日本食品製造合資会社
髙田政弘さん(人事) 44歳
創業100年企業で、将来へ向けた「挑戦」「働き方」「仕組作り」に挑む。
就職氷河期世代で就活には苦労したという髙田さん。当初は派遣社員だったが、やがて正社員となり、病院事務を経て介護サービス会社に就職。人事や拠点管理に携わり、拠点長を務めるまでになったものの、病気になった父と家族の負担を考えて転職。
新たな勤め先となったコールセンターでも、人事総務を担当。SVとして活躍したものの、東京本社の人事部へ異動の打診があり、家族のために北海道外への転勤は避けたいと再び転職。
そんな髙田さんが、リージョナルキャリア北海道のコンサルタントからの提案で新たに出会ったのが、日本食品製造の「働き方相談室」室長のポジションだった。
まったく経験のない食品業界だったものの、「従業員の働き方、会社の仕組みの整備に携わることで、楽しく、存分に力を発揮できる職場づくりに貢献できる」とやりがいを語る髙田さんの転職活動を伺った。
※本記事の内容は、2024年3月取材時点の情報に基づき構成しています。
- 過去の
転職回数 - 4回
- 活動期間
- エントリーから内定まで60日間
転職前
- 業種
- 教育関係
- 職種
- 事務
- 業務内容
- 事務主任(教育機関の運営事務)
転職後
- 業種
- 食品製造業
- 職種
- 人事
- 業務内容
- 組織運営にかかわる人事業務全般(採用業務、評価制度構築、社内仕組み作りなど)
「病気の父のそばにいて家族で面倒を見たい」と、数度の転職を経験。
現在のお仕事はどんな内容ですか?
日本食品製造合資会社は、日本で初めてコーンフレークやオートミールの製造をした会社です。低カロリーで健康食品として知られているオートミールは、健康志向の高まりもあって大きな注目を集めています。ダイエット食品として主食にされている方も多く、オートミールの市場規模は近年急成長しています。
私は「人財開発兼働き方相談室」の室長として、人事全般を統括しています。本社と2つの工場を飛び回り、働く社員の声を吸い上げ、より良い職場環境を作っていくことが私の役割です。
困りごとを聞き、内容によっては社長に直接提言し、改善のための具体的な制度づくりも行います。また、ファシリテーターとして工場の責任者会議に参加するなど、組織運営にも加わっています。
入社前のご経歴を教えてください。
大学での就活がちょうど就職氷河期と言われた頃で、思うような内定が得られず、公務員を志望したものの、卒業後は生活のため派遣社員の道を選びました。
さまざまな仕事を経験しましたが、なかでも勉強になったのが、正社員として初めて働いた児童福祉施設です。上司・同僚から、社会人として働く上で大事なこと、ホスピタリティなど多くのことを学びました。
その後、職業訓練校で医療事務の資格を取得。介護サービスを行う会社に転職し、主に人事や拠点管理を担当しました。人手不足時には現場を手伝い、直接「ありがとう」と言われる仕事にやりがいを感じていました。
しかし、父の病が進行。会社からは「複数拠点の拠点長を任せたい」と言われましたが、そうなると道内を飛び回ることになるります。「父の世話を、高齢の母と姉に任せきりにはできない」と考え、東京に本社のある放送会社のコールセンターに転職。ここでも人事や総務を任され、キャリアコンサルタントの資格も取得しました。
転職のきっかけは?
実は、以前からリージョナルキャリア北海道の高岡さんと面識がありました。母の知人からの紹介で、就活に苦労していた頃に相談させてもらったことがあったんです。
当時はまだ創業前でしたが、高岡さんは親身にアドバイスをくれました。その縁は、高岡さんが起業して以降もずっと続いており、「進路を見失ったな・・・」という時には話を聞いてもらっていました。
コールセンターでの仕事の幅はどんどん広がり、人事総務だけではなく、現場SVを任されるなど責任も大きくなっていました。しかし、不慣れな現場やSV業務の仕事に追われ、悩みを感じるようになりました。そこで会社に相談すると、「本社人事部へ来ないか」と打診されたのです。
魅力的な話でしたが、そのころ父の容態も悪化。余命宣告を受けていたので異動は断りました。「今の自分の能力を生かして、家族との残り少ない時間を大切にできる職場を探したい」と、再びリージョナルキャリア北海道を頼りました。
転職活動はどのように進めましたか?
リージョナルキャリア北海道のコンサルタントは、私がいつ声をかけても親身になって話を聞いてくれました。他のいくつかの転職サイトにも登録はしていたのですが、一番信頼できて、頻繁に利用、情報交換をさせてもらったのはリージョナルキャリア北海道です。
私も人事の仕事を長く経験していたため、深い部分を尋ねることもあったのですが、コンサルタントはざっくばらんに本音で話をしてくれました。おかげで、こちらも伝えたいことを気兼ねなく話すことができ、信頼関係を結べたのだと思います。
今の会社に決めたポイントは?
コンサルタントが熟考の上、紹介してくれたのが日本食品製造です。他の転職サイトで進んでいた面接もあったのですが、日本食品製造の社員と会って、その人柄にすっかり魅了されてしまいました。
同社の社員はとても気さくで、「髙田さんにぜひ入っていただきたい」とも言ってくださいました。そこまで言ってくれる会社は他になく、ここでなら楽しく働けると感じました。
また、私は、自分の経験や知識をフルスイングで発揮できる会社に腰を据えたいと考えていましたが、日本食品製造はその思いをくんでくれました。「責任ある立場でフルスイングできる」という確信を持てたのが、一番の決め手です。
従業員一人ひとりから「期待している」「がんばって」と声をかけてもらえるのが嬉しい。
転職していかがですか?
いきなり室長として入社したわけですから、「従業員の皆を構えさせてしまうのではないか」という懸念もありましたが、それは杞憂でした。最初はさすがに遠慮もあったと思いますが、私が肩肘張ることなくありのままに接していたら、少しずつ打ち解けてくれました。
入社してからほぼ全員と面談させてもらいました。1人につき1時間をかけ、じっくり思いを聞く中で、もっと横の連携を強くした方が良さそうだと気づきました。そこで、定例会議の強化を提案。すると、社長や周りも賛同してくれました。
この柔軟性が日本食品製造の長所の一つですね。何十年も工場で働いている方から「こういう場を作ってくれてありがとう、ようやく仕事の相談ができる場ができた」と言ってもらえた時は、ずっと一人で問題と責任を抱えていたのだと気づかされたと同時に、実施して良かったと感じました。
転職して良かったと思うことは?
自分の考えと行動が存分に発揮できている実感があることですね。私は「働く仲間一人ひとりが、個性と才能を活かせる場を作りたい」と考え、いろんな提言を行っています。すると、社長は「どんどんやってほしい」と背中を押してくれるんです。
「働き方相談室」が社長直轄の組織で、上司は社長しかいないため、社長と直接話せるというのがいいのかもしれません。約一年が経過し、社長から「工場の雰囲気が変わりました」と言ってもらえた時は、胸がいっぱいになりました。
もう一つ、従業員の皆から声をかけてもらえるのもありがたいですね。現場の方が「がんばって」と声をかけてくれたり、帰り際にわざわざ「おつかれさまです」とお菓子を持って来てくれたり。受け入れてもらえているんだなと感謝しています。
困っていることや課題はありますか?
オートミール市場の急成長に伴って会社の売上も倍増しており、働く人も増えています。急激な成長に組織が追いついておらず、新たな制度づくりや働きやすい仕組みの整備が急務です。
市場の変化を感じ取りながら、会社の成長スピードと従業員の思いをうまく調整していかなければなりません。社員が安心して楽しく働ける、そしてモチベーションを高められる場をどう創造していくか。それが私の課題であり、腕の見せ所です。
誰しも「変化」に対しては苦手意識があります。反面、生物が生き残っていくうえで一番大切なのは、力や特殊能力ではなく「変化に対応する能力」と言われますが、組織もこの能力が必要と感じています。
生活面での変化はありましたか?
残業が大幅に減り、プライベートの時間は今までのどの職場より取れています。ついつい仕事に集中して残業していると「遅くまで残っていたみたいだけど大丈夫ですか」と、周囲の同僚が心配して声をかけてくれます。
休みはしっかり取ろうという社風が浸透しているおかげでしょう。ここに来てから、自分のことも大切にするようになりましたし、メリハリをつけて仕事ができています。
また、仕事に対して何事もポジティブに取り組めていると感じています。それは、周りの人の助けもありますが、手を差し伸べてくれる環境、信頼して任せてもらえる環境のため、「やらされている感」がなく、頑張って成果を出そうと思えています。
周りの友人、キャリアコンサルタントの仲間からも「転職はいい選択肢だったね」と言ってもらえています。
転職を考えている人にアドバイスをお願いします。
30歳前後の頃、私は医療や福祉業界で働きたいという思いを強く持っていました。でも振り返ると、そこに縛られすぎていたように感じます。まったく違う業界でも自分にできることはあるし、それが周りからすごく喜ばれたりもします。
「こうあるべきだ」という固定観念から一度離れて、「自分に何ができるか、何をやりたいのか、何を大事にしているのか、何を成したいのか」を再確認してみてはどうでしょうか。
転職は、お金のことや家族のことなど悩む点が多く、体力も使います。いろいろ考えると、新たな分野になかなか踏み込めなない気持ちもよくわかりますが、今は自分が自分らしく働ける仕事を選ぶ時代です。やりたい気持ちがあるのなら、新たな世界にチャレンジするのも良いのではないでしょうか。