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人事制度を刷新して多彩な能力を活かす環境を整え、北海道の発展を推進。

株式会社北洋銀行
常務執行役員人事部長 宮原 正宏

更新日:2024年8月07日

1969年2月生まれ。1992 年に早稲田大学を卒業後、株式会社北海道拓殖銀行に入行。その後、同行が経営破綻、1998年に営業譲渡先である株式会社北洋銀行に入行。以降、西野二股支店長、融資第一部審査役、東京事務所長などを歴任。2020年、執行役員東京支店長。2023年に常務執行役員人事部長に就任。
※所属や役職、記事内の内容は取材時点のものです。

北海道には、大きな可能性がある。

私が北海道拓殖銀行(拓銀)に入行したのは1992年。学生時代までずっと本州で暮らしていた私が拓銀を就職先に選んだのは、北海道に大きな魅力を感じたからです。広い土地があって、食べ物が美味しい。渋滞や混雑もなく、おおらかに暮らせる。首都圏のような大都市では望めない環境が、そこにありました。

当時、バブルは既に崩壊していたものの、市場にはまだ名残がありました。その頃の地域振興策というと、風光明媚な場所にテーマパークやリゾート施設を建てて道外から多くの観光客を呼び込むというもの。今と比較すると非常にシンプルなモデルでした。

やがてバブル崩壊の影響が顕著になり、1998年に拓銀は経営破綻。北洋銀行へと営業譲渡を行います。この時点で北海道を離れ、本州に戻る道もありました。でも私は、「北海道の魅力は少しも廃れていない」と残ることを選択。その決断には僅かの後悔もありません。

バブル崩壊から続く90年代の金融危機や、2000年代のリーマン・ショックなどを経て、地方銀行を取り巻く環境は大きく変わっています。以前は銀行法による厳しい制約があったものの、規制緩和が進み、高度化・複雑化する経済状況に柔軟に対応できるようになっています。今やグループ会社を通じて発電事業を行う銀行もあれば、広告事業に参入する銀行もあるほどです。

これは大きなチャンスです。北海道の魅力を高めるため、銀行が様々な形でバックアップするだけでなく、自ら挑戦できるようになったわけです。私たちも積極的に、そうした活動に取り組んでいこうと考えています。

高付加価値の事業・仕事創出を牽引する。

北海道全体をどう発展させるのか。そういった視点が、これまで以上に求められるでしょう。強みである食や観光を活かすのは当然ですが、それだけではありません。

その一例が、グリーントランスフォーメーション(GX)推進です。GXとは化石エネルギー中心の産業・社会構造をクリーンエネルギー・再生可能エネルギー中心へ転換し、環境保護と経済成長を両立させることを指します。そして、洋上風力、水素、蓄電池など、GXの主軸と言える再生可能エネルギー分野において北海道のポテンシャルは国内随一です。

この環境を活かし、日本における再生可能エネルギー供給基地として、あるいは世界中からGXに関する資金・人材・情報が集積する金融センターとして北海道と札幌の地位を確立しよう、という「GX金融・資産運用特区」構想がスタートしています。

北海道と札幌市の協働で提案されたこのプランは先日、北海道・札幌市が「金融・資産運用特区」の対象として決定され、併せて「国家戦略特区」にも指定されました。北洋銀行も金融面からGX特区を強力に推進していきます。

また、2022年に設立されたラピダス社が、北海道に大規模な次世代半導体製造拠点を開設することを計画。2025年4月の試作ライン稼働開始に向け、大詰めを迎えています。これに歩調を合わせ、北洋銀行ではラピダス社関連の半導体事業者約150社と接触しており、半導体関連で投融資商材は累計600億円(2024年6月時点)まで積みあがっています。

北海道でも人口減少が続いていますが、少なくとも付加価値の高い仕事が道内にあれば、人口流出を食い止められる可能性が高まります。それだけでなく、道外から人を呼び込む原動力としても期待できます。

コンサルタントとして、知恵を出す。

インバウンドが順調に増える一方、アウトバウンドをいかに拡大するかも大事なテーマです。北海道には、よく知られる産品以外にも価値のあるものがたくさんあります。付加価値をより高めて、それらを道外に、世界に向けて発信する活動に力を入れなければなりません。

例えば米やワインについて、以前はあまり北海道産のアドバンテージがありませんでした。ですが、今は全国的に評価が高まっています。食材も採れたそのままを販売するのではなく、工場で加工して価値を高めれば魅力がいっそう増すものもあるでしょう。

工場が稼働すると、雇用の創出にもつながります。付加価値の高い産品は、産業としての裾野を広げて恩恵をもたらしてくれます。こうした動きを資金・情報などの面から支えるのも私たちの役目です。

札幌一極集中ではなく、北海道各地域にどう貢献していくか、という点も課題の一つでしょう。札幌が牽引役となり、道内各地が活性化する。そういった展開が理想的です。

観光のような短期の滞在ではなく、長期滞在のニーズもまだまだ掘り起こす必要があると考えています。テレワークにより、首都圏の仕事をリモートでこなしながら別の場所で暮らすスタイルが珍しくなくなり、北海道に居を構えつつ首都圏で仕事したいという人がもっと増えるのではないでしょうか。

銀行が自ら行内ベンチャー的にやる。お客さまの事業を側面からサポートする。方法は多様ですが、いずれにしても求められるのは、銀行がもっと知恵を出すことです。単に相談に乗るだけではなく、一緒に事業を提案できるコンサルタントとしてのスタンスが期待されています。

人事制度刷新プロジェクトに55名が参加。

経済環境の変化が激しい中で、お客さまに質の高い提案や情報提供を行うには、専門的な知識や経験が不可欠です。そうした高度な能力を持つ行員を採用・育成する体制を整えなければなりません。そこで2024年から、北洋銀行では人事制度の抜本的刷新を図っています。

現在、その作業が進んでおり、2025年7月を目処に新制度へ移行する予定です。人事制度改革にあたっては、全行からプロジェクトメンバーを公募しました。12名の募集人数に対し、なんと55名もの手が挙がったのです。

部門も職種も世代もバラバラで、2年目、3年目の若手もいれば、支店長クラスのベテランもいます。大幅な人員増でしたが、「いろんな人の意見を聞いた方がいい」と55名全員に参加してもらい、プロジェクトがスタートしました。現在は55名をいくつかのチームに分け、テーマを設けて議論を進めています。各チームのリーダーは、あえて若手や女性を抜擢しました。

やはり年月が経つと、時代にマッチしていない制度がたくさん出てきます。特に、地方転勤、女性活躍、シニア活躍、キャリア形成といった領域でそう感じます。

中でもキャリアについては従来、入行後はゼネラリストとして経験を積み、支店長を目指す単線のラインしかありませんでした。しかし、金融やデジタル、サイバーなどの高度で専門的な知識を持つ人材の処遇を考えるとキャリアパスを複線化させなければいけないと考えています。

厳しい時代を乗り越えるには、過去の延長線上でやっていても答えが見つかりません。お客さまと地域の信頼を得るにはチャレンジの風土を根付かせ、加速させる必要があります。そのための人事制度改定に多くの行員が参加を希望したということは、同じような危機意識や使命感が共有できていたからでしょう。その点を嬉しく感じます。

行員が自身の能力を最大限に発揮できるよう、引き続き様々な意見を採り入れて制度を充実させていきます。

多様性の中から、イノベーションが起こるような風土に。

先ほど申し上げた通り、北海道には大きな可能性があります。そして、その可能性を実現するには多様な人材が欠かせません。

例えば、私のように縁もゆかりも無い北海道にやってきた道外出身者や、逆に道内出身ながら他地域で暮らした人。同業界ながら他社のやり方を知る人。あるいは、金融とはまったく異なる分野で経験を重ねた人。様々なバックボーンを持つ人々が集まることで、新たな発見があるでしょう。

GXや次世代半導体など、専門的な知識がないと理解の難しい領域も増えています。その点では理系出身者や、修士・博士を修了した人も歓迎します。また、海外出身の方にも広く門戸を開きたいと考えており、そうした多様性の中からイノベーションが沸き起こることを期待しています。

年功的な序列にこだわらず、意欲・能力がある人を登用していく風土を加速させていきたいとも思っています。特に、「興味のある分野で力を発揮したい」と考える若手のやる気を活かせる会社にしていきます。北洋銀行にはそのためにチャレンジする機会がたくさんあります。行内ベンチャーとして新しい事業に取り組んだり、コンサルタントのような立場で新たなビジネスの成長をサポートしたりできます。

意欲が発揮できる、そして成果を出したらきちんと評価する環境が、人材の成長には重要です。意欲のある行員には行外へのトレーニーなど、学ぶ機会の提供も大事です。これらも時代に合わせてバージョンアップしていきます。

人口減社会の中で地域を支え、活性化を推進する。そのため既成概念にとらわれず、大胆にチャレンジする。北洋銀行は、そんな人材が活躍できる場所を目指します。

編集後記

コンサルタント
宮崎 美晴

現在、世界中でGXの大きな流れが起きている中、再生可能エネルギーなどのポテンシャルが大きい北海道にはビジネスチャンスが広がっています。同行は「北海道札幌GX・金融特区」における北海道の中心的な金融機関の一つとして活躍を期待されています。

これまでにない高度な金融領域、地域活性の機会の創出のタイミングに、既存の人事制度を変えることで人材の成長の機会につなげたいと考えている同行はまさに変革の時期で、「自ら進んで挑戦できる人」にはチャンスがたくさんあると思います。

北海道のために本気で挑戦する同行の発展をこれからも応援していきます。

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