ニアショアローカルベンチャー~ニアショア2.0で新たな価値を創造。
株式会社INDETAIL
代表取締役 坪井 大輔
1977年生まれ、札幌出身。
小樽商科大学大学院アントレプレナーシップ専攻、MBA取得。
ソフトウェア開発エンジニアを経て、スタッフアイ札幌支社へ入社。札幌支社長就任。
2008年、アイテック北海道を設立。
2011年、代表取締役就任。
2014年、株式会社INDETAILに社名変更。
2017年、北海道科学技術大学 客員教授に就任
※所属・役職等は取材時点のものとなります。
転校を繰り返して養った洞察力
親が転勤族だったので、小学校は3度変わり、中学校は函館、高校は札幌と、2~3年毎の転校を繰り返して育ちました。そんな生活環境が少なからず自分の人格形成の一部に影響しているのかもしれません。たとえば小学校では、転校の挨拶を終えるとすぐに、クラス内にあるグループのパワーバランスを見極めてたり、仲良くなり過ぎると別れる時に寂しいだろうとの思いから、あえて深く付き合わないように自制するなど、子どもらしくない子どもだったかもしれません。しかしそんな中で、洞察力や俯瞰的に物事を見る力のようなものが自然と備わったような気がします。
SEから人材派遣業へ
大学卒業後に、東京で就職しましたが1年ほどで札幌にもどり、システム会社に就職。SEとして数年働きました。その後、会社の人事や人材ビジネスに興味があったので、人材派遣会社に転職。ただし、大手では働きたくありませんでした。なぜなら、SEの時に垣間見た大手企業の体質を見て、「決められた路線を走りたくない」という気持ちが高まり、自分で道を築けるベンチャー的な会社で働きたいと思ったからです。転職先に選んだ人材派遣会社は札幌支社ができて1年足らずの中規模の会社。ITや流通の人材派遣部門を立ち上げるなど、営業職として自由にやらせていただき、1年後には支社長になりました。
リーマンショックをチャンスにした創業期
人材ビジネスを手掛けていく中で、「ナレッジを蓄積しにくいビジネス」という感覚が常にありました。そこで「ナレッジの蓄積を強みとして活かせる事業」で会社を起業して北海道経済を元気にしたいと思い、賛同する仲間と会社の立ち上げを構想。2年がかりでいよいよ会社が始動した時、リーマンショックが起きました。札幌のエンジニアは仕事がなくなり、東京へ流出していく事態を目の当たりにしましたが、逆にチャンスだと思いました。積極的な求人を仕掛けることにより、いい人材がたくさん集まったのです。優秀な人材さえ集まれば、あとは営業力でどんどん仕事を作ればいい。それが私のミッションとなりました。
北海道に貢献する企業でありたい
地方の企業であるがゆえの付加価値を生み、北海道に貢献する事業。そこにつながる展開のみを考えています。そのためには北海道で代表的なベンチャー企業になり、ベンチマークされることが使命となります。具体的に貢献とは、荒っぽい言い方をしてしまえば、東京から仕事をもってきて北海道で雇用を生み、東京のお金を北海道に移動させるということ。それを実現するためには、それなりの価値が必要です。私は企業価値の創出に集中し、その1点に思考を研ぎ澄ましてきました。社会貢献とは圧倒的なパワーがなければ成立しないと考えています。「北海道に貢献」を実現するために、独立系IT企業で北海道ナンバーワンの雇用を確保することが当面の目標です。
新定義「ニアショア2.0」を掲げ、IPO実現へ
「ローカルベンチャーのロールモデルを構築する」ことが我々のビジョンです。そのためにIPOモデルを目指しております。そこで「ニアショア2.0」を新たに定義しました。その方程式は、「先進技術×人的リソース×コスト優位性」。この方程式が成り立てば、クライアントにとってのベストアンサーになるはずなので、信念を持って進めています。IPOの目的は「成功というものを定量化する」という明快な理由。加えて、他社では敬遠しがちな地方の強みを最大限に押し出していきます。ニアショア、イコール低価格というイメージが先行していますが、それをあえて否定します。地方からきちんと価値の高いものを提供できるビジネスモデルに、人的リソースと価格優位性を付加できれば価値のあるスキームになり得ると確信しています。
人材を核に経営をシステム化する
経営とは、システム化されなければならないもの。経営システムを自動的に円滑に回すために、組織があって、役割分担があると考えています。社長の役割は、向かうべき方向を示し、社員のモチベーションを高めることでしょう。社長が夢を語っても、それはあくまでも社長の夢にすぎず、社員の心には響きません。社員の欲求を汲み取り、明確なミッションを提示し、マッチングさせることが重要なのです。大切なのは、方向性を具体的に表現して、アップデートしていくこと。ふわっとした人間力だけで、モチベーションを引き上げるのは難しいと思います。社長の仕事は、人材の採用と教育に尽きます。会社は人が100%であり、まさに鍵となる存在。多彩な研修機会を社員に提供して、クリティカル・シンキングを日常的なものとして醸成させていくことが、私の仕事だと思っています。