企業TOPインタビュー

ドラッグストアのその先へ。

サツドラホールディングス株式会社
代表取締役社長 富山浩樹

更新日:2016年11月25日

1976年9月5日生まれ(40歳)。
北海道札幌市出身。札幌大学経営学部卒業。99年4月ダイカ株式会社(現株式会社あらた)入社、2007年10月株式会社サッポロドラッグストアー入社。09年10月業務改革推進室長、10年4月営業本部長、11年5月取締役、12年5月常務取締役、15年5月代表取締役社長、16年8月サツドラホールディングス株式会社設立、代表取締役社長就任。
※所属・役職等は取材時点のものです。

ホールディングスを作った背景と今後の戦略。

当社は1972年、スーパーマーケットの一角、わずか15坪の小さな薬店から始まり、業界・顧客ニーズの変化に応え続け、今日のドラッグストアへと進化して参りました。

今、私たちが目指しているのは、お客さまの暮らしになくてはならない「生活インフラ企業」になること。サツドラというリアルな店舗ネットワークを活用して地域をつなぐプラットフォームをつくるために、カード事業などを展開する(株)リージョナルマーケティングを2013年に新たに設立。また2015年には新電力にも取り組み始めています。

こうしたグループ全体の価値を飛躍させるため、2016年8月に純粋持ち株会社「株式会社サツドラホールディングス」を設立。ドラッグストア「サツドラ」のほか、カード「EZOCA」、「調剤薬局」、新電力「エゾデン」、健康に関する健康食品・医薬品メーカー「Wellness Navi」といった事業が、目的にあわせてスピーディーかつ柔軟に連携し、シナジーを発揮することを目指しています。

ここ数年のアジアからの観光客ブームもあり、大変多くの外国人観光客がインバウンドで北海道を訪れていますが、そのことによって、当社の商圏のとらえ方も大きく変わりました。最近は阿寒湖や登別温泉、また沖縄のような観光地に、地域密着型店舗とは異なる、インバウンド向けの新たな形態での出店を進めています。ホールディングス体制によってそうした対応のスピードが上がり、市場をいち早く押さえることができるようになっていると言えます。

3つの成長戦略。

一つ目は「強固なリージョナル・チェーンづくり」です。ドラッグストア事業を核に、地域密着型店舗で北海道内でのドミナント化を進めます。当社ではそうした地域密着型店舗を「生活密着のヘルス&ビューティーを核とした『生活便利ストア』」と呼び、これを人口が少ない地域でも成り立つお店にして展開していきます。また店舗名も「サッポロドラッグストアー」から「サツドラ」へ名称変更するとともにデザイン性も追求、サツドラブランディングを推進します。

ドラッグストア業界内での差別化は図りにくく、お客さまが競合店のチラシを見て来店され「何で値段が下がってないのか」と言われることもしばしばです。こうしたことから、お客さまに選んでいただけるドラッグストアとして、より差別化を図っていきます。北海道内は人口減に直面していますし、競合は同業だけではなく多岐にわたりますが、そうしたなかで我々の立ち位置はどうあるべきかを追求していきたいと思います。

二つ目は「リージョナル・プラットフォームづくり」です。2013年「EZOCA」という北海道発の共通ポイントカード事業をスタートしました。おかげさまで会員数はすでに130万人を超え、会員企業も80社以上となっています。また、新電力会社である株式会社エゾデンも設立しました。いずれも小売にとどまらない、地域に密着したリージョナル・プラットフォームづくりの一環です。こうした取り組みによって”北海道の深堀り”をしていきます。

三つ目が「アジアン・グローバルへの発信」です。我々の強みをサツドラブランド、北海道ブランドとして確立していきたい。なかでもアジアマーケットを、この二つのブランドで狙っていきたいと考えています。アンテナショップを作りブランド力を高め、お客さまを集客する。地域密着型のドラッグストアで北海道内を深堀りしつつ、海外や道外の顧客獲得のための成長戦略、出店戦略も並行して進めていきたいと考えています。

コンセプトはリテール×マーケティング。

私は、一番お客さまと接点がある小売自体が、マーケティングの主体になるべきだと思っています。日本の小売業界ではマーケティングという発想はまだ弱く、マーケティング発想のナショナルブランド(以下NB)を”売らせてもらっている”というのが現状です。

もともと小売りはモノを仕入れて売る、といういわゆる売買差益で儲けるというシンプルなビジネスです。しかし私たちは、お客さまが本当にそれを求めているモノなのか、ということを、昨今テクノロジーとともに進化している新たなマーケティング手法も利用しながら、もうちょっと深堀りしなければいけないと思っています。

SNSから火がついてヒットした商品もたくさん生まれています。中国の若者に大人気の日本の芸能人を起用したプロモーションは、非常に反響が大きかったですね。その芸能人とのコラボPB商品も開発しました。やはりこれも、チェーンストアを持っているからできるマーケティング発想なのです。余談ですが、採用面接で来た中国の学生が、当社がその芸能人を起用してプロモーションに起用していることを知って「あの人が!」と感動していました。

また、健康食品を例に取ってみると、これまでPBはNBよりもいかに低価格に抑えるか、ということが課題でした。しかし、パッケージデザインに目を向けてみると、ナショナルメーカーは売り場でどう並ぶかというところまではコントロールできないので、お客さまにより主張するデザインでの商品開発をしなければならない。それに対して私たちは、最初から売り場をコントロールできるので、人目を引くためのパッケージは必要ありません。そのぶんリソースをお客さまにどういう悩みがあり、そこにどういう商品がマッチするか、ということに集中できます。

これはまさに小売りがあるからこそできるマーケティングであり、プロモーション、商品開発なのです。「エゾカ」事業や電力事業は、顧客に近づく、マーケティング能力を高めていくための取り組みです。商品を作る側と使う側、という一気通貫の視点から、メーカーだけでも小売だけでもできない、マーケティングの質を高めていきたいと思っています。

幅の広がり。

(株)リージョナルマーケティングは、サッカーJ2のコンサドーレ札幌とコンシューマーマーケティング契約業務提携を締結しました。カード「コンサドーレEZOCA」を利用した買物の0.5%が北海道コンサドーレ札幌へ還元されるスキームです。「コンサドーレEZOCA」は、お買物券プレゼントやカードへのチャージに対してプレミアを付与するなどして会員の増強を図っています。サツドラのお客さまを”にわかコンサドーレファン”にすることで、コンサドーレの課題である若年層のファンの増強につなげることができます。

さらに来場ポイントを付けることで、試合の観戦動向がわかります。提携店でどのような買い物をしたかのもわかりますので、こうしたデータをもとにメーカーを巻き込み、商品作りも行っています。サッポロビールとコラボレーションして北海道限定ビールの「サッポロ クラシック EZOCAコンサドーレ応援缶」を発売しました。1缶買うごとに1円がコンサドーレ札幌に寄付され、さらにコンサドーレEZOCAを会計時に利用すると、プラス1円が寄付される。このように、いろいろな点からお客さまを動かすアイディアを膨らますことが可能になっています。

こうして幅を広げることで、従来のドラッグストア運営だけでは不可能だった施策が、どんどん増えていっています。コンサドーレのファンが新たに顧客として来店されることもありますし、最近ではナショナルブランドからの相談案件も増えています。北海道という括りで何かマーケティングや商売をやろうとした時には(株)リージョナルマーケティングに声がかかる、という状態を作ることができれば、理想だと思っています。

今後について。

2020年までに売上1000億円、経常利益30億円を目指します。そこが小売り部門の最低限の生き残りのラインだと考えています。小売業が皆そうであるように、弊社も生活者の暮らしを変えていくことがその役割です。

人材は、多様性が大事になってくると思います。ホールディングスにした目的の一つは人材。世の中が大きく変わり、事業も多岐に渡るなかでは、多様性に富んだ、いろいろな方が集まってくる組織にすることが大切だと思っています。従来の小売りだけでは集まらなかった人材が入ることで、グループ全体にシナジーが生まれると思っています。北海道にもこんなグループがあるということを積極的にPRし、多様な人が集まってくる事業体にしていきたいです。

ホールディングスを作ってますます思ったのですが、やはり会社は所詮”ハコ”ということです。何をやっていて、どういう人がいて、何をしようとしていて、その人たちがどう充実、どう成長するのか、その中身がより重要だなと思うようになりました。働く人が社会への貢献感を持ち、仕事に意味づけができるようにしていかなければならない、と思います。そうでなければ会社は存在している意味がない。

異なるフィールドから新たな人材が加わることによって会社は大きく変わり、新しい文化ができていく。新しいサツドラらしさができる、それは凄くいいことだと思いますし、より変化していきたいです。いろいろな人が入って、多様性が出て来て、より変化していけるということ、どんどんアメーバのように変わっていくことが大切です。そこで働きがいを感じたり、会社というステージを使って活躍することが大切で、そういうために会社は「場」として存在するのだと思っています。今も中国出身の方が112人いますが、これからも多様性を追求していきたいと考えています。

編集後記

コンサルタント
高岡 幸生

東証1部に指定替え、ストアブランドを「サツドラ」に変更、インバウンド消費向け新型店舗を観光地に出店、持株会社の設立。富山社長の社長就任前後の同社は、傍から見ていてめまぐるしく変化しているように見えます。

インタビューでも明らかなように、顧客と小売りの接点にいる同社は、この接点を起点に新しい顧客を開拓し、新しい商品を開発するなど点を線、そして面に展開していこうとトライアンドエラーを猛烈なスピードで繰り返しています。すべては富山社長のビジョンと事業への思いが、このスピードを生んでいるのだと実感しました。

関連情報

サツドラホールディングス株式会社 求人情報

サツドラホールディングス株式会社 転職成功者インタビュー

企業TOPインタビュー一覧

ページトップへ戻る