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会計事務所から経営コンサルまで展開。顧客から選ばれる存在に。

中野会計グループ
PMC株式会社 代表取締役会長 兼 CEO 中野 善夫

更新日:2023年5月10日

1955年生まれ。1978年、中央大学商学部卒業後、中野会計事務所に入社。1983年、事務所内事業としてマス研をスタート。1985年、事業部を独立させる形で株式会社マス研を起業、社長に就任。2007年、PMC株式会社として新たなスタートを切り、代表取締役に就任。
※所属や役職、記事内の内容は取材時点のものです。

過去の数字と向き合うのでなく、お客様の未来づくりに貢献したい。

中野会計グループは、大きく分けて三つの組織で形成されています。一つは、税理士・行政書士・社会保険労務士法人である中野会計事務所。1962年に父が創業した事務所で、グループの母体となっています。

二つ目が、一般社団法人の日本相続知財センターで、2015年に東京本部を開設しました。そして三つ目が、1983年に会計事務所のMAS(Management Advisory Service)部門として立ち上がり、1985年に創業したPMC株式会社(創業時の社名はマス研)です。

私は大学卒業後、中野会計事務所に入所して働いていました。しかし、業務に打ち込んでいたものの、若干の物足りなさを感じていたのも確かです。というのも、会計事務所が取り扱うのは、お客さまの過去の数字です。これまでどのように事業を進め、業績を挙げたかをベースに、税務などのお手伝いをします。大事な役割ではあるけれど、会計事務所が顧客の未来に対して提言を行うことは、特に地方ではほとんどありません。

会計事務所の仕事を通じていろんなお客さまと関わるうちに、「自分は経営者の方々の役に立っているのだろうか」と疑問を覚えるようになりました。お客さまは事業が谷底に落ちるかどうかのところで踏ん張りながら、ギリギリの判断を重ねているというのに、私たちがお客さまから経営について相談されることはありません。

大きな挫折を経験したお客さまに対し、私たちができることもなく、期待されてもいない。そんな仕事に意味があるのでしょうか。もっと、お客さまの懐に入り込み、未来に向けて力を合わせるような仕事がしたい。そう思うようになったのです。

そこで、30歳になった1985年、経営コンサルティングにシフトしようと思って起業したのが、株式会社マス研です。当初は、実業を知るために、飲食やバー、中古車買取事業も展開していましたが、実業の状況がつかめた20年後にすべて売却。コンサル1本でやっていこうと、2007年にPMC株式会社としてスタートを切りました。

会計事務所と知財センターが、お客様の相続を多方面から支援。

中野会計事務所は北海道で第一号の税理士法人として、多くの企業・個人事業主の方々の税務・経営・資金調達に関するサポートを行ってきました。なかでも、医業に向けた税務対策や、相続・事業承継案件に関して豊富な経験を持っています。大半の会計事務所は相続税の申告に関わった経験がなく、対応できないのが通常です。しかし、当事務所では年間100件もの相続事案を取り扱っています。

事業承継案件も同様です。事業承継時、経営者の親が次の経営者となる子に株式を贈与すると、当然贈与税が発生します。しかし、これから経営を行おうという子が、贈与税でいきなり株式の一部を失うことになると、事業の引き継ぎがうまくいきません。その際、納税猶予制度というものを使い、事業承継時の贈与税・相続税を無税にすることができます。こういった提案ができるのも、当事務所に知見が積み重ねられているからです。

日本相続知財センターは、中野会計事務所で多くの相続案件に対応することから生まれた事業です。会計事務所は相続で納税が発生する際、その申告サポートや節税対策を行うのが主な役割です。しかし、相続で問題になるケースの70%は、資産がそれほど多くなく、納税の対象とならない案件なのです。

例えば、普通のサラリーマンだった方が亡くなり、土地と自宅が資産として残り、その資産を遺族でどう分割するか、という場合、遺族間で紛争が発生しがちです。そういった争いを起こさないよう、相続を多方面からサポートするのが、知財センターの役割です。

一般の人には分からない各種の手続きをお手伝いすることで、円滑な相続を進めています。その中で課税が発生する事案があれば、中野会計事務所に業務を引き継ぎます。つまり、相続に関するあらゆる悩みや手続きを、知財センターと中野会計事務所が連携して解決するわけです。

三つの組織がシナジーを発揮することで、業績は順調に推移。

PMCでは、主にマネジメント・歯科医院経営・財務の3分野でコンサルティングを実施しています。

マネジメントコンサルでは、中小企業から上場企業まで幅広い法人を対象に、中経策定支援や人財育成・組織活性化・生産性向上・M&Aなどにおける実践的なアドバイスを行います。経営改革をハイスピードで進めるため、多彩なノウハウ・プログラムを提供しています。

歯科医院経営コンサルは、中野会計事務所の得意領域でもある医業特化から発生した分野です。歯科医院の経営診断・改善、戦略的経営計画の実行など、全国550の歯科医院にコンサルを行ってきました。

現在も多くの医院でコンサルを継続しており、さらにお客さまから新たな歯科医院のご紹介をいただいています。財務コンサルでは財務会計を正しく理解し、経営の実態を読み取った上で、経営者の思い描く未来を明確化しています。

いずれにおいても、私たちは成果にこだわります。PMCが入ることで、お客さまの利益がどれだけ拡大したか注視しつつ、コンサルを進めます。そして実績が挙がってきたら、今度は中野会計事務所と連携し、会計処理のお手伝いも提供します。PMCが未来を見据えて成果を出し、成果は中野会計事務所が責任を持って対処する、というシナジーが生まれているわけです。

三つの組織が連携し合うことで、業績は堅調に推移。グループ売上に占めるシェアは、中野会計事務所が50%、PMCが35%、知財センターが15%となっています。

コンサル機能を持った会計事務所が、お客様から「選ばれる」。

会計事務所業界の将来は、楽観視できるものではありません。廃業や合併で、中小企業・個人事業者の数は急速に減っています。今後も傾向は変わらないでしょう。そうなると、顧客先を失う会計事務所も増えます。生き残れるのは「顧客から選ばれる」ところだけではないでしょうか。

中野会計グループには、コンサル機能を持ったPMCがあります。グループ内に、一般企業や医業の成果を最大化できるノウハウを持ったチームがいるというのは、中野会計グループの大きなメリットです。会計事務所が経営改善・事業発展までサポートしてくれるなら、中小企業にとってこれほど心強い存在はありません。グループのリソースを活用すれば、大きく成長できるはずです。

10年前、私は体調を崩して手術を繰り返し、一時は余命宣告を受けるほどでした。そうなって改めて気づいたのが「時間は有限」ということです。普段はつい先延ばしにしてしまうことも多かったのですが、体調を崩してからは「今やらなければ先はない」と痛感するようになりました。

幸いにも病状は回復。それから、私の事業推進のスピードは格段に上がりました。この10年、PMCがずっと増収増益できていることが、その証左です。今後もスピード感を持って、お客さまのために良いサービスを提供し、グループを発展に導きます。

決して楽ではない。それだけに能力の発揮しがいがある。

中野会計グループにはいろんな役割があります。特にPMCでコンサルタントとして活躍してもらうことを考えたとき、欠かせない要素は二つです。

一つは、概念形成能力・論理的思考力です。コンサルタントは、経営者の意思決定を理解しなければなりません。マネジメントはどうあるべきか、何が経営判断のキーファクターなのか、経営者以上に経営に精通する必要があるのです。

もちろん、現時点で知見を持っている必要はありません。コンサルタントとして仕事を進める上で必要な情報・知識・ノウハウは、全部PMCの中にあります。それらを学び、独自に考え、経営を概念的・論理的に理解する。この能力が不可欠です。

もう一つは、対人感受性です。目の前にいる経営者が、今、自分に何をしてほしいと考えているか。瞬時に感じ取る力がないと、コンサルタントとしては難しいでしょう。経営者は、自分の思いが理解できる相手かどうかを、敏感に判別します。「こいつはズレてる」と感じたコンサルタントの言うことに、耳を貸す経営者はいません。

この二つの能力を十分に兼ね備えた人材は、それほど多くないかもしれません。しかし、お客さまに確かな成果を届けるため、人材に妥協はできません。決して楽ではありませんが、力の発揮しがいがある仕事だということは保証します。

編集後記

チーフコンサルタント
宮崎 美晴

インタビュー中、中野代表からは終始穏やかな語り口でありながら、経営者として、またコンサルタントとしての熱量の高さを感じ、そしてすべてのエピソードは気迫に満ちた内容でした。

経営者を理解し、寄り添いながら成果を出すことにこだわる中野代表ですが、数多の経営者の苦難、悩みに付き添ってきた経験を経て、その後ご自身の大病をも経験。「時間は有限」と気づき、やるべきことをすぐに実行に移すことでビジネスの鋭さを増してこられたと感じます。

これからも、一人ひとりが経営支援に関するプロ集団である同グループの活躍と成長を応援していきたいです。

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