ウェルネット株式会社
高田伸二さん(仮名・システムエンジニア) 41歳
妻の地元の北海道に移住し、最先端のものづくりに挑む。
千葉出身の高田さんは、大手電機メーカーで数々のビッグプロジェクトを手がけてきたシステムエンジニアだ。37歳のときにはアメリカに留学し、MBAを取得した経歴も持つ。そんな高田さんが北海道への移住を決意したきっかけは、札幌出身の奥さまの「地元に戻りたい」という強い想いだった。
唯一の不安は「プロジェクトレベルが落ちてしまうのではないか?」ということ。「でも来てみたら、そんなことはありませんでした。ここには、自分の力を発揮できる環境と、大きなやりがいがあります」。そう力強く話す高田さんの生き生きした表情は「どこにいても最先端の仕事はできる」ということを物語っている。
※本記事の内容は、2019年9月取材時点の情報に基づき構成しています。
- 過去の
転職回数 - 2回
- 活動期間
- エントリーから内定まで187日間
転職前
- 業種
- IT企業
- 職種
- システムエンジニア(企画・開発・プロジェクトマネジメント)
- 業務内容
- AI関連の開発
転職後
- 業種
- IT企業
- 職種
- システムエンジニア(企画・開発・プロジェクトマネジメント)
- 業務内容
- 電子チケット・席数管理システムの開発
妻の想いに応えて移住を決断。興味を持った会社には見学を申し込み、目と耳で確認
現在のお仕事はどんな内容ですか?
私が勤めるウェルネット株式会社は、インターネットを使った決済サービスやコンビニ収納代行サービスなどを開発している企業です。開発だけでなく、提供までを自社で一貫して行っていることが大きな特徴です。
本社は東京ですが、開発部門とコールセンターは札幌にあります。私は現在、札幌にあるサービス開発部に所属し、チーフエンジニアとして高速バスの予約・販売などをネットで行える「バスもり!」というアプリの次世代版システムの開発に取り組んでいます。
入社前のご経歴を教えてください。
出身は千葉です。理系の大学院を出た後、東京の電機メーカーに就職し、システムエンジニアとして12年間働きました。全国市役所向けの基幹系システム、国内・海外向けの電子マネーシステムなどの開発を手がけた後、37歳のときにアメリカに留学、MBAを取得しました。
帰国後はコンサルタント会社でITコンサルタントを1年間経験し、その後はAIのベンチャー企業に転職して対話型ボットの開発などに2年間携わりました。
転職したきっかけは?
妻が北海道出身なのですが、アメリカ留学から帰国した頃から「北海道に戻りたい」と言うようになりました。妻自身もずっと東京で働いていたのですが、東京での通勤や夏の暑さが苦手だったんです。そのうちに、私も移住へと気持ちが傾いていきました。それで、仕事がひと段落したタイミングで、北海道に移住する決断をしました。
引っ越すなら子どもが小学校に上がる前の方が良い、という思いもありました。また、北海道に住む義姉に子育てのサポートをしてもらいやすくなる、ということも決断のポイントになりました。
転職活動はどのように進めたのですか?
インターネットでいろいろと情報を探したところ「北海道での転職に強い」というリージョナルキャリア北海道が、東京で相談会を開催するという情報を発見。さっそく申し込みました。
相談会では、コンサルタントから札幌での暮らしや働き方など、役立つ話をたくさん聞くことができました。求人情報も、その場で数社紹介してもらいました。
後日、コンサルタントを通じて興味を持ったいくつかの会社の職場見学をさせてもらったのですが、平日の大半は東京出張で週末札幌に帰る、という働き方をする会社も多くあることがわかりました。しかし、やはり北海道に腰を据えて働きたいと考え、条件を絞り込んでいく中でコンサルタントから提案されたのが、ウェルネット社でした。
今の会社に決めたポイントは?
1つは開発したサービスを自社で展開している、という点です。それなら東京に出張しなくてもいいですからね。もう1つは新規事業を任せてもらえる、ということでした。私自身、北海道に行っても、今までにないサービスづくりにチャレンジしたいという想いがありました。
しかもウェルネット社には航空会社をはじめ、魅力的な取引先が多く、ビジネス環境も整っています。社長からも「うちにはビジネスチャンスがあるから一緒にやらないか」と熱く誘っていただいたことで、心が決まりました。
休日は子どもと雄大な自然を満喫。妻の表情にもゆとりが戻った。
転職していかがですか?
毎日楽しくやっています。最初は皆に受け入れてもらえるか不安でしたが、北海道はいい人が多いですね。すぐに受け入れてもらえたので安心しました。
ただ、仕事は大変です。これまでもいろいろなシステムを開発してきましたが、次世代のものを作る今のプロジェクトの難易度は、かなり高いです。でも、そのために自分が雇われたわけですし、自分自身もそういった仕事を望んでいたので、やりがいはありすぎるほどです(笑)。開発は今のところ順調で、2020年度中のサービスインをめざして頑張っています。
生活面の変化はありましたか?
現在は札幌の賃貸マンションで暮らしています。通勤時間は車で30分ほど。義姉の家に近い場所という条件で選んだので、職場からはちょっと遠いです。
当社は18時になると執行役員が「さぁ帰ろうね」と社員を追い出してくれるので、家に帰る時間は早くなりました。18時半には社内に誰もいなくなり、私も遅くとも19時には家に帰り着いています。
休日は2人の子どもとよく遊びに出かけています。東京にいた頃は近くの小さな公園に行くくらいでしたが、札幌は車で30分も走れば、山2つぶんくらいありそうな、広大な公園があるんです。今までテントを張ったこともなかったのですが、初めて子どもをキャンプに連れて行きました。北海道に来てから子どもたちとの距離がいっそう近くなったような気がします。
困ったことや課題はありますか?
冬の寒さと雪の多さには驚きました。道路に氷が張った日の運転は、今も緊張します。一度、東京と同じような服装で外に出たら、ものすごく寒くて、驚きました。
雪かきも初めて体験しました。雪で駐車場から車が出られなくなる時もあるので、今では車の中に雪かきの道具と毛布を積んでいます。ただ、そんなふうに雪に驚いているのは私だけで、地元出身の妻はひょうひょうとしています(笑)。
転職して良かったと思うことは?
まず生活環境がよくなりました。自然がすごく近くて、空気がおいしいし、緑もきれい。食べ物も、カニ、イクラなど、おいしいものがたくさんあります。妻の表情も、東京にいたときと比べ、和らぎましたね。今はすごく余裕があるのを感じます。やはり、子育てのサポートをしてもらえる人が近くにいることが大きいのではないでしょうか。
子どもたちも北海道に来て喜んでいて、公園などに出かけると虫取りに夢中。釣りもデビューして、外遊びをたくさんするようになり、たくましくなってきた感じがします。
私自身も満足しています。正直来る前は「北海道に行ったら取り組めるプロジェクトのレベルが落ちるんじゃないか?」という不安がありましたが、そんなことは全くありませんでした。自分が力を発揮したくなるような環境が、ここにはあります。今の時代、どこにいてもわくわくできるようなものづくりはできると、自信を持って言えます。
転職を考えている人にアドバイスをお願いします。
転職して地方に行く際の不安は、自分がそこで働き、暮らすイメージができないことからきているのではないしょうか。その不安を解消するためには、その地方のことをよく知っている人、例えばリージョナルキャリア北海道のコンサルタントのような人に話を聞いてみることがいちばん早いと思います。その地方にある会社や風土など、地域に密着した情報を教えてもらえるからです。
もう1つのおすすめは職場見学です。私の場合、コンサルタントを通じて依頼し、最終的に5社ほど見学させてもらいましたが、仕事のことだけでなく、そこで働いている人たちのライフスタイルも質問しました。
また、いろいろな人の話を聞くことで、北海道に移住してきている人が想像以上に多いことにも気づかされました。自分の地元ではないので最初はそれなりに不安もあったのですが、それも心強かったですね。そのうちに少しずつイメージが湧いて「自分も北海道に行ってもいいかな」と思えるようになったんです。