ツナガル株式会社
藤田花さん(広報) 26歳
家族との時間と、人と深く向き合える仕事を求め、北海道へ夫婦でIターン移住。
東京の大学を卒業後、大手新聞社に就職した藤田花さん。仙台に配属され、記者として多忙な日々を送っていた。仕事に手応えを感じていたものの、結婚後も忙しさは変わらず、夫となかなかコミュニケーションが取れない状況に疑問を感じるようになったという。
また、次の異動で東京配属の可能性があったものの、藤田さんは地方での暮らしと仕事が気に入っており、「今後もローカルで暮らし続けたい」という想いが強くなっていた。そこで夫婦ともども、北海道という新たな場所に移住し、転職することを決断した。
現在は北海道のツナガル株式会社に入社し、広報としてのやりがいを手にした藤田さんの転職活動について詳しく伺った。
※本記事の内容は、2023年8月取材時点の情報に基づき構成しています。
- 過去の
転職回数 - 1回
- 活動期間
- エントリーから内定まで96日間
転職前
- 業種
- 放送・出版・マスコミ
- 職種
- 記者
- 業務内容
- 大手新聞社にて記者として勤務。県政や市政、スポーツなどの取材を行う。
転職後
- 業種
- クリエイティブ企画、メディア・イベント企画・運営、インバウンド事業企画
- 職種
- 広報
- 業務内容
- 新サービス発表時のプレスリリース準備やメールマガジンの発信、ブログ記事作成。
大手新聞社の記者から、ベンチャー企業の広報へ転身。
現在のお仕事はどんな内容ですか?
ツナガル株式会社は「人とヒト」「人と地域」など、さまざまな「つながり」を生み出す総合的コミュニケーションを軸に、海外と日本をつなぐオンラインでの交流事業や旅行商品の造成、イベント企画・運営、各種クリエイティブ企画・制作などを行う会社です。
私は広報として、新サービス発表時のプレスリリース準備やメールマガジンの発信、ブログ記事作成など、さまざまな業務を手がけています。北海道内のイベントにスピーカーとして登壇したり、自社イベントのゲストを招聘したりする仕事にも携わっています。
広報専任は私だけなので、各種原稿は基本的に一人で作成しています。不明点はネットや本で調べたり、他部署メンバーに意見をもらったりと、試行錯誤しながらツナガルにおける広報のあり方を模索しているところです。
入社前のご経歴を教えてください。
出身は静岡で、東京の大学を卒業後は大手新聞社に新卒入社し、記者として仙台に配属されました。1~2年目は警察署を回って地域の事件の取材。スポーツ情報にも関わり、3年目には行政担当となって、知事や市長に張り付いて記事を作成しました。
並行して、街ネタもいろいろ集めました。宮城は酒処なので、日本酒を取材したり、「猫の石碑が日本一多い町」というのが宮城にあるので、調査して報道したりと、幅広いジャンルの記事に携わりました。
転職のきっかけは?
一つ目は、仙台で結婚したことです。結婚したものの、記者は24時間いつ呼び出しがあるかわからない仕事のため、夫婦で落ち着いて話す時間も取りづらく、精神的に余裕がない日々が続いていました。夫がそれに不満を漏らすことはなかったのですが、「こんな生活を続けていいのか」と私自身が疑問に感じるようになりました。
二つ目は、東京への異動です。記者は3~4年経つと異動があります。私の場合、次は東京勤務が既定路線。ただ、私はローカルの生活がとても気に入っていました。仕事面でも地域と深く関わりやすい環境があるのがローカルの魅力。東京に戻ったら、これは難しいと思いました。
もう一つ、「自分で決めた場所に行きたい」という気持ちが芽生えたのもあります。仙台での暮らしには満足していましたが、私は父の仕事の都合で、何度も引っ越しを繰り返す子ども時代を過ごしました。そのせいか、「違う場所の生活も味わってみたい」という衝動が湧き始めたのです。これらが重なって、転職に向けて行動を開始しました。
転職活動はどのように進めましたか?
仙台ではない、新しいローカルはどこかと考え、思い当たったのが北海道です。私の兄が北海道で暮らしていたこともあり、夏になると北海道によく遊びに行っていました。
自然にも気候にも恵まれた環境でありながら、札幌という大都会もある。「こんなに豊かな場所は他にない、住むなら北海道がいい」と漠然と感じていました。夫に「転職して北海道に行きたい」と話すと、あまり動じることなく「それもいいね」と賛成してくれ、すぐに行動を開始しました。
最初は転職サイトや転職支援会社などを通さず、北海道のマスコミ関係に直接エントリーしました。面接を受ける中で、「私はマスコミの仕事にこだわったわけじゃない。他の仕事にも選択肢を広げてみてもいいのでは?」と気付きました。
そこで活動を見直し、北海道の転職に強い転職支援会社を探しました。その一社が、リージョナルキャリア北海道(運営:リージョンズ株式会社)です。リージョナルキャリア北海道の転職コンサルタントである鈴木さんから連絡をもらって話してみると、「この人とは波長が合う」とすぐ感じました。
私の言った一の内容から十を汲み取り、言語化してくれるのです。おかげで、「私自身が本当はどんな仕事がしたいのか」が明確になりました。
余談ですが、北海道への移住にあたって夫も転職したのですが、そのお世話をしてくれたのも鈴木さんです。夫婦ともにやりがいのある職場を紹介してくれて、感謝しきれません。
今の会社に決めたポイントは?
鈴木さんに「地域との関わり合いがある仕事がしたい」と伝えたところ、「人と人のつながりを大切にしたい、ということではないですか」と本質を見定め、紹介してくれた1社がツナガルでした。
ツナガルを含め数社から内定をもらい、なかなか決めきれずにいると、鈴木さんは「もう一度、ツナガルの人に会って本音をぶつけてみてはどうか」と、わざわざ面談を設定してくれました。
そこで話をするうち、ツナガルだったら面白い仕事ができそうと感じました。また、従業員一人ひとりのライフプランや個性を大事にしてくれそう、という社風も伝わってきたので、入社を決断しました。
北海道での仕事と生活を満喫。家族と過ごす時間の貴重さを実感した。
転職していかがですか?
プレスリリースは平均月1本程度。メルマガも同じ程度で、ブログは1~2週間に1度くらいの頻度で更新。どれも、模索しながら実践しては改善、の繰り返しの1年でした。おかげで少しずつ、あるべき広報の形になっている、という実感があります。
会社で実務経験を積みながら、新たな分野、新たなスキルを手に入れられたことはとても良かったですし、トライアンドエラーを許容してくれた会社に感謝しています。
また、当社は多国籍の従業員が所属しているので、それぞれの違いを許容するルールづくりを意識しています。そういった環境が、私にはとても心地良く感じます。
転職して良かったと思うことは?
ゼロベースから広報領域を切り拓く、というチャンスをもらったのは、ありがたいですね。おかげで、自分の成長を実感しながら仕事ができています。最終面談で「一人ひとりを大事にしてくれそう」と感じたのは、間違いではありませんでした。
プライベート面では、休みを固定で取れるようになったのが嬉しいです。この時間を活かして、新しい土地で自分なりにネットワークを広げようと、いろいろ活動しています。移住者向けイベントに出席したり、若手対象のイベントに出向いて人脈を広げたり。そこで生まれた関係を、仕事にも還元できるかもしれません。
困っていることや課題はありますか?
広報という仕事は、短期的に収益という成果を生み出す部署ではありません。情報提供を通じ、会社のファンを増やす、そして長期的な会社の価値向上に貢献するのが役割だと思います。と、わかってはいるのですが、成果が目に見える形で出ない大変さもあります。やっていることが正解かどうか、判断が難しいですから。
また、ツナガルはリモートワークが中心で、社員同士が離れた環境にいるため、コミュニケーションが難しく感じる場面もあります。一方で、ITを活用し、あたかもすぐ隣にメンバーがいるかのような、コミュニケーションの取りやすい環境の整備も進めています。それをもっと上手に利用していきたいと感じています。
生活面での変化はありますか?
夫婦で会話する時間が増えました。以前は、夫と仕事の話をしようとしても、私の心に余裕がなくて、「私の悩みなんて夫に理解できない」と思い込んでいました。でも今は、「仕事でこんないいことがあった」「今こんな課題にぶつかっているのだけど、何かアドバイスない?」と、お互い自然に話せるようになっています。
一緒にご飯を食べ、一緒にジムに行き、楽しいことも悩みも打ち明け合える時間は本当に尊いと転職して初めて気づきました。
旅行にもよく行きます。北海道には127の道の駅があり、駅ごとにピンバッチを作っているのですが、これを「制覇してやろう!」と、休日には夫婦で車に乗って出かけています。今、30個くらい集まったところです。
転職を考えている人にアドバイスをお願いします。
苦労して大きい会社に入った、知名度もあるし福利厚生もしっかりしている、そろそろ結婚も考えていて収入ダウンは避けたい・・・と、いろいろ思うことはあるでしょう。しかし「これでいいのか?」と迷いが生じているのなら、早めに腰を上げ、新たな道を探してもいいのではないでしょうか。
迷うということは、何らかの課題があるからです。転職によって課題が解決するのなら、ぐずぐずせずに行動してみるべき。それで結果的に転職しなくとも、迷いは解消できるかもしれません。
そして、転職するなら、転職コンサルタントに頼った方がいいと思います。自分一人だけで見える世界には、限りがあります。転職コンサルタントの目を加えれば、間違いなく視野は広がります。自分の中に、今の道とは異なる新たな選択肢を持っておけば、それだけで心の余裕が生まれると思います。