの推進」「ウェルビーイングのある働き方の実現」「グループ総合力の強化」「グループガバナンスの強化」の6つの重点戦略を定め、それぞれに取り組んでいます。

人材戦略を練り、必要な人材を採用していく時代。

今後は地域の金融機関として、人的資本をしっかり固め、開示していくことも求められています。人材戦略を練り、実際に採用をしていかなければなりません。これまでは、新卒を採用活動の一番のメインイベントとして取り組んできました。それに加えて、キャリア採用にも更に注力していきたいと思っています。

キャリア採用は、グループの事業エリアとなる北海道だけ、あるいは北陸だけに閉じた採用では必要な人材を確保できません。今後は首都圏での採用活動に力を入れていきたいと思っています。東京や海外で働いて、地元に帰りたいという方を積極的に採用していきたい。

目まぐるしく変化が進むこれからの金融業界で、的確に事業を推進していくためには、首都圏などで多様な経験を積んだ人材の力が不可欠。例えば、システムに強い人材はもちろんのこと、金融工学に専門性がありリスク管理に強い人材など、求める人材の幅は広がっています。

今は首都圏の優秀な人材も入行後、まずは北海道での勤務となりますが、その固定的な考え方も今後は通じないと思っています。キャリア採用者は、入行直後から東京で勤務できるようにするとか、もしくは銀行所属の職員として、東京に住んだまま在宅勤務をするとか、そのようなことも色々と考えていかなければなりません。とにかく、頭を柔らかく、発想を切り替えていかないと、人材の確保ができない時代になってきています。

キャリア採用者が「昔からいたかのように」働ける、フランクな組織。

意外な人に、意外な能力や得意分野があるケースがあります。例えば、本部のある部門でキャリア採用した職員に、全く別のスキルがあることが分かるケースもあります。そういう方であれば、採用した部門以外でも今後はますます活躍できます。

むしろ、即戦力の「特技」は無くてもいいくらいです。色々な経歴の人がいて、その人と一緒に働いてみたら、その人には「こんな力があるのだ」と分かる。活躍するのは、「人間力がある」人。そういう方がいれば、いつでも採用したいですね。

そして、当行はフランクな組織です。銀行と聞いてイメージするような固さは一切無いのが特徴です。キャリア採用で入行した職員も、昔からいたかのように働いています。そして最近は、若手・中堅退職者の再雇用も行っています。以前はそのような例はありませんでした。しかし、一緒に働ける条件が整っていて、当行でもう一度がんばりたいと思ってもらえるなら、積極的に受け入れていきます。

やりがい、生きがい、「ウェルビーイングのある働き方」を目指す。

中期経営計画の中で、「ウェルビーイングのある働き方の実現」は、最も力を入れたい項目の一つです。職員の継続的な幸せを支える、ウェルビーイングという言葉を大事にしていきたい。やりがい、生きがい、というものを仕事の中に感じられる職場でなければ、長く働こうという気持ちにはなれません。

やりがい、生きがいを感じてもらうにあたって、今は色々な問題があります。大きな問題の一つは転勤です。転勤する人・広域で働く人にどうやって報いるか。勤務地を変えずに、どうやって今まで以上にやりがいある仕事をしてもらうか。この転勤をはじめとする課題に対して、ウェルビーイングのある働き方の実現に向けて、中長期的には色々と仕組みも変えていかなければならないと思っています。

新卒採用、そしてキャリア採用をしっかり東京でもやっていく。その時に出会いたい人材は、東京の大学に行って、東京に就職し、やっぱり地元に戻りたいという人です。でもそういう人材は、どんな会社もねらっている。だから、私達の仕事に「特色」が無いと、その人たちに選んでもらえません。その「特色」を何にするのか、ウェルビーイングの視点からも、人材戦略として早急に考えていきたいです。

意欲ある若手、女性の積極登用――失敗を恐れず、まずはチャレンジを。

ウェルビーイングのある働き方のために、具体的な人事制度や慣例の見直しが必要です。意欲や能力がある人材であれば年齢や性別は関係なく、若手や女性職員も積極的に採用・登用していきたいと考えています。これをとにかくやり続けなければなりません。とにかく、職員に機会を与える、チャンスを与える。失敗してもいいんです。失敗しても良いから、チャレンジしてほしいのです。

私自身、若くして支店長になった時は、周囲から色々と言われました。当時の上司から「おまえなんかに支店長はできっこない」と言われたことを覚えています。一方で、「まあ、失敗しても良いから頑張れ、やってみろ」とも言ってくれました。それはとてもありがたいことでした。

私は真剣に日々仕事をして、本当に困っているお客さんには100%の対応を心掛けました。結果として、お客さまに認めてもらうこともできました。そのような経験から、若くしてチャレンジできるような土壌を作っていきたいのです。

その土台を作るため、特に新卒職員には手厚い研修をやっています。具体的には、入行6ヶ月後に3ヶ月間の研修を行っているのです。業務を一旦ストップして、法人業務を中心に徹底的に研修を受けてもらい、ロールプレイをし、定期的に支店に戻って支店長と一緒にお客様の元で実践する。これを繰り返す。

この研修は、職員の満足度も極めて高く、実際に離職者は大きく減りました。また、新卒採用の現場でその研修を知り、当行を選択してくれる人も増えました。

人間力がある人、地元への想いがある人。その2つさえあれば活躍できる組織。

私はとにかく、「人」に対する想いを持っています。まさに「人でこの会社が変わる」と思っている。新卒でもキャリア採用でも、専門技術を持っているか、持っていないかは関係ありません。来てほしいのは、人間力がある人、この地元へ対する想いがある人。その2つさえあれば活躍していただける。そういう方の採用で組織は変わっていくと信じています。

採用においても、人の魅力は重要です。「あの人の働いているところで、私も働きたい」と思ってもらえること。それは新卒採用もキャリア採用も同じ、変わらず大事にしたいところです。

キーワードは人間力。それが組織を変えていく。常に私が言いつづけていること。ウェルビーイングを、言葉だけではなく、実際に実現するということが、今、大事と考えています。

編集後記

コンサルタント
宮崎 美晴

兼間頭取の、熱量がある「人」への想いが印象的なお話を伺いました。北海道銀行さんは早くからキャリア採用に取り組んできた金融機関の一つです。また、その採用した人材が、長くやりがいを持って働ける仕組みづくり・風土づくりを目指して、「ウェルビーイング」をキーワードに、金融業界の常識にとらわれない様々な取り組みをしていることが印象的でした。

新卒から働いている職員さんはもとより、キャリア採用で入行した方々が、気兼ねなく意見を言い、組織や事業を変えるような活躍ができる土壌づくり。そして、若手職員や女性職員が、失敗を恐れずにチャレンジできる土壌を作ることに、強く目を向けている。北海道の産業を支えるこの北海道銀行さんのチャレンジと活躍を、これからも応援したいです。

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