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「給与計算」分野で日本一となり、カスタマーサクセスを提供する。

株式会社エコミック
代表取締役社長 熊谷 浩二

更新日:2022年9月21日

1971年4月10日生まれ、名古屋市出身。
一橋大学を卒業後、1995年4月さくら銀行(現三井住友銀行)入行。
2004年2月エコミック入社、取締役管理部長就任。同年6月社長就任。
※所属や役職、記事内の内容は取材時点のものです。

「給与計算」はどの企業にも不可欠だが、利益を生む作業ではない。

当社の主力事業は、給与計算を主とするBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)サービスです。給与計算はどの企業にとっても欠かせない作業です。大手でも中堅・中小でも、あるいは企業のみならず団体でも、自治体でも、組織活動を行うところならどこでも、給与計算が必ず発生します。

とは言え、給与計算そのものは利益を生む業務ではありません。このような業務に、企業の貴重な経営資源である「ヒト」を投入し過ぎるのは、得策ではありません。経営資源は利益を最大化するために使うべきであり、そうでない業務はできるだけコストをかけずにすませたい。どの企業もそう思っています。

ここに、当社の存在価値があります。給与計算という大事ではあるが利益を生まない業務を、当社にアウトソーシングしてもらうのです。それによって給与計算に関する企業の手間とコストは最小限になります。

給与計算などを始めとするバックオフィス業務のアウトソーシングサービスを提供することで、お客様の生産性向上に寄与し、成長を影から支える。エコミックは、そんなカスタマーサクセスを提供する会社です。

年末調整が簡単にできる「簡単年調」利用者は、既に61万人。

会社員であれば誰でも「年末調整」を経験していると思います。その年末調整手続きを簡易化する「簡単年調」というサービスも、当社の主力に成長しつつあります。これは、当社の顧客である企業の従業員が、年末調整に必要な証明書などをスマホで撮影して送信・確認するだけで年末調整ができる、クラウドとアウトソーシングを融合したサービスです。

現在61万人に利用されており、やがて100万人を突破するでしょう。利用者の拡大は売上増につながりますが、それ以上に当社の知名度アップに貢献すると思います。簡単年調で利便性を実感したお客様が、給与計算サービスに移行してもらいやすくなるわけです。実際、簡単年調ユーザーが増えるに従い、給与計算サービスへの問い合わせも拡大しています。

2022年、エコミックは、ソフトウェア開発の株式会社ビズライト・テクノロジーを子会社化しました。ビズライト社には簡単年調のシステム開発を依頼していました。

今後、システムのグレードアップや改変をタイムリーに行い、さらなるユーザーの拡大を見込むには、スムーズに意思疎通できる体制が不可欠です。そこでビズライト社に、アウトソーサーである当社のグループの一員として加わってもらったわけです。

顧客企業の従業員と直接つながる「EC-CLUB」。

また当社は「EC-CLUB」という給与計算のweb明細システムを提供しています。これはアウトソーシング型の給与計算とはまた異なる、HRテック(「Human Resources」と「テクノロジー」を合わせた造語。ICTを用いて、人事面の課題解決を支援するサービスや技術)のサービスです。

給与明細をWeb配信によって行おうとするもので、当社が顧客企業と契約を結ぶと、その企業の従業員はWebを通じて給与明細を確認できるようになります。

現在は明細を出すだけの仕組みなのですが、そこにとどまりません。EC-CLUBを、当社と顧客企業の従業員が直接つながるプラットフォームとして機能させたい、という構想を描いています。

サービスの具体化はこれからですが、例えば、エンドユーザー向け商材を扱うある企業が在庫をダブつかせて、早々に処分したいと考えた場合。EC-CLUBで告知し、「安く買えるなら欲しい」という購入希望者を募ることができるかもしれません。在庫をスピーディーに処分したい企業と、安く買いたいユーザーをマッチングするプラットフォームになるわけです。

そういったカスタマイズを素早く加えるためにも、システム開発チームはグループ内にいた方がいい。ビズライト社の子会社化には、そのような意図もあります。

新たに自治体向けのサービスもスタートさせました。これは「ふるさと納税」に関するものです。利用者がふるさと納税で自治体に納めた税金を控除してもらうには、あらかじめワンストップ特例制度を申請する必要があります。

この場合、ふるさと納税を申し込む自治体は5カ所以内にしなければなりません。自治体が行うこうした確認作業をサポートするサービスで、問い合わせが増えています。これにより自治体との関係が太くなれば、簡単年調や給与計算につなげることもできるでしょう。

アウトソーサーとしての強みを活かし、給与計算で日本一になる。

簡単年調、ふるさと納税、EC-CLUBなどの多彩なサービスで、エコミックを知ってもらい、給与計算サービスを導入してもらう。そして給与計算分野で日本一になるというのが、当面の目標です。

さらに先では、企業・自治体におけるあらゆるバックオフィス業務のアウトソーシングサービスを手掛けたい、という思いがあります。

給与計算以外にも、組織運営には不可欠だが、利益創出に寄与しない、ルーティンワークは山ほど存在します。それらの一切を担える会社になりたいのです。そのためには、給与計算領域におけるゆるぎのない実績が必要です。

給与計算分野で現在、国内トップの企業は、自社開発のシステムを提供しています。しかし、常に自社開発システムの方がいいわけではありません。

給与計算は、従業員数万人の大企業から、数十人の中小企業まで様々なところで行われます。数千人をターゲットにしたシステムは、数十人の会社にとって過大です。逆に数十人を対象としたシステムに、数千人のデータを投入すると、重すぎて動かないでしょう。

給与計算を行う顧客は様々です。あらゆる要望に応えるには、その時々で協業相手を変えながら、最適のシステムを組む方がニーズに合うのです。そうしたアウトソーサーの強みを大事にして、日本一を目指します。

目標を定め、知恵を蓄え、チャレンジする。そんなリーダーが必要。

給与計算サービスにしても簡単年調にしても、当社のサービスはどれも「積み上げ型」です。一度契約を結ぶと、実績となって毎年積み上がっていきます。当社が9億、13億、15億、17億円と着実に業績をアップさせているのは、このビジネスモデルによるものです。

日常的にやる業務はいろいろあり、前例踏襲で目の前の業務に取り組むだけでも、仕事した気持ちにはなるし、それで業績が極端に落ちるわけでもありません。なので、ややもするとチャレンジする姿勢を忘れがちになるのです。

しかし「前例踏襲で日々をこなす」だけで、自然と業績が上がるわけはありません。生産性を上げる、新たな課題に取り組む、などのチャレンジがなければ、発展はありえません。特に重要なのは、マネージャー層です。

業績拡大を常に意識し、メンバーに目標を持たせてチャレンジする。そうしたチームビルディングのできるリーダーが、エコミックの将来に欠かせません。どうすればお客様の生産性向上に寄与できるか。知恵を貯め、チャレンジしてほしいですね。チャレンジの結果が失敗でも、問題はありません。失敗もまた成長のための糧なのですから、最も忌避するのは「何もしないこと」です。

また「人の話が聞ける」というのも、当社では重要な資質です。失敗は構わない、とは言え、同じ失敗は繰り返さない方がいい。誰かがやってみてダメだったことは、闇雲に進む前にその誰かの話を聞いてみるべき。そうすれば、少なくとも同じ理由での失敗は避けられます。

成功した話も積極的に受け入れて、自分のものにすれば、成功確率が上がります。変に賢くて自分のやり方に固執するよりは、周囲の体験や意見を聞き入れた上で、最善の道を選ぶようにするべきです。ホワイトカラーの生産性向上はどの企業にとっても喫緊の課題です。その悩みに応えるサービスを提供し、カスタマーサクセスを実現しましょう。

編集後記

コンサルタント
佐々木 はつみ

同社の給与計算BPOサービス、簡単年調、EC-CLUB、ふるさと納税のワンストップ特例制度のサポートサービスはすべて、「顧客企業の生産性向上に寄与し、顧客企業の成長を支える」という同社のミッションとつながっており、顧客の利益を最大化するために事業展開していることを、熊谷社長のインタビューを通じて改めて気づかされました。

また、積み上げ型のビジネスモデルのなかで「改善する・改革する・革新する」をコアバリューとし、顧客へ新たな価値を提供するために、マネージャー層だけでなく全社員が一丸となり、常にチャレンジしながら日々の仕事に励む姿に感動しました。

失敗を恐れず、どんどん挑戦していきたいというチャレンジ精神をお持ちの方なら、努力した成果がしっかりと反映される評価制度のもとで、おおいに活躍できる環境だと思います。

同社のBPO業界のリーディングカンパニーへの道のりを、これからも応援していきたいと思います。

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