2013/03/29Fri
置かれた場所で咲きなさい / 渡辺和子 著
30歳間際で修道院に入ることを決意し、35歳で思いがけず岡山のノートルダム清心女子大学の学長に任命された著者・渡辺和子さん。
未知の土地と初めての役職、全く経験したことのない出来事の連続に、いつしか自信を喪失し、修道院を出ようとまで思いつめた時に、ある宣教師から短い英文詩を受け取ります。「置かれたところで咲きなさい」から始まるその詩との出会いから、「人間と生まれたからには、どんなところに置かれても、そこで環境の主人となり自分の花を咲かせよう」と、自分自身を変えることでしか状況は変化しないことに気付いたというエピソードに、困難を乗り越えられるかは自分の心構え次第であるということに改めて気付かされました。
本書には86歳を迎えた著者の、どんな環境にあっても力強く人生を生き抜いてほしいとの人生の後輩への想いが強く込められているように感じました。その中でも私が特に心に残ったのは、「『ていねいに生きる』とは、自分に与えられた試練さえも、両手でいただくこと」という言葉です。著者は、欲しくないもの、例えば拒否したい、つき返したいようなものが差し出され、それらを受けとめざるを得ない時に、大切なものをいただく時と同じく両手でいただく心になれるだろうか、そう自分に問いかけ続けてきたといいます。
両手でいただくことはおろか、受けとめることもままならない未熟な自分を省みながらも、これからは笑顔で「ありがとう」と両手でいただく心を持ちながら生きていきたいと強く感じた一冊です。
(久保)