北海道放送株式会社
市原透さん(仮名・メディアストラテジスト) 35歳
大手の安定性とベンチャーの面白さ。地方だから出会えた新しいキャリアの可能性。
前職と前々職では、東京に本社を持つIT企業と、大手広告代理店のプランナーとして活躍していた市原さん。「より自分らしく働ける環境」を模索して転職サイトに登録したものの、期待したような会社となかなか出会えない。これからどうするべきか、迷っていたところにリージョナルキャリア北海道から紹介されたのが、今の会社だった。
放送ビジネスの可能性に加え、北海道は奥さまの出身地。「このタイミングを逃したら、北海道で暮らすチャンスはないかもしれない」と考え、転職を決断した市原さんに、転職活動の感想や北海道の住み心地を聞いた。
※本記事の内容は、2020年8月取材時点の情報に基づき構成しています。
- 過去の
転職回数 - 1回
- 活動期間
- エントリーから内定まで60日間
転職前
- 業種
- IT
- 職種
- マーケター、プランナー
- 業務内容
- 企業の課題とユーザーの検索傾向をもとにした商品開発、メニュー開発、企業のマーケティング支援
転職後
- 業種
- 放送
- 職種
- メディアストラテジスト
- 業務内容
- メディア戦略、コンテンツ企画
「まだまだ放送局にやれることはある」TVの可能性を感じ、転職を決意。
現在のお仕事はどんな内容ですか?
北海道で最も長い歴史を持つ民間放送局「北海道放送(HBC)」のメディア戦略部で働いています。職種は、あえて名前をつけるなら「メディアストラテジスト」でしょうか。
最近は若者を中心に、テレビやラジオだけでは情報が届かない人たちも増えています。そういう人たちにいかに情報を届けていくのかが、我々メディア戦略部の大きなテーマです。
具体的な取り組みとしては、テレビのコンテンツをWebサイトやSNSに落とし込んだり、逆にWebを起点にテレビやラジオのコンテンツにつなげたりと、さまざまな仕掛けづくりに取り組んでいます。
入社前のご経歴を教えてください。
生まれも育ちも東京で、都内の大学院でデザイン工学を学んだ後、大手広告代理店に就職。プロモーションプランナーとして5年間働きました。幅広い業界の企業を担当し、メディアニュートラルな視点でプロモーションを企画・実施しました。その後、料理レシピの検索サイトを運営するIT企業に転職。クライアントに向け、ビッグデータに基づいた新しい商品開発やメニュー開発などを提案する仕事に3年ほど携わりました。
転職したきっかけは?
広告代理店でプロモーションを、IT企業でマーケティングを経験した結果、あらためて自分のやりたいことはコンテンツ作りだということに気づきました。そこで、転職サイトに登録して情報収集をしてみたというのが今回の転職のきっかけですね。
転職活動はどのように進めたのですか?
転職サイトに登録すると、さまざまな企業からメールが届きました。。
その中の一つが、リージョナルキャリア北海道から届いた今の会社の求人紹介メールでした。それまで、放送局という選択肢は頭になかったのですが、詳しく書いてある求人を見て「確かにありだな」と思いました。
しかも、妻は札幌出身。「いつかは戻りたい」という気持ちがあることも知っていたので、応募してみることにしました。
今の会社に決めたポイントは?
会社の可能性を感じたことです。これまでの仕事を通じて、以前ほどではないにしろ、テレビにはWebにない強さ、人々に行動を起こさせる影響力があるという実感がありました。
しかも北海道は、冬は家にいることが多いということもあり、全国的にテレビがよく見られている地域なんですよ。そういった意味でも、テレビの力を発揮できるエリアだと思いましたし、まだまだ放送局にやれることはあるはずだという可能性を感じました。
また、東京以外の場所で働いた経験はなかったのですが、このタイミングを逃すと、東京以外の場所で働くチャンスは多分ない。それに北海道の生活環境がいいことはわかっていましたので、1度くらいはそんな経験をしてもいいな、と思ったことも決め手になりました。
課題はある。でもだからこそ、もっと成長できるはず。
転職していかがですか?
現在はWebサイトやSNSの更新を日常業務として受け持ちつつ、新たな提案を模索しているところです。特に最初の1年は社内のコミュニケーションに注力しました。部署と部署の間に入って橋渡しをする役割でもあったので、テレビやラジオの制作や営業など、さまざまな社員とミーティングの場を持ったり、こちらから足を運んで情報収集したりしていました。
ネットやデータの活かし方については正直、IT企業に比べるとまだまだ改善の余地があると感じました。でもだからこそ、やりがいも感じています。社内の意識を変えていき、プラスアルファの価値を作っていけたら、さらに大きく成長できるはずなので。下半期からはメディアを複合的に使った新しいプロジェクトも動き出す予定です。
また、社内の人たちは皆すごくやさしくて、柔和な人たちばかり。コミュニケーションもしやすいし、働きやすいです。
生活面の変化はありましたか?
現在は札幌市内の賃貸マンションで暮らしています。東京時代と比べると家賃はほぼ半分になりましたし、地下鉄で通勤していますが、車内の混み具合は全然違いますね。
帰宅時間も早くなりました。広告代理店時代は終電に間に合わず、ほぼタクシーで帰る毎日。IT企業時代はそれより少しでしたが、仕事を家に持ち帰っていました。家族が寝静まっていた後に仕事をしていたのですが、今はそういうこともなくなりました。
また、北海道はおおらかな雰囲気の人が多く、時間もゆったりと流れているので、子育てがしやすいと感じますね。こちらに来てから車を買ったので、休日は家族でよく近場のレジャースポットに遊びに出かけるようにもなりましたし、徒歩圏内にある公園の広い芝生のスペースで、子どもをのびのびと走らせたりもします。今度の冬は子どもと一緒にスキーをしたいな、と楽しみにしています。
食べ物もおいしいし、生活の利便性も札幌だと不便を感じることはなく、満足しています。あと、雪についても、いまだに積もるとテンションが上がります(笑)。周囲からは「3年いたら飽きるよ」と言われますけどね。
困ったことや課題はありますか?
最初は東京と比べて収入が減ることに少し不安がありましたが、札幌は家賃も安いし、以前ほど外食もしないので、そんなに心配することはありませんでした。ただ、こちらに来て車を買ったので、その費用や駐車場代など、東京時代にはなかった経費もかかるようにはなりましたね。また、東京の知り合いに会えなくなることについても当初は寂しいと思っていましたが、休日は家族で過ごすことがほとんどなので、実際はほとんど問題ありません。
仕事の面では、スピード感やメディアに対する考え方など、東京との違いを感じることはあります。でもそれを変えていくのが、自分の役割だと思っているんです。テレビ・ラジオだけに染まるのではなく、社員がいろいろなメディアをフラットな目でとらえることができるように、最近は社内勉強会も開催して、啓発を続けているところです。
転職して良かったと思うことは?
当社は、北海道を代表する企業の1つ。やりようによって、北海道に良い影響を与えられるメディアを作ることができます。さらに当社は、まさにこれから変革期に入ろうとしているところ。そんな会社で働けるのは、とてもやりがいを感じますね。北海道を元気にできるような、「人」や「情報」のハブになる、そんな仕事を目指していきたいと考えています。
また、歴史のある企業なので福利厚生がしっかり整っていて、手当などは今まで働いてきた会社の中で一番充実しているかもしれません。
転職を考えている人にアドバイスをお願いします。
ゆくゆくは地元に帰りたいとか、地方で暮らしたいと考えている人は多いと思います。それは引退後ではなく、若いうちのほうが良いのではないでしょうか。地方で頑張って働いて、休みはゆっくり過ごす、そういう生き方ができる環境が、地方にはあります。
北海道放送は、北海道では歴史も実績もある企業ですが、今は変革期で「今後の10年後、20年後のために、自分たちの手で会社を変えていかなきゃいけない!」といったベンチャーマインドを持って働ける環境があります。北海道に限らず、地方にはそういう企業がたくさんあると思います。大企業の安定性とベンチャーの醍醐味を両方味わえるのも、地方で働く大きな魅力じゃないかと私は感じています。