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知恵と工夫とイノベーション!北海道の6次産業化と魅力を発信。

株式会社イーストン
代表取締役社長 大山 泰正

更新日:2018年1月24日

1962年生まれ、北海道札幌市出身。専修大学卒業後に渡米し、ロサンゼルスに留学。ロサンゼルスやニューヨーク等のレストランで働き帰国。1986年に第1号店となる「アルズ・バー」を立ち上げ、現在は北海道~関東圏に全42店舗を展開。
※所属・役職等は取材時点のものとなります。

トレンドを追いかけてアーティスト感覚で飲食店を展開

24歳で起業して、現在は55歳。事業を始めて31年が経ちました。事業を始めた当時は、六本木や西麻布のエッジなトレンドを取り入れたイタリアンレストランやバーなどを手掛けていました。最初は、自分たちが楽しいと思えることをやろうと、かなりとんがっていたかもしれません。ファッションやフードなどのトレンドを追いかけて、札幌でいち早く表現してきました。「かっこいいお店だよね!」と評価されたくて、当時はアーティスト感覚で飲食店を展開していたと思います。

それから5年経ち、10年が経ち、紆余曲折がありましたが、順調に出店を続けることができました。気の合う仲間を集めて、5人、10人で始めた事業が、500人、1,000人という規模になると、思いを伝えることが非常に難しくなったな、と実感しています。規模の拡大は、イコール大衆化することにつながります。すなわち、競合する外食マーケットで、他社と差別化することが難しくなっていくわけです。

しかしながら、札幌での展開が順調でしたので、我々の事業には存在価値があり、東北や関東圏でも事業力を発揮できると思い、出店計画を進めてきました。最初は、イタリアの食文化を日本向けにアレンジし、さらにコストパフォーマンスも叶えた店舗でした。それから、中華、焼き鳥へと領域を広げていきましたが、根底にあるのは、普段使いできるけれども「安心・安全」で「美味しい」ということです。できるだけたくさんの人に楽しめるお店にしたいと思っていました。

「札幌に本社がある北海道の会社」に立ち返り、魅力を発信

順調な事業展開をしてきましたが、どこかで危機感を持っていました。外食産業のマーケットも、少子高齢化で大きく変わっているわけです。コンビニなどの参入もあり、29兆円といわれたマーケットは、現在では24兆円規模に下がっています。

5年先、10年先は、さらに劇的に変動していくでしょう。そこで、一度立ち返ってみました。自分たちは、札幌で飲食店を始めて、札幌に本社がある、北海道の会社なんだと。

北海道が日本の食糧基地であることは、誰もが知るところです。6次産業化を推進し、オール北海道で取り組めば、可能性は未知数だと思います。「北海道と一緒に歩む飲食店」が当社の強みであり、差別化にもつながるはずです。

各地で開催される北海道物産展は群を抜いて人気がありますが、当社はまさに365日が北海道物産レストランなわけですから。

北海道の6次産業化へ!机上論から生産者に挑戦

これからは、北海道の6次産業化にも真剣に取り組もうと考えています。生産計画から物流まで、生産者と一緒に考えていけば、新しい流れを作ることができると思うからです。

実際に生産に携わるチャンスもいただきました。緑豊かな下川町にある養鶏場の事業を継承したのです。予想を上回る難しさや困難に直面しましたが、納得できる卵の生産にたどり着きました。

夏は30℃、冬はマイナス30℃。寒暖差が60℃という意味で「下川60(ろくまる)」と命名。乳酸菌や昆布酵素などのEM菌を餌にして、森から湧き出る水を与えて育てました。

「力強い」というのが、卵の味の第一印象です。そして余韻の残る味わいで、まるで高級ワインのような深みがあります。今後はブランディングにも力を入れて、「日本一おいしい卵」を目指します。

ミッションの価値に共感し、一緒に行動を起こせる人と働きたい!

世界に目を向けると、オーガニック食材を使い、トレーサビリティもしっかりしている外食チェーン店が、1,000店以上展開しているという驚くべき事実があります。

6次産業化を考えた時、1,000店規模となると、経済的な影響力はかなり大きいでしょう。日本においては、50店舗を展開できれば、生産者にとってもメリットがあるのではないでしょうか。今後はさらに「安心・安全」が時代の主流になると思いますので、率先して取り組みたいです。

起業当時は、好きなことを仕事にする「ライクワーク(like work)」でした。現在は、周囲の人や社会を明るくさせる「ライトワーク(light work)」を明確な経営ミッションにしています。北海道の外食企業が、関東という巨大なマーケットでしっかりと事業を成り立たせ、社会貢献できる先駆者でありたいですね。

それを実現するには、この想いに共感し、一緒に行動を起こせる人が必要です。年齢・性別・国籍は関係なく、我々のミッションの価値に共感していただける方と働きたいです。

「知恵と工夫」で、ハッピーな空間を創造していく

当社には、「VOE(VALUE OF EASTONE)」というクレドがあります。価値観を共有するのは難しいので、「見える化」しました。経営的に必要なことや、仲間として絶対に共有しておくべきことの優先順位をつけて、行動指針としています。

実は、お客さまに約束していることは、起業当時から変わっていません。「また食べたい!」「また会いたい!」「また来たい!」「誰かに紹介したい!」と思っていただける店舗を創ること。そのことによって、お客さまにちょっとハッピーな時間を過ごしていただきたいのです。

理想とする店舗運営は、美味しさと接客レベルがハイレベルで、どの店舗も均衡が取れていること。そして、価格は大衆価格を貫きます。夜でも2,500~3,000円で価格設定しています。

「産地から届く食材をもっと美味しく」を実現するには、物流を含めて「知恵と工夫」を集結したイノベーションが必要です。働く側と利用する側の両側面で、ハッピーな空間を生み出していきたいです。

編集後記

コンサルタント
大場 愛弓

大山代表のお話を伺い、もっとも印象的だったのは、全国に展開しようとも「私達は北海道の会社です」と熱く語っておられたこと。北海道の食分野におけるポテンシャルを誇りに思い、生産者とも深く関わり合いながら、首都圏のビッグマーケットを相手に堂々とビジネスに取り組んでいます。

規模が拡大すると、外食マーケットの中で差別化することが難しくなるという代表のお話がありましたが、その「差別化」を、「北海道の食」を武器に実現しようとしています。それこそが、同社が考える社会貢献であり、そこに共感する人を全世界から採用したいと。まさに、北海道民として応援したくなる企業です。

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