書店を祖業に、教科書、進学、ICTまで。多彩な展開で学校の課題を解決。
株式会社ダイヤ書房
代表取締役社長 山田 大介
1974年生まれ。1998年に大学卒業後、サントリー株式会社に入社。営業職として10年間勤務。その後、北海道に戻り、父親が経営する株式会社ダイヤ書房に入社。営業職を経て2013年、代表取締役社長に就任。サービスを充実させるため業務提携やM&Aを実施し、2018年には新たにICTソリューション事業を立ち上げるなど、精力的に事業を推進。2022年には自社の依って立つ基盤と方向性を明確化するため、ミッション・ビジョン・バリューを策定する。
※所属や役職、記事内の内容は取材時点のものです。
書店事業から教科書販売、そして進学関連サービスへ。
ダイヤ書房の創業は1970年。当初は、祖父が50代になって立ち上げた小さな書店でした。その後、父が経営を受け継ぎ、最大11店舗まで拡大しましたが、やがて学校教科書の分野にシフト。高校・専門学校・大学で使用する教科書教材の販売がメインとなっていきました。
1990年代に入り、高校生に卒業後の進路について考えるきっかけを提供する進学媒体事業に着手。約30年前から展開している『WingBox』は、全国約2,000の高校進路室前に設置され、大学専門学校の認知拡大に役立っています。現在は、その他にもさまざまな広報媒体を通して、全国約300校の大学・専門学校とお取引をいただくまでに成長しました。
2002年からは進学ガイダンス事業を開始。高校生と大学・専門学校のマッチングを促進する進学相談会は、北海道内で年間50回近く開催されています。
これらの進学関連事業の発端となったのは、高校を回る営業スタッフの「高校の進路指導室に、大学・専門学校宛の資料請求ハガキを備えつけてもらってはどうか?」というアイデアです。教科書販売を通じ、各校との信頼関係を築いていたおかげで、当社の事業は進化したわけです。
現在でも、売上の3分の2を占めるのは50年来続く教材事業です。今日では、教材のネット販売や自宅配送も始めました。また、デジタル教材を配信できる仕組みを提供するなど、サービスを充実させています。
祖業の本に関わる事業は縮小したものの、約200坪の本店は地域に根ざした書店の他、暮らしを彩る作品が並ぶヒシガタ文庫、本とともにゆっくりお過ごしいただける喫茶ひしがたなど、「物語との出会いをつくる本屋」として営業を続けています。また、バーゲン本を全国の小売業に卸売販売し、ワゴンで催事販売するバーゲンブック事業も展開中です。進学ガイダンス、入試広報といった進学領域の事業も順調に推移。さらに大きく伸びそうなのが、ICTソリューション事業です。
ICTによって、大学・専門学校の課題を解決。
ICTソリューション事業をスタートさせたのは2018年。背景には、「これから我々のお客さまである学校の課題を解決していくには、ICTの活用が不可欠である」という想いがありました。
具体的に準備しているサービスは、入学前から在学中、就活、そして卒業後まで生徒・学生の情報を一気通貫で管理する「スタログ」シリーズ。そして、高校生の進路に特化し、在学中の面談結果や模試データ、受験の最終結果までを一元管理する「smart進路」です。
学校運営システムや進路情報といった分野には、大手システム会社やナショナルブランドの教育サービス企業がすでに参入しており、さまざまなメニューが用意されています。こうした企業と激しく競合することになるでしょう。
しかし、学校関係者の声を聞くと、大手のシステムは必ずしも使い勝手がいいわけではないらしいのです。各校はそれぞれ多様な課題を抱えていますが、大手のシステムは、それらの個別ニーズに細かくアジャストするようになっていません。私たちは、真の意味で課題を解決するシステムの構築で、「自校の事情に合ったやり方を実現してほしい」という声に応えていくつもりです。
ICTソリューションの一部として、学校によるSNS情報発信・運用支援もスタートしました。若い世代から支持を集めるSNSは、大学や専門学校にとって不可欠の情報発信ツールです。しかし、ノウハウがなく、人材もいないため、手をこまねいている学校も少なくありません。
そこで、お客さまに代わり、私たちがSNS活用法を設計し、実践するのです。まだスタートさせたばかりのサービスですが、すでに複数の学校から問い合わせが集まっています。ICTソリューション事業の売上伸び率は高く、いずれ当社を牽引する存在になると期待しています。
学校経営に関わるパートナーのような存在。
教科書販売から進学領域サービス、そしてICTソリューションまで幅広く事業を行う会社は他にありません。教科書販売で築いた実績があるので、ICTに関する提案にも耳を傾けてくれるのです。逆に、ICTから始まった関係が、教科書販売や進学サービスに波及するケースもあります。事業の多面展開による相乗効果が生まれているのです。
少子化により、新規の学生募集はどの大学・専門学校にとっても最重要の課題です。また、今日は、学生の個性も多様で、彼らの気持ちに寄り添った学校運営も簡単ではありません。学校で発生するさまざまな悩みに応えるには、適切なソリューションを提供するパートナーが不可欠となるでしょう。
私たちはそんな存在を目指しています。SNS運用支援もその一環ですし、オープンキャンパスの改善提言や、全国の高校に設置したデジタルサイネージを使った各校の広報活動も展開しています。ICTの事業が本格化すれば、提供できるソリューションの質が格段に向上するはずです。
当社の活動は、ブランディングや経営戦略に関するコンサルタントといった方が近いのかもしれません。実際、学校広報や運営、ICTなどについての提案を行う場合、学校の経営層の方々と商談するケースも増えてきました。
ICTソリューション事業の業績目標として見据えるのは、5年後に売上3億円です。しかし、単に数値的に積み上げるだけではなく、真の意味でお客さまに貢献できる事業になると確信しています。
ミッション・ビジョン・バリューを策定、全社で共有。
2022年、当社のミッション・ビジョン・バリュー(MVV)を策定しました。書店、教科書販売、進学領域、さらにICTと事業の幅を広げるダイヤ書房ですが、多彩だからこそ方向性が見えにくくなってきたのも確かです。そこで、私たちの依って立つ根本は何か、目指す先に何があるのか明示し、共有すべきだと感じたからです。
私は若手を中心に10名くらいのチームを組み、当社の背骨を考えました。それが次のようなものです。
【Mission】
学びに、ユニークな視点で、次の可能性を。
【Vision】
お客様の課題を通して、新たな機会をつくるパートナーになる
【Value】
圧倒的な当事者意識を持つ
関わるすべての人に、誠心誠意を
リアルを捉えて、本質を考え抜く
議論を尽くし、最適解を追求する
スピードを持って行動し、常に改善する
ミッションに「ユニークな視点」と入れたのは、こだわりがあってのことです。歴史を振り返ると、当社はいろんなことをやってきました。札幌雪まつりを撮影してビデオ販売したり、塾の授業をビデオ撮影してテキストと合わせて販売したりもしました。30年前の、まだオンライン授業など一切ない頃の話です。
新しいものを取り入れ、面白い事業をしたい。そんなカルチャーが脈々と流れていたから、今日のような事業の多角化につながったのでしょう。どの事業を進める上でも、ビジョンで示したように「お客さまの課題を通して、新たな機会をつくるパートナー」でありたいと考えています。お客さまの課題と真摯に向き合い、解決のため努力することで、信頼が生まれ、次の機会に結びつくのです。
MVVについては、10名くらいの若手をアンバサダーに指名し、社内への浸透を図っています。年に1回、MVVに沿った行動を表彰するMVVアワードを選出するなど、さまざまな工夫のおかげで、社員に定着してきました。
多様な事業を推進する当社には、多彩な個性が必要。
MVVに共感してもらうことを大前提として、当社ではさまざまな個性や能力の持ち主がまだまだ必要です。まず重視しているのは、IT系エンジニアです。顧客数が増えると、運用・保守も必要になります。加えて、ソリューション営業のできる人材も採用していきます。お客さまの課題を捉えて、新たなモデルを構築する、といった営業に意欲の持てる人材を求めています。
すでに当社では、多くの中途採用人材が活躍しています。東京の大学出身のある社員は、もともと営業職だったのですが、能力が極めて高く、今はエンジニアとして活躍しています。また、銀行からの転職組だった別の社員は、個人で数万人のフォロワーを抱えるインスタグラマーです。その経験とノウハウを、SNS運用支援で活かしてもらっています。当社のICT事業が具体化したのも、こうした中途社員の活躍があればこそです。
新規営業については、マーケティングチームがインサイドセールスでアポを取り、オンラインで感触をつかみ、興味のあるお客さまに対面で商談する、というスタイルで実施しています。これにより、営業効率が格段にアップしました。このように、環境の整備にも力を入れているので、十分に力が発揮できると思います。
営業、エンジニアに限らず、スペシャリティを持った方は大歓迎です。多様な事業を展開する当社には、多彩な個性が欠かせません。弊社のMVVに共感していただける方は、充実感を味わえるフィールドに巡り会えます。ぜひ一緒に学びに貢献する仕事をしませんか。