北海道ベンチャーキャピタル株式会社
柴田一さん(仮名・営業) 34歳
子どもの誕生をきっかけに決断。自分も成長するために、転職に挑戦!
柴田さんは北海道の大学から全国大手の信託銀行に就職し、30代になってから東京本部の企画部門や大企業むけの営業部門でキャリアを積んでいた。順風満帆に見える銀行員人生だが、本人は以前から危機感を抱いていたという。
近年、銀行業界で急速に進む業務の合理化や人員の大幅な削減。自身のキャリアについて思い悩んでいる時、初めての子どもを授かるという大きな変化が私生活で起きる。柴田さんは、その3か月後には北海道への転職を決めていたという。このタイミングで、なぜ挑戦の道を選んだのか―。
現在は北海道のベンチャー企業や中小企業を飛びまわり、自らのスキルアップと北海道の活性化に挑んでいる柴田さんのUターン体験談をうかがった。
※本記事の内容は、2019年11月取材時点の情報に基づき構成しています。
- 過去の
転職回数 - 0回
- 活動期間
- エントリーから内定まで30日間
転職前
- 業種
- 金融
- 職種
- 営業→本部→営業
- 業務内容
- 法人向け営業、企画業務など
転職後
- 業種
- 金融
- 職種
- 営業
- 業務内容
- 投資育成事業
業務のAI化、人員削減が進むなかで、自分の実力を自問自答。
現在のお仕事はどんな内容ですか?
北海道ベンチャーキャピタルは、北海道内にある地場企業の投資育成事業をしている会社です。役員やパートも入れて10名程度の小さな所帯ですが、設立20周年を迎えます。
現在はベンチャー企業や中小企業を対象に、資金やコンサルティングを提供しながら、その成長をサポートしています。
その中で私の役割は、既存の投資先のフォローと新たに投資先となる企業を探すこと。地元の金融機関から紹介されるケースが大半ですが、イベントやセミナーに参加して面白そうな会社を探し、コンタクトをとることもあります。魅力的な会社があれば、経営内容を調査・分析し、投資するかどうかの判断をします。
入社前のご経歴を教えてください。
出身は北海道で、地元の大学を出て新卒で大手の信託銀行に就職。最初は新潟支店に配属され、個人と法人の営業を3年間経験しました。
その後、東京にある本部へ異動し、与信の企画や、決算業務、システムのプロジェクトマネージメント、大企業むけの営業などに6年間携わりました。
転職のきっかけは?
実は転職する3年ほど前から、職場で危機感を覚えていました。というのも、金融業界でも様々な業務にAI導入が検討されるようになり、業務改革と人員削減の動きが急速に進み始めたんです。
そんな流れの中で、自分の客観的な価値を考えるようになりました。正直、このままでは厳しいなと自分でも思いましたし、もっとスキルアップが必要だと感じるようになりました。
そんなタイミングで、子どもが生まれたのです。転職する3ヵ月前のことでしたが、これが大きなきっかけになりました。同じ北海道出身の妻とも話し合って、もし自分を成長させられる仕事が北海道にあるのなら、Uターン転職に挑戦してみようと決心したんです。地元の方が、子育ての面でも何かと助かりますしね。
転職についての奥様の反応は?
子どもが生まれたばかりですから、普通は反対されてもおかしくないですよね(笑)。そのまま銀行にいれば、目下の生活に困ることはないわけですし。でも妻は、「自分のやりたい仕事をやってほしい。給料は下がっても、生活できるレベルならいい」と言ってくれました。
また、妻は銀行勤めの私と結婚したことで、北海道に戻るのはあきらめていたそうです。ですから思いがけないUターンの提案は、むしろ嬉しかったようですね。
転職活動はどのように進めましたか?
「北海道 Uターン」で検索して見つけたのが、リージョナルキャリア北海道(リージョンズ)でした。たまたま東京で相談会を開くというので、軽い気持ちで参加してみたんです。結果的に、利用した転職エージェントは、ほぼリージョナルキャリアのみでした。
その前にいくつか大手のエージェントにも登録してみたのですが、担当者とのやりとりは電話かメールだけ。唯一、実際に会ってくれたのがリージョナルキャリアだったので、好印象でしたし、信頼が置けました。
相談会ではコンサルタントと1対1で、私がやりたい仕事や、またなぜそう思うのかという話をしたと思います。すると後日、メールで複数の会社を紹介してくれて、その中に今の会社もありました。
今の会社に決めたポイントは?
この会社を紹介してもらったときに、「自分がやりたいことを実現できるドンピシャの会社だ!」と感じました。小さい会社を大きくしたい、よりいい会社にしたい、それができる力を身につけたいと考えていたので。それができれば個人として認められるし、どんなことがあっても家族を養っていける。そんなスキルや知識が、この会社なら身につけることができると思ったんです。
それに、ホームページを調べていて、当時の代表にも惚れました。この会社の投資事業をほぼ1人で10年間くらいやっていて、北海道を活性化させてきた人なんです。こういう人が北海道にいるのかと正直驚きました。
この人に1対1で教えてもらえる、その知識を吸収できるというのは、自分にとってすごく大きな財産になると直感したんです。ですから会社の規模や待遇はほとんど気にしませんでした。収入については最低限のラインは設定していて、そこをクリアしてさえいれば、あとは入ってから稼げばいいと考えていました。
投資の仕事を通じ、北海道にもいい会社がたくさんあると実感。
転職していかがですか?
ベンチャーキャピタリストとして一人前になるまではまだまだ時間がかかると思いますが、今はすごく楽しんで仕事ができています。かなり忙しい時期もありますが、前向きにやれています。「大変そうだけど、つらそうじゃない」って、妻にも言われています(笑)。
自由にやらせてくれる会社のスタイルが、自分に合っているのだと思います。最終的な判断は会社がしますが、自分がやりたいかどうかで進んでいけます。大企業ではなかなかそういうわけにはいきませんから、小さな会社ならではのやりがいだと思います。
転職して良かったと思うことは?
いろんな会社の社長と会話できるのは、すごくいい勉強になっています。銀行勤務の時は大手を担当することが多かったので、財務や経理の部長、課長と話して終わりだったんですが、地方の中小企業やベンチャーは社長の意向が欠かせません。相手方にとっても将来を占うようなプロジェクトになりますから、非常に深い話になりますし、責任も感じますが、そのぶん自分の成長も感じられています。
それから、転職して、新しい目標もできました。子どもが大きくなって、「なんの仕事をしているの?」と聞かれたときに、「お父さんは、この会社を大きくしたんだよ」と胸を張って言えるような仕事をしていきたいと思っています。
困っていることや課題はありますか?
しいて言えば雪でしょうか。雪が積もると交通機関が遅れることがあるし、実は北海道出身なのに私は寒いのが苦手なんですよ(笑)。
仕事の面では地方の人材不足をすごく感じます。やはり人材は首都圏に集まっているようで、地方にもいい会社はたくさんあるのに、もったいないなと思います。
生活面の変化はありましたか?
今は札幌市内に家族と住んでいます。最初は賃貸でしたが、1年後に中古マンションを購入しました。札幌の家賃は2Lで7万円くらいだったので、それなら中古のマンションを買って、きれいにリフォームすれば、だいたい同じくらいの返済額で済みます。札幌もマンションの価格が上昇してきていますが、中古であれば相応の物件があると思います。
また、今は主にバスで通勤していますが、自宅から会社まで3キロも離れていません。東京時代は朝のラッシュが最も激しいといわれていた路線を使っていたので、会社に着く頃はぐったりしていました。それがなくなっただけでも、ずいぶん楽になりましたね。こちらにきて車も買ったので、行動範囲は広がったと思います。実家にもよく帰れるようになりました。
もう1つの変化は、会社が終わった後に、ビジネススクールに通うようになったことです。会社からもサポートすると言ってもらえ、今は週3で通っています。18時半からのスタートなので、それまでに仕事を終わらせるように頑張っています。
転職を考えている人にアドバイスをお願いします。
地方にやりたい仕事があるのなら、行ってみるべきだと思います。条件面だけを見ると、現状より劣ることもあるでしょうが、それは入口にすぎません。面接のときに自分の希望を伝えてコミットすればいいのです。入った後に、自分の努力で条件を良くしていくこともできるはずです。入口の条件だけで候補から外すのはもったいないですよ。
北海道にもいい会社はたくさんあります。今までにないものを作ろうとしている会社、やっていないことをやろうとしている会社、昔からある会社だけどものすごくいい技術を持っている会社などが、いろいろあるので、ぜひ探してみてほしいです。
条件だけを見ていたら、見えてこないものもあるので、まずは会社そのものを見てほしいと思います。また、北海道で転職を考えているなら、リージョナルキャリア北海道の活用もおすすめです。北海道に根づいて活動していますし、大手のエージェントにない地域の情報をしっかり持っていますから、活用しない手はないと思います。