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個の才能の集合体で、世界の建築・土木に挑戦。

株式会社一寸房
代表取締役 上山 哲正

更新日:2021年6月30日

1962年、北海道幌延町生まれ。80年、酪農学園機農高校(現・とわの森三愛高校)卒。幌延で家業の酪農に従事。その後、札幌に移り、鉄工所勤務、会社経営などを経て2005年に(株)一寸房を創業。
※所属や役職、記事内の内容は取材時点のものです。

酪農業から鉄工業へ転身し、紆余曲折の人生へ。

この会社を設立したのは2005年。そのとき40歳を過ぎていましたが、一般的な会社の定年退職年齢を考え、あと20年は頑張れると思っての決断でした。

それまでの人生を振り返ると紆余曲折があり、決して順風満帆ではなく、2回も会社をつぶしています。高校を卒業して家業の酪農に就いていましたが、結婚して家族を養うために札幌へ移りました。知り合いなどいなかったので、借りたアパートの近くで職場を探し、採用されたのが鉄工所。そこで誰よりも早く出勤し、誰よりも遅くまで働き、知識と技術をゼロから習得しました。そこで今の会社の基礎となる製図を覚えたわけです。

当時はバブル景気の入り口あたり。景気が良かったので、28歳で最初の鉄工会社を作りました。しかしながら、バブル期の終息とともに、その後設立した会社も倒産してしまいます。それからの約10年間は、鉄工関係の仕事をフリーランスで請け負い暮らしていました。今思えば、倒産による心の傷のようなものがあり、自信を持てなく、前向きになれない時期だったのだと思います。

個人の力を集結させ、成長の場を提供できる会社。

再度、会社を設立しようと思った理由は、自分にプレッシャーを与えるためでもあります。これ以上自分をのんびりさせてしまったら、成長できないと考えました。過去の苦い経験を踏まえて、社名やロゴ、経営理念などは慎重に考え、深く掘り下げました。

「一寸房」という社名は、一人の個人が集まって、個人の力で作り上げる会社。そして、個人の成長の場を提供できる会社でありたいという思いからです。ロゴマークは、人生の歴史の土台上に立ち、いろいろな人の支えをいただきながら、バランスよく成長していくイメージを正三角形のシルエットで表現しました。

2LDKのアパートで始めた、スタッフ3人の小さな会社。事業の内容は、鉄工所で得た製図技術がメインで、売り上げは順調に伸びていきました。その矢先にリーマンショックで景気の低迷期に突入してしまいます。しかし幸運なことにその影響も小さく、逆に反動でその後の伸び幅が増したという印象です。

働く環境は、社員に計り知れない影響をもたらす。

現在の事務所に移る際に重視したのは、働く環境です。家賃が多少高くても、利便性がよく、上昇気流のある土地を探しました。それは、社員のモチベーションアップのため。そして、オフィスには観葉植物をたくさん置きました。根詰めて仕事をして、ふと顔を上げると植物の緑が目に入ってくるだけで気持ちが安らぐからです。たとえ話になりますが、ある双子が違う環境で育てられたら、違う人格になってしまいます。それだけ環境は大切だということです。だからこそ環境づくりを重視して、雰囲気や空気感を大切にしています。

こんな考えに至ったのには、きっかけがあります。会社設立の相談先で、会社の立地環境や通勤で通る道は、社員に大きな影響をもたらすという話を聞き、共感したからです。社員に立地による上昇気流のようなものが影響するならば、多少家賃が高くても価値があると判断しました。これはある意味で、人材育成や採用経費の一つだと感じています。

「困ったときの一寸房」に必要なのは、モチベーション高き人材。

昨年、初めて営業スタッフを採用しました。それまでは営業のいない会社でした。最大の営業ツールは技術力だったからです。それゆえに「困ったときの一寸房」と言われることが、最上級の誉め言葉だと思っています。私の口癖である「仕事は断るな!」というのも、困ったときに技術で力を貸すためです。だから納期がきつくても心意気で仕事を受ける。もしミスをしても責任は私がとるから、失敗しても前へ進もう。そして挑戦することが、成長への一歩だと言い続けています。

こんな会社なので、採用にも思い入れがあります。会社にモチベーションの高い人が一人いたら、事業はスタートします。そして共感するスタッフがいたら事業は進んでいきます。そのパワーを集結させたら、ものすごい勢いで事業は進展していきます。そんな意味で採用の際には、やる気を重視しています。生意気でもいい、反骨精神も歓迎。しかし人に対するリスペクトのない人間はNGです。

世の中をバカにしないで、真正直に行動できる人が活躍できる会社です。根底にあるのは、人と人との関係性。信頼関係があれば必然といい仕事に結びつき、その結果が今に至っていると思います。

採用の精度を高め、建築・土木で世界に挑戦。

今後の展開でキーワードとなるのは「土木」と「海外」でしょう。その理由は、土木に強い人材が来てくれたことにより土木事業のボリュームが急激に増加し、加速度を上げているからです。今後さらに土木のノウハウが蓄積されてきたら、海外のインフラ事業が大きな事業軸になります。土木業界は公共事業がメインになり、単価も高い。

しかしながら課題となるのが、技術の進化に対応しなければならないということです。三次元の図面化は当たり前になり、これからはVR技術が必要になります。まるでアニメーションの世界のようですが、爆発的に需要は増えると思います。ここで乗り遅れてしまうと、競争から脱落してしまいます。

当社にとって土木領域は、可能性に満ちています。さらに奥深く追求し、世界を視野に入れる必要に迫られています。それを可能にするのが、やはり人材です。これまで培ってきた人脈をいかしつつ、上場した知名度も強みとして採用に力を入れ、起爆剤となるような出会いに期待したいと思います。

編集後記

チーフコンサルタント
千葉 悠樹

上山社長のお話からは、一貫して「社員への思い」と「社員の成長へのこだわり」を感じました。一寸房という会社は「社員の成長の場」であると位置づけており、個人の成長ステップを仕組み化し、徹底的にサポートしていくことで、結果として会社を成長させています。

オフィスは、足を踏み入れた瞬間に暖かさとエネルギーを感じるような上昇気流を生み出す空間となっており、社長の思いが体現されています。

今後の建設業界で不可欠なBIM/CIMの技術とノウハウを有している同社。北海道内だけでなく、全国規模で注目を浴び、存在感を増していく企業だと確信しています。

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