2022.07.13
北海道のIT転職市場2022~DX編~

リージョナルキャリア北海道のコンサルタント荻野です。
私はコンサルタントとしてこれまで1,000名以上の方と面談させて頂きました。そして、直近2年間はIT業界専任担当であったこともあり、これまでに面談させて頂いた方の3割以上の方がIT系職種の方となります。
北海道外から北海道へのU・Iターンを検討されているIT系職種の方から最も多い質問が「北海道のIT転職市場について教えて頂けませんか?」ということです。IT転職市場を考えるに当たり、まずは日本の現状について理解しておく必要があります。
2025年の崖
「2025年の崖」とは、複雑化・老朽化・ブラックボックス化した既存システムが残存した場合に想定される国際競争への遅れや日本の経済の停滞を指す言葉です。
日本国政府はDXに関して、2018年の経済産業省「DXレポート~ITシステム『2025年の崖』克服とDXの本格的な展開~」をはじめとして、2020年の「DXレポート2」、2021年の「DXレポート2.1」を発表しています。そして、それらの発表の中で、もしDXが進まなければ2025年以降、最大で年間12兆円の経済損失が生じる可能性があることに警鐘を鳴らしています。
2025年の崖を乗り越えるべく、日本国政府が様々なメッセージを発信することに加え、世の中のデジタルツールの発展がDX推進を後押ししており、DXという言葉は日常的に耳にするようになっています。
しかし、日常的に耳にすることと、それが順調に進んでいるかはまた別の話です。企業経営者から弊社への「DX推進したいが、どのように打ち手を取れば良いか相談に乗ってほしい」「DX推進ができる人材の採用について相談に乗ってほしい」というご相談は日に日に増しています。
そこで、今回は「北海道のIT転職市場2022~DX編~」と題しまして、DXについておさらいしたいと思います。そして企業経営者の悩みについて理解することで、ITエンジニアのあなたが企業に対してどのように付加価値提供していけば良いのか方向性が見えてくるはずです。
中小企業のデジタル化9カ条
日本経済新聞社はDXに関する記事で「効果が見えにくく、金額の妥当性もわからない中で、デジタル投資を決断し、会社の業務改革と制度変更を並行させ、結果を出していかねばならない。これこそがDXだ」とDXの難しさを表現しています。
そして「中小企業のデジタル化9カ条」として、以下のようにまとめています。
①テレワーク「三種の神器」導入
②非対面を前提に業務の見直し
③事務の自動化で効率アップ
④ベテランのリスキリング
⑤会社のルールも近代化
⑥心のつながりを強める
⑦情報保護に全力
⑧見えない「実態」を可視化
⑨経営者は今こそDX投資を
中小企業のデジタル化9カ条についての私見
それでは、中小企業のデジタル化9カ条について、以下に私見も踏まえた解説をさせて頂きます。
①テレワーク「三種の神器」導入
「三種の神器」とは、ノートパソコン、通信環境、対話ツールと定義されています。
マルチブラウザ・マルチデバイス対応にできるか、ログイン履歴によるアクセス管理ができるか、デバイス紛失時のリスク管理ができるか、ログインIPアドレスの管理ができるか、社内の業務システムとのAPI連携ができているか、などを踏まえたインフラ構築が必要となります。
②非対面を前提に業務の見直し
出社・訪問をしなければ円滑な業務遂行ができないような体制ではなく、非対面であっても円滑な業務遂行ができる体制でなければなりません。
そのためには、顧客とのつながりもオンライン、ECを含めた営業チャネル再構築、紙ではなくクラウドによるデジタル資料の管理、社内稟議は電子化するなど、非対面を前提に業務の見直しを図ることで、必要に応じて出社・訪問・在宅を選択しながら効率的に業務遂行することができるようになります。
③事務の自動化で効率アップ
属人化している業務、部門間を跨いだ二度手間業務、手順が明文化されていない業務をシステム化することで業務の標準化、データ連携の自動化、人的ミスの防止につなげることができ、業務効率をアップすることができます。
④ベテランのリスキリング
リスキリング(Re-Skilling)は「学び直し」という意味です。ベテランのリスキリングを行わないと導入したシステムも活用されないままとなります。
また、ベテランにこそ経験やノウハウという見えない資産が溜まっていることから、それをデジタル化する意味でもリスキリングは必要となります。そのため、ベテランへのDX推進に向けたリスキリングの動機付けや研修機会の提供、ベテランが経験やノウハウを若手に伝承し、同時に若手がベテランへリスキリングするといった相互に教え合うプラットフォームがあると社内の資産活用が進みます。
⑤会社のルールも近代化
システム面だけ変わったところで、ルールもそれに応じて変化していかなければDXはうまく推進できません。
行動評価から結果評価への人事制度の移行、手当などの福利厚生の見直し、ハイパフォーマーとローパフォーマーの差異分析をデータに基づいて行うなどのデータドリブンな経営への移行など、DX推進に伴いルールの変更も必要となります。
⑥心のつながりを強める
テレワークの割合が高まるにつれコミュニケーションが減り、モチベーションの低下、コミュニケーションエラーなど様々な問題が発生し得ます。
非対面であるからこそ、対面時よりも意図的にモチベーションの状況を把握し合うこと、仕事以外での交流機会を増やしていかなければチームワークは高まりません。
⑦情報保護に全力
サイバー攻撃への備え、テレワークならではのネットワークの危険性、社員の機密情報持ち出しのリスク増加が考えられます。
これらに対しては、セキュリティ強化、セキュリティ意識の啓蒙、社内の情報アクセスの追跡の仕組みの構築をすることで、情報保護に備える必要があります。
⑧見えない「実態」を可視化
働き方が柔軟になることは、残業時間や疲弊社員が増える可能性を高めることとなり得ます。また、その逆にもなり得ます。
いずれにしても、仕事の過程や結果を可視化することで透明性を高めなければ、実態を踏まえた対応をすることができません。
⑨経営者は今こそDX投資を
もちろん、企業により現状、課題、今後の取るべき打ち手は異なりますので、上記はおおまかな方向性に過ぎません。ただ、ひとつ言えるのは、経営者がDXに強くコミットしなければDX推進はできない、ということです。
弊社にご相談頂く企業も経営者の本気度に応じてDX推進の質も速度も大きく変わり得ると私は考えています。その意味で、経営者が全力でDX推進の旗振りをしているかどうかがその結果を大きく分けると言えるでしょう。
最後に
今回は「北海道のIT転職市場2022~DX編~」と題しまして、2025年の崖、そして中小企業のデジタル化9カ条についておさらいしました。
この大きなトレンドに乗りながら成長戦略を加速する企業かそうでない企業か、どの企業に転職するかによりあなたのITエンジニアとしてのキャリア、やりがい、活躍の場、職場環境、報酬に大きく影響してくると私は考えています。
特に北海道の企業から弊社でお預かりしているDX求人はここ1年で急増していることもあり、DX推進は加速されていることがわかります。
経営計画にDX推進を盛り込んでいるか、成長戦略の中でDX推進がどのように位置付けられているか、経営者が普段から何を語っているか。それらが本気度を測るものさしです。本気でDX推進している企業かそうでないかは、内情がわからなければ判断しくいところがありますので、是非私達にお気軽にご相談ください。
■参考情報
経済産業省HP(最終閲覧日2022年7月12日)
・DXレポート~ITシステム『2025年の崖』克服とDXの本格的な展開~
・デジタルトランスフォーメーションの加速に向けた研究会の中間報告書『DXレポート2(中間取りまとめ)』
・デジタル産業の創出に向けた研究会の報告書『DXレポート2.1(DXレポート2追補版)』
日本経済新聞オンライン(最終閲覧日2022年7月12日)
・テレワークが進まない 中小企業のデジタル化9カ条
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