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AHCC®のような天然由来の製品を世界の人々と地球環境に届けたい。

株式会社アミノアップ
代表取締役社長 北舘 健太郎

更新日:2022年9月28日

1997年、酪農学園大学を卒業後、JICAのボランティア獣医師としてパラグアイに渡る。2年後に帰国し、札幌の動物病院で勤務。2005年にアミノアップに転職。研究職からスタートし、開発(臨床・学術・製品)、営業などを歴任。2020年、社長に就任。
※所属や役職、記事内の内容は取材時点のものです。

獣医師として働いていた頃、AHCC®の可能性に出会った。

私は大学を卒業後、8年ほど獣医師として勤務していました。最初は、JICAのボランティアでパラグアイに2年。帰国後は、札幌の複数の動物病院で通算6年。家畜やペットを診察して回っていました。

そうした中で出会ったのが、アミノアップの機能性食品原料AHCC®でした。治療のためのサプリメントとして用いたのですが、「とても使いやすい」と感じたのです。エビデンスが揃っているし、AHCC®製品はどれも切れ味がいい。私も大学では免疫を研究していましたから、その良さに納得がいきました。

動物病院での勤務にメドをつけ、自分で開業するか、あるいは・・・と将来を考えていた頃、アミノアップが求人しており、しかも札幌にあることを知って俄然興味が湧きました。

同社なら自分の経験が活かせるし、ある意味で、より多くの人と動物に役立てるかもしれない、と思い入社。研究職を皮切りにさまざまな職種を経験し、2020年に社長に就任することになったのです。

論文数348、特許数125。世界の延べ100大学・病院と共同研究。

アミノアップでは5種類の機能性食品原料を開発・製造しています。その中でも売上を引っ張る存在が、シイタケから作られるAHCC®です。

冷凍保存したシイタケの菌糸体を耳かき一杯分ほど取り、培養液の中でユラユラプカプカ育てると、マリモのように大きくなっていきます。成長サイズに合わせてタンクの大きさを変えながら、40~60日という長期間をかけて培養します。そのエキスを濃縮、滅菌、凍結乾燥して製品化するのです。

AHCC®が最初に開発されたのは1986年。以来、世界中の医療機関や大学で、機能性や安全性についての研究・検証が行われてきました。単回経⼝投与毒性試験、90日反復投与毒性試験、変異原性試験のほか、健常⼈に対する第I相安全性試験などが重ねられ、⾷品としての安全性が確認されています。もちろん、重篤な副作⽤は今日まで報告されていません。

機能性食品として用いる製品であり、薬機法上の薬に該当しないため、「○○に効く」といった断定的なアピールはできません。そこで当社は、学術情報をひたすら発信し続ける、といった広報を重ねています。

直近でいうと、北海道大学病院との共同研究による「AHCC®による進行肝細胞がんの再発予防効果と安全性」についての論文や、テキサス大学の医学者がリリースした「AHCC®の継続摂取によりHPV感染が消失する可能性」という論文を発信しました。

こうした製品は、エビデンスに基づく情報がなければ信頼を得られません。その尺度となるのが、論文数です。AHCC®に関しては、すでに100本以上の論文があり、世界中の研究者から、今も新たな成果が発表されています。

会社全体では、開発素材に関する論文が348、特許は125に及びます。また、世界の延べ100の大学・病院などと共同研究を行っています。地道にこうした活動を行うことで、当社の製品を必要とする人々の目や耳に、情報が届くのです。2022年には、創業者であり代表取締役会長の小砂憲一が特許庁の「知財功労賞」を受賞しました。

海外売上比率50%超えが目標。アグリ事業の拡充も。

当社製品は、世界でも幅広く使われています。北米やヨーロッパ、アジアなど世界40ヶ国で販売され、売上比率は海外分で47%まできています。

日本の場合、ある程度治療が進み、寛解した後の再発防止に使われるケースが多いのですが、海外ではむしろ予防的に用いられるようです。いずれにしろ、長く使っていただけるのが当社製品の特長です。コロナ禍で免疫力向上の重要性が再認識されたこともあってか、業績は堅調に推移しています。

今後は、海外売上比率50%を達成したいと考えています。私たちのミッションは、「自然の恵みで世界の人々を笑顔にする」ですが、まだまだ当社製品が流通していない空白地帯はたくさんあります。アフリカ、中南米あたりでも、盛んに使ってもらえるようにしたいですね。

もう一つ、農業資材の開発にも注力します。当社はもともと「Dr.アミノアップ」という植物活力資材、いわば「植物のサプリメント」を開発したことから事業をスタートさせました。Dr.アミノアップを活用すると、作物の栄養価が上がったり収穫量が増えたり、作物が大きく育つなどの効能があるのです。現在は1種類しかない農業資材ですが、これをもっと拡充し、第2、第3のコア素材を開発しようと思います。

植物のサプリメントが普及することで農作物の生産性が向上すれば、来るべき食糧難の時代にも対応できるのではないでしょうか。温暖化によって環境が悪化しても、農業が持続可能になるかもしれません。それが天然由来の成分なら、世界中の人々も受け入れやすいはずです。

ちなみに、2018年に当社が「アミノアップ化学」から「アミノアップ」へ社名変更したのは、開発製品で化学合成したものは一つもないのに、「化学」という文言があると誤解を与える、という理由からです。より天然に近づこう、という意志を社名でも示したわけです。

ゼロからの研究開発には、閃きとベンチャースピリットが不可欠。

アミノアップは、世界の人々の健康に寄与することを目標にものづくりを行ってきた、バイオベンチャーの先駆けです。

ゼロからイチを生み出す研究開発の道のりは、平坦ではありません。不断の努力に加え、ある種の閃きも必要です。簡単ではないものづくりを推進するベンチャースピリットのある方が、当社にはまだまだ必要です。

その上で、グローバルな感覚を持っている、あるいは工場における緻密な製造を行える、品質にこだわりがある、といった人なら、大いに力を発揮していただけるでしょう。

人材教育にも力を入れています。全社員にボランティア活動に取り組んでもらい、レポートを提出するなどのプログラムも取り入れました。外に出て、社会と触れることで、何かを感じてほしいと思ってのことですが、社員たちは自分で考えていろいろな活動を始めています。

また、農業研修も始めました。アグリ事業をやるなら、まず体験してみようと。私も農業の現場に行き、汗水を垂らしてきました。普段使わない筋肉を使った作業は大変でしたが、おかげで農家の方々の苦労を僅かばかり実感できましたし、何より太陽と大地を相手にするのは、根源的な楽しさを感じます。

少し観点の違う話ですが、当社には、管理栄養士の資格を持った工場勤務のオペレータがいます。その社員に、資格を活かしてホテルランチのメニュー監修などの業務にも携わってもらっています。彼女はマラソン好きで、ランニングイベントにも数多く参加しているので、当社の機能性食品のサンプリング活動も行ってもらっています。

もともと彼女は広報業務が志望で、走ることを通してそういった活動をしてみたかったらしいのです。だったら資格も活かせる仕事に協力してもらおう、と。そうやって自分の得意分野を活かし、当社がまだ十分できていないことにチャレンジする社員がいてくれるのは、ありがたいことです。

AHCC®を中心とする「機能性食品事業」と、第2、第3のDr.アミノアップを開発する「アグリ事業」。この2本を軸として、人と環境の健康に関心がある方と一緒に、世界に役立つ価値を発信していきたいですね。

編集後記

コンサルタント
佐々木 はつみ

同社の最初の製品「Dr.アミノアップ」を含め、その後に開発された「AHCC®」などの食品の数々は、いずれも植物由来の物質です。

事業原点である「自然の恵み」を大切にしながら、天然成分由来の植物活力資材に注力し、温暖化によって環境が悪化し食糧難の時代が来ても、農業の持続可能へ貢献していきたいという思いに感動しています。

また、オフィスが再生可能エネルギーの有効利用として、「太陽光発電システム」「雪氷熱利用システム」「地中熱利用システム」「日射熱利用システム」など70の環境技術を導入し、全社員がボランティア活動に取り組んでいることも、同社のミッションである「自然の恵みで世界の人々を笑顔にする」とつながっています。

常に地域および自然との共存を考え、さらに植物の力を世界へ発信していく姿勢が大変素晴らしく、これからも応援していきたいと思います。

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