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2023年、札証本則市場へ上場。築いた信頼を基盤に充実のITサービスを提供。

株式会社GSI
代表取締役社長 小沢 隆徳

更新日:2024年1月17日

1979年生まれ。北海学園大学を卒業後、土木系企業に就職、営業を担当する。退職後、職業訓練校に通うなどしてIT知識を習得する。2007年、創業して3年程度の新興企業だった株式会社GSIに転職。当時の社長からの誘いで東京など北海道外へも積極的に出向き、東京の会社の案件を受注するなど、力を発揮する。2014年に取締役兼札幌事業部長、2016年に副社長を歴任。2022年、代表取締役社長に就任。
※所属や役職、記事内の内容は取材時点のものです。

エンジニアのための土壌作りが企業の成長に。

GSIは顧客の依頼に応じ、ソフトウェアやシステムの開発・運用・保守を行う会社です。さまざまな業種でDXが進み、生成AIの発展など技術革新も著しい中、どの企業にとってもIT人材の育成やシステムの充実は喫緊の課題となっています。

一方で、IT人材は2030年には最大で79万人が不足すると言われています。高まるニーズに応え続けるため、当社はITエンジニアチームを結成し、顧客先でシステム開発や運用の支援、請負契約による受託開発などのサービスを提供しています。また、モバイルアプリ開発やホームページ制作など、インターネットサービス全般も手掛けています。

売上高は、近年対前年10%程度のアップを継続中。2023年6月には、札幌証券取引所本則市場への上場も実現しました。これも、一つひとつのニーズに的確に応えてきた結果と考えています。

「常駐型システム開発」と聞くと、IT業界を知る方の中には、「単独で派遣され、相談相手もいない」「限定的な作業しかできない」「長時間労働になりがち」といったイメージを持つ人もいるかもしれません。かつて、そのような状況があったことは、私たちも重々承知しています。

だからこそ、そのままではいけない。エンジニアを育成し、孤立させず、仲間とともに仕事に集中できるようにしなければならないと考え、環境改善を進めました。私を含め、当社の経営層は大半がエンジニア出身なので、エンジニアが嫌がることはさせたくないという思いが会社の根幹にあります。

チームでの案件参画にこだわるので、上司や先輩へ気軽に相談ができます。そのため、独りで右往左往することはありません。入社後は、最大4か月間の独自カリキュラムによるOff-JT研修を用意し、実務で困らないよう必要な知識を身に着けるので、安心して仕事に取り組めます。

また、顧客の理解を得るために粘り強い交渉を行うなど、営業面にも注力してきました。こういった地道な活動を怠らず続けてきたことにより、昨今は平均残業時間も約14時間程度に抑えることができ、社員数も売上高とともに順調に増加しています。

上場を経て、会社の立ち位置が変わっても、エンジニアの想いを大切にし、人と企業が一緒に成長できる会社であり続けたいと考えています。

確かな開発力で顧客の信頼を獲得。

私がGSIに入社したのは2007年。まだ社員数も20~30人の頃です。私はIT知識がまったくなく、前職の退職後は職業訓練校に通って自己学習していました。

ある程度の経験を積んで以降、当時の社長のアドバイスもあり、東京の顧客案件を獲得しに行くようになりました。実は、現在の当社で参画人数がもっとも多い案件は、当時私が東京で受注したものです。最初は、ここまで長くご継続いただけると思っていませんでした。

当時、私と共に参画していた社員は、私が東京に行って仕事を獲得する様子を見て、自らも率先して仕事を獲得する姿勢を見せてくれるようになり、それが案件の長期継続に繋がっていきました。これらの動きが起点となって企業文化が変わり、規模拡大に繋がるターニングポイントだったと思います。

このように、当社は長らくニアショア開発拠点として成長を続けており、大規模な案件でも受注できる体制作りを続けてきました。コロナ禍によりテレワークが普及したことも追い風となり、「確かな成果を出せるなら、オンサイトにこだわらずともよい」という考えが、全国の顧客の間でも浸透しつつあります。こういったニーズにしっかり応え続けることが、当社の業績を押し上げる要素になっていくと考えています。

もちろん、その前提は確かな開発力です。地方・東京に関わらず、顧客の要望に柔軟に応えられる技術力が当社のパワーとなっていることは、間違いありません。

特に大規模プロジェクトの場合、複数社のエンジニアが常駐することも珍しくありません。その場合は、契約関係になくとも協力しながら一つの仕事に取り組むことになるため、良い仕事ができる人の情報は現場のエンジニア間で共有されるものです。そこでの働きが信頼に繋がってきたのだと考えています。

最初は少人数で始まった案件が、開発力やチーム力を認められるとともに拡大し、顧客の別部門や他企業からも依頼をいただけるようになっていきました。

さまざまな手法でエンドユーザーの課題解決に貢献。

私は社長に就任する前、エンジニアとして札幌と東京を往来していた頃から、エンドユーザーと直接取引したいという思いを持っていました。

エンジニアである以上は、自身のスキルアップのためにも、仕様決定などの最上流工程からリリースまで一貫してやってみたいと思うものです。実際にシステムを利用するお客さまから、直接感謝の言葉をいただけた時の達成感は、何にも代えがたいものがあります。

そういった体験を作り出すためにも、事業の幅を広げながらチャンスを創造し、生まれたチャンスには積極的に挑戦してほしいと考えています。

当社では、2023年8月に経営理念を更新し、「すべての企業とITを近づけ、社会の推進力を生み出す。」ことをミッションとしました。

現在、多くの仕事は大手SI企業からいただいていますが、今後はエンドユーザーと直接取引する案件も増やしていく必要があります。

実績はまだ少ないですが、Google Workspaceの導入やデジタルデザイン、直近ではIT導入・DX推進に課題を感じている企業の相談を受け付けるサービス「DX PARTNER」を開始し、より多くの企業の課題解決・IT化の推進に貢献したいと考えています。

さらに、生成AIを積極的に活用していく方針を掲げ、実務のプログラミングに生成AIを利用し始めている案件もあります。このように、さまざまな手法を用いて、企業の課題解決に貢献していきたいと思っています。

これらの活動を通じて、エンドユーザーとの取引は増加しており、そこからシステム開発の受注に繋がるケースもあります。小規模な取引からのスタートであっても、顧客と信頼関係を築くことで次のニーズに結び付けていくことを重視しています。

それが、当社が掲げる「クライアントの課題に、最適なUXを提供し続ける。」というビジョンの実現に繋がると考えています。「課題を感じた際にはまずGSIに相談してみよう」と思ってもらえたら嬉しいですね。

「主体性」「協調性」「個性」が生み出す革新。

当社がもっとも大切にしている資源は、「人」に他なりません。働く社員にとってより良い環境を整備していくためにも、事業の発展や会社の成長は不可欠です。一人でも多くの社員が自身のキャリアパスを叶えるためには、組織が成長・拡大し、会社自身も時代やニーズに合わせて進化していく必要があると考えているためです。

当社では、技術力は入社した後の研修で十分身に付けられますので、文系出身者・未経験入社の割合もかなり多い方だと思います。

採用においては、新卒中途問わず人材の「主体性」を重視しています。要望や依頼を文面通りに受け止めるだけではなく、そこに込められた意向を汲み取り、提案に繋げるといった行動の積み重ねが、自身や企業の価値を高めていくと考えています。

また、私たちはチームでの仕事が中心になるため、相手の立場に立って物事を考え、周囲と力を合わせて課題を克服していく「協調性」を大切にしています。上司や先輩が必要な心構えを学んだ上で新入社員と接するよう、階層別研修でのメンター・OJT実践教育なども実施しています。

国内でのIT系人材不足を補うため、フィリピンに海外子会社「Be UNIQUE. Inc.」を立ち上げました。フィリピンは日本との時差も少なく、20代人口が豊富で英語圏のため、プログラミングにも親しみやすい環境と考えています。オフショア開発をはじめとして、フィリピン国内の日系企業との取引など、事業の幅を広げていく構想があります。

さらに、就労継続支援B型事業運営を目的とした国内子会社も設立し、当社が培ってきた技術ノウハウを活かした「クリエイティブ・IT×福祉」という新しいフィールドで、一人でも多くの方が活躍できる機会を創出したいと考えています。こうした取り組みを通じ、人の成長や企業の成長を支援し、ひいては社会全体に貢献していきます。

私たちは、当社スローガンにもあるとおり「個性」を尊重します。さまざまな個性を持った社員たちが革新を重ねてきたからこそ今があると感じますし、これから仲間になってくださる方も、自分だけの個性を大切にして当社で成長していただきたいと思います。

編集後記

チーフコンサルタント
新井 太樹

小沢社長のお話を通じて、しっかり確立されている教育プログラムに裏打ちされた「人」で勝負することで、クライアントから着実に評価されている企業であると感じました。この数年、売上が毎年10%以上伸び続けているということはその一つの証だと思います。

また、小沢社長の言葉から、社内の人材もクライアントも共に大切にされていて、一緒に成長していこうという想いが伝わってきました。

2023年は札証本則市場への上場も含めて、新会社設立など新たな挑戦の連続でした。主軸はITエンジニアの採用ですが、新規事業に関する相談もさまざまな角度からいただいており、今後の事業展開が楽しみです。

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